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[相手に気付いた瞬間。僅かに、翠が嫌そうに細まった。
尤も、周囲に気付かれぬうちに、表情は元へと戻ったものの。
…僅かな沈黙は、流石に誤魔化せずに。]
ええと。
ここで知り合ったので、出来たての知り合い?
[……かなり、奇妙な言いようだ。
端末を握ったまま、口許に指を添えて、更に首を傾ぐ。]
あ、……と。
ブリジット=エメスです、よろしくお願いします。
[眼差しの転調に僅かに眉を寄せ]
向かう先があるから、道を作るんじゃない――の?
[向かう先が分からないなら、歩く必要はあるのだろうか?
今いる場所に居続けてはいけないのだろうか。
夢、目標、そんなものは知らない。
だから、留まる事がいけない事とも思わない。
同じ景色は飽きるから、別の景色を見たいとは思うけれど]
…えっと、君――李雪が寝てる時なんだけど
その人が、君の事を知っているような雰囲気だったから。
[もしかしたら、本当に知ってる人だったのかなと思ってさ。
李雪の不思議そうな様子に、苦笑交じりに肩を竦める。]
判らなかったら、良いよ。
何となくそう思っただけだし。
…本当に知り合いなら。
何か、利用出来そうだったんだけどな。
[――まぁ、違ったら違ったで別に問題は無いんだけど。
ぽつりと呟いて、思考を巡らせる]
[以前に会ったときには、別の名で。
学生の装いなどもしてはおらず。
雰囲気とて全く異なっていたから、他人の空似かと思う程かも知れなかった。
エーリッヒとは違って、彼女に、動揺のいろは僅かも見えない。
まるで、「本当に知らない相手」であるかのように。]
…僕だって知らなかったよ。
取上げられそうになるまではね。
…ああ、見せて貰う時は。
僕もそれに見合うだけの覚悟をつけておくよ。
それはとてもとても大切なものなのだから。
[そこまで言うと壁際に戻って黙り込んだ。
他の者との会話は聞きながらも、後は*口を挟まずに*]
まぁ、似たようなものでしょうか。
形が無いと言う点では、異なりますが。
未来の捉え方は人それぞれ。
解釈も異なりましょう。
私が思う未来は、そのようなイメージなのですよ。
道は確かに掴めませんが、塞がれたりしたら──。
進めなくなるでしょう?
[不思議そうなイレーネに別の表現を含めて告げる]
まぁ…今は理解出来ずとも、いずれ理解出来る日が来るでしょう。
それが輝かしいものとなるか、暗雲立ち込めるものとなるかは別として。
[ぶりじっとの言い淀みにもう一つ首をかしげ。
リーピーの言葉には………
説明を聞いても思い当たる人がいないので
わからなかったら良いよの言葉に甘えておくことにし。]
[……それに、仮に知り合いだったとしても、
”大切な人”以外は今の少女には対して興味を起こさせないのもあって]
…………。
[判らなかったら…を肯定するように頷く]
[眉を寄せつつ投げられた言葉に、あ、と声を上げて]
……そっか、そういう見方もあるか。
[零れる呟き。
既存のものに──他者の用意したものに頼るなど、自分らしくない、と。
ふと、そんな事を考えて]
そーだな。
行きたいところに向けて、道を作った方が、早いよな。
[それが、多分。
自分がここで成そうとしている事に、適した手段なのだろうから]
みらいって、見付けるのが大変なんだね。
[話を聞く限り、とてもとても大切なものらしいのに]
きらきらしてるとか、美味しそうな匂いがしてるとか。
そんな見つけやすいものだったら良いのに。
[でも、それなら他の人にも奪われやすいだろうか?
少し距離を取る少年には小さく手を振って]
塞がれたら、飛べば良いの。
飛べないなら、回り道をすれば良いの。
[パンがなければお菓子を食べれば良いのよ、という
故人の傲慢な言葉にもその響きは似ていただろうか。
無知とはかくも]
色んな、かいしゃく。
かい、しゃく。
[分からない単語はこの際スルーして]
林檎を赤いと言う人と、白いと言う人と。
美味しいと言う人と、酸っぱいと言う人と。
硬いと言う人と、柔らかいと言う人と。
[そんな違いなのかな、という考えに落ち着いて]
――、…そう。
[自信を持ったように言い張る友人に、一つ頷きながらも
しかし何処か納得がいかないのか、僅かに眉を寄せた。
と、少女の言葉に再び視線をそちらへ向けると
妙な物言いにも納得したように一つ頷いて。]
――出来たての知り合い、か。なるほどね。
コイツ、屈託無く誰でも知り合いになっちゃうし。
…ああ、ゴメン。僕はエーリッヒ。
――エーリッヒ=ハイゼンベルグ。
[続く言葉が自己紹介らしいことに、はたと気付くと
慌てて、よろしく、と。簡潔に名前だけを告げる。]
[さらりと告げられる名前――
自分の持つ記憶とは異なる名前に、僅かに眉を寄せる。
前回告げられた彼女の名が、演技の為の偽名だとは、知ってはいるけれど。
しかし、見た目があまりにも似通っているにも関わらず
雰囲気も異なる相手に、奇妙な感覚しか残らずに。]
[アーベルの言葉には笑顔で]
川の向こうに行くのに、遠い遠い橋を探すなら。
飛ぶか、泳ぐか、舟を探すか作る方がきっと早い――もの。
[ね、ね、間違ってないよね?
