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[親父の分は、という前置きをつけて言うアーベル>>104の台詞と、腕を気にしているらしい素振りとに、きょとりと首を傾げる]
どっか調子悪いなら、いつでも言ってね。
何だったらウコンもあるし。
[仕事中に腕を痛めるなどしたのだろうか、とは思ったが。
自分から言い出さないのなら、下手に突っ込まない方が良いかな、とも思ったので。
一緒に酒を飲む時に用意している生薬をあげておいた。
今日は飲み仲間が同じ屋敷に泊まるのだから、可愛いおにゃのこを存分に愛でる以外に、アーベルやほかの面々とも飲み交わしても良い。
カゴには訪問先で必要になる場合がまれにあるので、消毒用のお酒も入っている。
飲む事を目的としたお酒ではないため、火を近づければ引火するほどキツイ代物なので、むしろここのお屋敷のお酒を分けて貰いたいところではあるが**]
私もこれは、気になっていたんだ。
…きっといい出来になっただろうと思って。
[何故ならば細工は会心の出来だったし、
それにアーベルの技が加わったとなれば、きっと見事だろう。
そう楽しみにしていた品を目前に差し出され、
クロエの頬に、純粋な笑みが零れた]
ああ───…、
… 思った通りだ。
[差し出された長剣は、見た目に反してずしりと重い。
良い刃が仕込まれている所為だろう。
触れれば、鍛治師の技の確かさが知れる]
これは───、
[返して、ためつすがめつ剣を眺める。
武器であるのに、その造形の見事さに息が零れた。
両手で柄と鞘を握り、ほんの僅か抜いてみる。
鋭い光が反射して、鈍く重いきらめきを残した]
…さすが、アーベルだ。
私にも分かる。いい仕事だね。
[かちりと音を鳴らして、刃をしかと鞘へ納める。
鞘に施した細工は、唐草を複雑に絡み合わせながら、
花や月の、古く伝わる伝承のモチーフをあしらっている。
惚れ惚れと己の作品をあしらった剣を眺め、友へと返した。
そこで、漸く気がついたようにギュンターを見た]
[ユリアンから預かった山刀を手繰り寄せた白布で包む。
宿泊するらしい言葉が聞こえてくれば考えるように目を伏せた]
帰るのは難しいか。
――いや、用事を済ませる頃には……
[迷うような言葉を漏らすが結論は先送りにする。
アメリアの申し出>>108には素直に頷き返し]
仕事で少し腕に疲れが出てるだけだ。
一日休めば違和感も消えると思う。
[元々筋肉が付きづらい体質であるから
生業の割に細身な男は隠すでなく軽く笑う]
ウコンが必要になるほど飲ませる気かい?
[クツクツと喉を鳴らしながらも生薬を受け取り
礼の言葉を向けてそれをシャツの胸ポケットへと忍ばせる]
あー…。すみません、依頼主の前に。
でも、いい長剣だったでしょ?
これ、実は先ほどお渡しした飾りとの対なんだ。
どちらもご依頼の品だったから、いいかと思って。
[詫びるようにギュンターへと告げて、先に渡した依頼品を指す。
彼が鷹揚に許してくれる風なのに、ははと誤魔化す笑みを送った]
ありがと、アーベル。
すごくいい仕事だ。
[低く、これは鍛治師の友人へだけ告げておく]
実はさ、次の図案も持ってきた。
ほんとはアーベルのところに寄るつもりだったから…丁度いい。
───そろそろ、だろ?
[もうそろそろ、新しい図案が要るのじゃないか。
そう考えて、言われる前に紙束を持ってきたことを告げ、
にんまりと悪戯っぽく漆黒の目を細める]
[クロエの手に渡る長剣と其処に注がれる彼女の眼差しに
少しばかり緊張の滲む面持ちでそれを見守る。
零れた笑みが見えれば、安堵にも似た吐息が漏れた]
――依頼主に見せるよりも緊張するな。
[呟いた言葉にギュンターが苦笑する気配を感じる。
わずかに口の端をつりあげるのみにとどめ
眼差しは相変わらずクロエの方へと向けられたまま]
キミの細工が見事だったから
見合うだけのものを作るのに苦労したよ。
[揶揄るでなく神妙な面持ちで白状するも
齎されたクロエの感想にはほころぶような笑みが浮かぶ]
もー。想像しなくても寒いよ。
冬は寒いもんなの!
[カルメン>>109へは、やはり容赦がない。
が、口調は言葉ほど容赦なく、最後はやれやれと笑う調子である。
彼女との付き合いは、元は髪飾りが縁だったか。
ただ客と職人の付き合いにとどまらなかったのは、
彼女と性格があまりにも違いすぎた為であろう。
クロエは彼女のように男へは興味がないし、
だからカルメンの振る舞いには苦笑をすれども嫌悪がない。
随分とはっきり物を言っているように思うが、
それで彼女から嫌がられた記憶も特になかった。
結局のところ、なんのかのと彼女といれば、
クロエ自身、いつも楽しく時を過ごしている]
[次の図案と聞けば期待に満ちた双眸がクロエへと向く]
俺もそろそろその件でキミに会いに行こうと思ってたんだ。
お見通しだったみたいだね。
[彼女の言葉にそのとおりとばかりに頷き]
見せて貰うのが楽しみだな。
今度は何をモチーフにしたか――…
[尋ねようとして、思い直すように言葉をのみ]
それは楽しみにとっておくか。
[はやる心を抑え、悪戯な眸を見つめ返した]
[一人で暮らし、男性のように仕事をして自立しているクロエ。
自分にはできない生き方だからこそ、惹かれるものがある。
不思議と話しやすいのは、彼女がカルメンの言動を嫌悪しないからか。それとも、カルメンにとって彼女がある意味で憧れの存在だからか。]
そうだけどぉ……。
でも、我慢できる寒さと、我慢できない寒さが……。
[彼女は自分に比べて寒がりではないのだろう、と思いつつ返し。
あとでね、との言葉に笑顔で頷いた。
彼女の手が好きだ。綺麗な細工を創り出す、職人の手。
作業している所を見せて欲しいと、駄目元で頼んでみたことも過去にはあった。]
随一の細工師のお墨付きを貰った長剣。
此処にどうぞお納め下さい。
[隠居であるとはいえ実力者であるギュンターの前に行くと
恭しく膝を折り両の手でそれを捧げる形。
その手から重みが消えれば視線を上げて
依頼主が品を確かめるを見つめる。
ギュンターが頷くとほっとしたような様子]
では後ほど調理具の手入れをしておきます。
[立ち上がり膝を軽く叩いてから
荷物とティーカップのある場所へと戻り
温んできた紅茶の残りをこくと飲み干した**]
─ 広間 ─
……手?
