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[声をかけられても言葉を返すことは出来ない。
声までは変えられない]
……。
[返事の代わりに手に持っている短剣を投げつけた。
かの少女が短剣を大切にしているのを知っていれば、考えられない行動だったろう]
色々ある事自体が、面白いですよ。
物には、歴史があるから――
ビル一つとっても、そう。
[近くの皹の入った壁を撫ぜる。
相手が歩み出したのに気づいて、追いかけた。]
エーリッヒさんは、何か、見つけました?
…………情報検索、対象 ユリアン。
[少女が囁くと、操作盤上の球体が淡く光り。
それと同時にコンピュータのハードディスク作動音]
[飛ばされた短剣は右手に持った棒で払いのけた。
カキン、と音がして、手に残る微かな痺れ。短剣は、どこか横の方へと転がって行った。
にんまりと笑いながら、ふと。
今の短剣は、確か…落とした、と言っていた。]
…それ大事なモノじゃないのぉ?
ねぇ、待って、って、ば!
キミ、イレーネさん、だよねぇ?
[言いながら、短剣を投げる為に振り返った相手とはまた距離が縮まっただろうか?
手が届く距離まで縮まったならば、肩を掴もうと腕を伸ばす]
―建物一階・広間前―
[階段を降りきり周囲を確認すると、目当ての扉の向こうに消えてゆく小さな白い影]
考えることは同じか?
[息を整え、閉じた扉をノックする。
万一のことも考えながら、一拍を置いて扉を開けた]
――…、そうですか?
僕は、歴史なんて興味ないので…そう感慨も無いですけど。
[元々、何があるのかと気まぐれに探索していただけだ。
既に屠られた物に、思いを馳せる趣味は無い。
と、続く問いにぴたりと足を止めた。
ゆると、追いかけてくる相手へと視線を向ける。]
…見つけた、と言うんですかね。
――随分と下らないものでしたけど。
[ぽつり、呟いて。再びその足を踏み出す。]
[今居るのは、17歳の少女だった。
以前、エーリッヒと共に行動したときには、潜入の必要がなかったからか――衣服は戦闘に適したものであり、手にしていたのは端末ではなく、刀だった。そして、「言霊」と呼ばれる能力の使用も、殆ど無く。
同一人物だと言われても、その特徴は余りにも違う。]
…………!展開!
[少女は操作に集中していて、他の球体に指令を出し忘れ
ノック音に慌て、5つの球体を
自身の周囲に配置]
んー……
ここにいきていた人の、過去が感じられる気がして。
わたしには、そういうのが、無いからかもしれませんけれど。
[止まった足に釣られて立ち止まり、
此方に向いた視線にきょとりと瞬いた。]
くだらないもの?
[尚も逃げようと駆け続ける。
しかし短剣を投げたこと、悪路が続くことが要因となりユーディットの手が自分に届くまでに距離が縮まる]
……!
[肩にユーディットの手がかかる。
逃げられぬと悟ると振り向き様にユーディットの鳩尾目掛けて掌底を繰り出した。
それを避けられるか止められるかしたとしても、続けざまに脇腹目掛けて回し蹴りを繰り出す。
かの少女ならばおおよそやらぬであろう動き。
敵対の意思は明らかだ]
[広がる光景に目を瞬いた。
最初にこの部屋で確かめた時とは違う表示が展開されている]
プロテクトを抜けて…?
っと!
[振り返った少女の慌てた表情。
その周囲に浮かび上がった球体に僅か身構える]
─廃墟群・その中のひとつ─
[アーベルと別れたあと、自室で寝ていたはずの彼女だが、今、廃墟群のビルのひとつの屋上に陣取っていた。
その屋上で眼下での追いかけっこを感情の篭らない瞳で見下ろしていたが]
…………所詮、借りもん。直ぐに襤褸を出すか。
[それだけを呟いて、スッと屋上から姿を消す。]
………プロテック……?
[噛んだ。]
[少女は部屋に現れたてぃるの言葉を不思議そうに
けれど、相手が身構える気配に
おともだちを抱きしめ後退り]
[球体のうち2つ程が、レンズ面をティルにむけ]
[鳩尾に不意に来た掌底は咄嗟に半歩下がって避けたが、直後の回し蹴りは咄嗟に手にした黒い棒を縦に持って防いだ。
直接脇に入らなかったが、その衝撃で横へ軽く吹き飛び、左手を地面に一度ついて咄嗟に体制を整えた。ふぅ、と息をついて姿勢を伸ばし]
…へぇ、ボクにかかってくるんだ。
じゃあ、痛くしてあげるよ。
ねぇ、痛がってる人の表情(かお)って…快楽におぼれる人の表情(かお)と良く、似ていると…思わない?
[にっこりと笑うその顔はとても無邪気で。
長くふわりとしたスカートが風にばさばさと揺らしつつ、手で遊んでいた黒いステッキのようなものを振り、大鎌へと変化させる。
持ち手の棒部分は細く良くしなる材質で、前を向いている刃はふらふらと揺れている。
柄の部分の中心より刃寄りに、垂直に短い取っ手がついていて、そこだけみると長いトンファーのようだ。
左手はその取っ手をしっかりと握り、右手は柄の先、端近くに添えられて。
笑みをたたえた唇を赤い舌で一度湿らせると、次の瞬間走りこんでその足元へ、鎌を横に薙ぐよう走らせた。]
−中央エリア・旧華街廃墟−
[少女に探されているとも知らず、女中に目撃度きゅんされているともやっぱり知らずに青少年はいろいろな場所を歩く。
からからと、礫が朽ちたビルの残骸を伝って落ちる音がした]
……?
[ふ、とぞくりとした何かを感じる。
自分の背後に強い揺らめきを感じた気がして]
…へぇ。
見知らぬ他人の過去なんて見て、楽しいですか?
[直ぐに翠は前へと向き直る。
少女の問いにも、其方へ視線を注がずに。
続く言葉には一度瞬いて。暫くの沈黙の後、薄く口を開いた]
――嗚呼、貴女は好きかもしれませんね。
誰とも知れない家族の、微笑ましい映像記録ですよ。
フィルムに、残ってました。
─中央部・廃墟群─
……ん。
[不意に、歩みが止まる。
掠める表情は、孤狼のそれ]
……早速、始めた連中もいるわけか……。
[元気な事で、と呟く。
その一方が、つい先日非戦協定らしきものを結んだ相手とは、まだ気づいていないが]
どこらへんでやってんのかね……。
[言いつつ、ぐるり、周囲を見回し]
プロテクト、ね。
[舌を噛んだらしい少女に少し笑いを誘われて。
即座の攻撃は来なさそうかと読みつつも、緊張した面持ちでこちらに向けられたレンズの動きに注意を払う]
それにしても。それを抜ける程のウィザードか。
[いざとなったらあのデータも消去しなければ。
そんなことを内心で思いながら声を掛ける]
探し物中だったかな?
それなら終わるまで待ってもいいけれど。
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