と、本来の話題から外れているような気もしなくはないが
問う姿はとても真面目で]
ん。
[金髪の小さな少女がが頷く様子に、同じように一つ頷いて。
…はた、と何かに気付いてゆるりと首を傾ぐ。]
…そういえば、さっき君。
――くしゃみしてなかった?
[小さく聞えてきた其れの持ち主なのではないかと
ふと、思い当たって。
寒いんじゃないの、と翠を一つ瞬いて問い。]
ん、その方が早い。
[真面目に問うイレーネに、頷いて。
それから、ふと、ある事を思い出す]
……そういやお前。
昨日言ってた探し物、どした?
[イレーネの返答はあくまで三次元におけるもので。
理解は無理だったか、と判断する]
…ええ、普通の道ならば、それも可能でしょう。
普通の道ならば、ね。
解釈は、大体それで合っていますよ。
[林檎を白いと言う人は居るのだろうか、とも思ったが、突っ込む必要性も無いと考え、イレーネの言葉を肯定する。
何だか幼い子供にものを教え込むような心境。
柄でもないと思いつつ、イレーネに答えて行ったのはどんな思いが*あったのやら*]
ああ。
……そんな感じですよね。
[先程の、年下云々の話題を思い出して、同意の頷きを返した。
告げられた名前を、やはり、舌の上で転がす。]
エーリッヒさん、ですね。
仲良く出来たら――
[嬉しいです、と続けようとした声は、気が抜けたのか、手から滑り落ちた端末が床にぶつかる音に遮られた。
飾りが、ジャラジャラと鳴る。混ざり合う音色は、さまざまに。]
わ、と。
[慌ててしゃがみ込み、拾う。]
…………。
[こくり]
[りーぴーに問われれば、また頷いて。
つづく問いには…少し考えてから首を横に小さくふり。
……かわりに、ユリアンにぴったりくっついて
……ユリアンほっかいろ]
探し物――。
起きてずっと、お話してたから。
まだ、探せてない。
[そして『これから行ってくるの!』と元気に答えた事だろうか]
普通じゃない道――?
[道しか歩けないならばそれはつまらない事だ、と。
もし彼女がもっと賢ければ言えただろうか?
林檎について突っ込まれたならば、
林檎の皮は赤く、身は白いから――と答えた事だろう]
オトフリートのお話は、難しい、ね。
でも、面白い、ね。
[しゃがみ込めば、ずれたセーターの下から僅かに覗くベルトと小刀。
刀を有しているという共通点だけは、変わらなかった。
彼女にとっては、「不可欠」なものゆえか。]
そんな感じと言うか、…
本当にそうなんです。コイツは。
[返る同意に、友人を指差しながら、
笑いながらも――案外真面目に一つ頷いて。
突如音を立てて床へと落ちる端末に、わ、と短く声が上がる。
拾うべきか、と思案する一瞬の内に、
素早く拾い上げた本人の手元へと舞い戻って。
相手へと視線を向けていたものの――ふと、小さく吐息を零す。]
……、大丈夫ですか。
[静かにイレーネと他の面々の問答をにこにこと聞いていたが、スッとイレーネに近づくと]
難しく考える必要はないよ。
未来はちゃんとイレーネちゃんの中にある。
それを見つけることは難しいけど、きっと見つかるよ。
だから、安心すればいい。知らないことだって、これから知っていけばいいんだから。
[そう言って優しくイレーネの頭を撫でてやる。]
そっか、なら、気をつけて、な。
[これから、と言う言葉に小さく息を吐く。
それでもやっぱり心配ではあるらしく、一人で大丈夫か、と念を押すように問う。
状況を思えば甘い、と理解しつつ──それでも。
気にかけてしまうのは、*性分なのか、それとも*]
[セーターの隙間から見えたそれに、眉を寄せて。
零れるのは思わず呆れにも近い溜息。
嗚呼、――非常に、残念ながら。
記憶の人物に間違いはなさそうで。]
[続いて投げる声は、何処か冷えた
嫌悪にも近い響きが混じる]
……驚かせちゃった?