[カルメンの言葉>>86に瞬き一つ。ついでに、自分の手を二度見した。
フィールドワークに屋敷内外での土いじりとレポート書き、そして家賃代わりの家事取り仕切りに使われる手は、『綺麗』という言葉からは程遠い、と。
自分ではそう思っていたから、その表現は少し意外に思えていた]
褒め言葉として、いただいときます。
でも、淹れる手よりも、紅茶を楽しんでくれた方が、俺は嬉しいかな?
[軽い口調でこんな言葉を投げ返し、くす、と悪戯めいた笑みをこぼして。
一転、のんびりとした表情で、温まってってくださいね、と笑って、その側を離れていた]
[天気の話題から窓の外に視線を向けて。
僅かに翳った翠は気取られたのか、どうか。
ぽんぽん、と背を叩く感触>>76には、と我に返って振り返る]
あー……うん。
大丈夫、うん。
[短く返す際には、僅かながら苦笑が滲む。
ミリィは……というか。
幼い頃に一緒に森を駆け回っていたユリアン、ミリィ、クロエらには、12年前の出来事も知られているから、無理に取り繕うことはしなかった。
12年前の雪嵐の夜にあった事。
仔細な出来事は、自身の記憶からも抜け落ちているけれど。
表向きは事故とされているそれが、実際には事件と呼べる手合いのものであった事と、それが叔父夫婦に引き取られた理由である事は、親しくしていた家には伝えられていたやも知れず]
……ほんとに、今日はよく集まる、なぁ。
[ライヒアルトが頼んだ紅茶の行く先がナターリエと知ると、口をつくのはそんな言葉。
それでも、訪れた人々にお茶を喜ばれること自体は、悪い気は全くしない]
紅茶増やしてって。
ユーリ、お前は俺をなんだと。
[新たな来客の気配に玄関に向かうユリアンの言葉>>71には、こんな突っ込みを返したりもする、けれど。
見知らぬ男性を伴って戻ってきた幼馴染にお代わりを頼まれれば>>102、結局ははいはい、と言いながら応じて。
全員にお茶が行き渡り、泊まり希望が続出すると、こちらを見た家主の視線に、はあ、と大きく息を吐いた]
……久しぶりの大人数だなぁ……まあ、この天気の中、家まで帰れとはさすがに言えるわけないしな。
と、言うわけで。
[ここで一度言葉を切り、注目を集めるように咳払い、一つ]
泊まり賃代わりに、食事の準備を手伝ってくれる心優しい有志を募ってみよう。
[突然の来客や泊り客も多い屋敷だけに、二階に複数ある客室はすぐに使えるよう、暖炉の薪などの準備は常に調えてあるから、そちらの問題はなかろうが。
食事の方は、一人で作るにはいささか数が多い。
泊まってくなら、ちょっとは手伝えよ、と言葉にする事はないものの。
浮かべた笑顔には、その辺りは少なからず滲んだ……かも、知れない。**]
─ 広間 ─
[何やろ、ミリィ達は知ってんやろな、エイリの事情。
うちだけかな、知らんの。
なんや疎外感あるわー…。
まぁ深く聞かんてゆぅたし、これ以上話題にはせぇへんけど。
もやもや感残っとぉけど、聞かん方がええ思うたさかい、紅茶のお代わりもろて、飲みながら外眺めとったん。
風も雪も強なってきたなぁ。
泊まることんして正解やったかも]
……お兄ちゃんご飯大丈夫やろか。
[そこが心配やねんけどな。
うちがおらんでも食うもんはあるし、てけとーにやって食うとるとは思うんやけど。
心配して歩き回ってへんとええなぁ]
[新しゅう来た見たことあらへんお客にも挨拶はしとくで!]
こんちわー。
こないな天気ん中大変やったねぇ。
あ、うちローザゆぅねん、よろしゅうに。
[多分年上やろなー。
敬語やないけど、まぁええやろ]
うん。私もアーベルの案を聞いてから詰めたいんだ。
幾つか持ってきてみたからさ。
[鍛治に施す仕事は一人でするものじゃないから、
当然そこには、依頼主と鍛冶職人の意が含まれる。
連携が重要となるこの仕事には、
腕と共に彼らとのコミュニケーションも要求される。
アーベルと、仕事の会話を交わすのは楽しかった。
ものをつくることはただ、仕事というだけではない。
共に良いものを求める心が必要となる。
彼との会話は、クロエには最も楽しい遊びの相談にも似た。
新しいものへの期待や構想を口にしていると、胸が躍る]
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