ごめんね。
[小さな子がいたんだ。
そう思い出して、李雪に向け、へらりと笑みを浮かべた。
エーリッヒからかけられた声に慌てて立ち上がり、]
大丈夫です、……すみません。
[視線を向ける。]
[昨日出合ったばかりのナターリエに撫でられて、
最初は少し呆気にとられて彼女を見上げていたけれど。
ゆるやかに表情は綻んで]
皆が、見付かるって言うなら。
大丈夫、きっと大丈夫――なんだね?
[見付かった時には手遅れだとか、そんな怖れは考えず。
だって、彼女の優しげな様子を見ていれば
本当に安心して良いのだと思えたから]
[気をつけて、と声をかけられれば]
うん、無理な事はしない――から。
大丈夫。
[じゃあ、行ってくるね――と。
手を振りながら、ぱたぱたと*走り去った*]
[友人に引っ付く小さな少女に、一つ瞬いて。
あまりもの懐き具合に、けらりと小さく笑いを零す。]
ちゃんと暖めてあげなね、フェイ。
この子が風邪ひいたら、君の責任っぽいよ。
[何処か面白げに、友人へと一度視線を向けて。
慌てて立ち上がる女学生に、ゆるりと一度瞬くと
そちらへと翠を向ける。少女の視線と、かち合って]
嗚呼、大丈夫なら――、良いですけど。
[僅かに、目を細める。
ゆるりと僅かに首を傾ぐと、金がさらりと*揺れて*]
…………。
[ぶりじっとの手の中の端末…につけられた
にぎやかな飾りに目を奪われつつ、
りーぴーの言葉にユリアンが何か言うかもしれないけれど
ぴっとりくっついたまま周りの会話を*聞くだろう*]
[向けた視線の先に薄らと浮かぶ笑みを、視界の端に入れて、
すぅと、今度はしっかりと嫌悪の形に翠が細まった。
揺れる金の間に覗く相手へと向ける視線は、*冷やかに*]
/*
ってことで、すみませんすみませんお先に寝ます(ぱったり)
流石に長旅から帰宅早々に長時間居座るのは難易度が高かったです。
自由に動かして頂いてもおk!です。よー。
幾らでも回想で補完しますゆえ。
おやすみなさい!!
*/
[揺れる飾りは、創作動物のマスコットに、ビーズ細工らしきものに、取り取りの五つ玉に、赤い紐に結ばれた鈴に――不思議と、その音色は、殆ど聞こえなかった。]
はい。
[眉を下げて、申し訳なさそうな笑み。]
……私、部屋に戻りますね。
また、後程、
[先程までのブリジットならば言わなかったであろう台詞を口にして、三人に背を向ける。機敏な動きに、*スカートが翻った。*]
[纏う雰囲気の変化に気づけるものは、少ないだろう。
直後につくり変えた笑みも、ブリジット=エメスのものとは、微妙に異なっている。
“――地下で”
最後の一言は、音には成らず、ただ、口の動きだけで。
相手の視線など、気にも留めていない。
*冬の緑の眸は、底が知れなかった。*]
/*
お気になさらず、私も寝るつもりでしたから。
起きたら、合間を縫って、適当に動かすかもしれません。
先に動かして頂いても結構です。
おやすみなさいませ。
*/
[手を振り、去っていくイレーネを優しい目で見送っていたが]
じゃあ、私もちょっと出かけてきます。
ここがどういうところか、ちょっと興味があるので。
[そう言うと、広間を*あとにした。*]
[私がここに居る理由。
それは、蛇に誑かされた愚かなお嬢様……と言うのは、表向きの理由。
私を誑かしたことになっている彼は、組織がSchwarzes・Meteorへ送り込んでいたスパイ。
彼いわく、この遊戯に勝ち残った者は総帥アルトゥル=ウルリヒに会うことが出来ると言う。
彼の未来。それを直接見ることが出来れば、Schwarzes・Meteorを打ち倒す楔となるのではないか。
無論、組織の虎の子である彼女を放り込むことに反対の声も上がった。
しかし、組織としてもSchwarzes・Meteorとの抗争に対して何らかの決定打を欲していたのか。結果として、私はここに居る。
だが、私の護衛として共に遊戯に組み込まれるはずだった彼は、ここにつく前に消息が掴めなくなってしまった。
ここに入る前に組織から伝えられたことによると、未だ彼がどこに消えたかは分からないらしい。
組織の目的を果たすために、私は生き残らないといけない。
身を守るため、最低限の訓練などもここへ来る前に受けては来たが、あまりに不安。あまりに不十分。
どうにかしないと。どうすれば。]
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