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[そして、全員が集会所に入るのを確認した後...も集会所にはいり、まずは剣についた血を拭い、本格的な手入れは後にすることにして木箱にしまい近くに置いて
今度は自分の体についた血を拭う
血は体についているがほとんどは返り血だ。
とはいえ無傷と言うわけでもなく、薬や包帯を借りて自分の体は自分で治療する
ただ...にとっては怪我よりもむしろ。先程体を強引に動かしたことによる筋肉の痛みのほうが辛く、思わず顔を顰めた
その顔を見咎められたらブリジット達に*何かされるかもしれない*]
[頬にガーゼを貼るならともかく、包帯を巻くのは、不鮮明な視界では骨が折れた。二度三度と失敗を繰り返しつつ、手当てを済ませる。
言葉は、交わされない。
身体の傷自体は、大した事はなさそうだった]
とりあえず、何か、飲む?
一応、紅茶の準備はしているけれど。
[蒼の瞳を覗き込み、問いかける。
けれど、返事はなくて――]
……アーベル?
[その身体が傾いだ]
[マテウスが自分で自分の治療する様子を見ながら]
[マテウスに連れて来られたエーリッヒの脇腹から出血しているようなら、急いで服を脱がす][薬を塗り][包帯を巻いていく]
[他にも腕などに擦傷があれば薬を塗りながら]
もう、無茶なことして・・・
死んじゃったらどうするつもりなのよ。
[何かを思い出したのだろうか]
[目に涙を浮かべ][エーリッヒの*治療をするだろう*]
[向かい合っていたから、地に伏すことはなかったが]
……あぁ、もう。
[嘆息。
部屋に寝かせるかとも問われたけれど、ひとりにすると不安だからと、リューディアと共にソファに寝かせることにした]
[作業の中断をしていた紅茶を淹れ直して、皆へと振舞う。
受け取られても、受け取られなくても、出来るのはそれくらいだったから。
カチャリとカップを置いたところで、マテウスを見る]
それで、何が、あったんですか。
[聞かなくとも、理解は出来ていた。
けれど、敢えて、尋ねた]
[――話を聞き終えたのち、感謝の言葉を述べて、一度広間を後にした。
すっかり冷え切った身体を、湯船で温めようと。
濡らさないようにと言われた右腕を持ち上げる。怪我の痛みはあるはずなのに、今は感じられなかった。湯のあたたかさも、また]
[濡れた髪を乱雑に拭き、ふたりの眠るソファを背に、目を閉じる。
眠る気はなく、眠れる気はしなかったけれど。
暖炉の火がはぜる音が、耳に届く]
[窓硝子越しに降り注ぐ月のひかりは、静かで、冷たい]
[暗闇の中でもなお、*紅がちらついた*]
[アマンダのはがれた爪を包帯で覆うように巻き、少し強めに縛っておいた。][血止めを兼ねて。]
[彼女の傷の手当てを終え、ノーラと供にエーリッヒの様子を見に行っていたミハエルに呼ばれ、次はエーリッヒの方へ。]
[アベルの方を見たが、ユリアンが居てくれたのでそちらは任せて。][跡が酷く残るような怪我ではなかったはずと、思い出しながら。]
[エーリッヒの怪我は思ったより酷く。][血と痣の残る脇腹と、左手に牙の跡。][他幾つかの裂傷。]
[脇腹の骨が折れて居ない事を確認して、ノーラに接骨木と黄柏を混ぜ置いていたものを渡す。]
これは血が流れて居ない、痣の部分にだけ塗ってください。傷口に塗ると、物凄く染みますから。
[一応言ったが、ノーラの手が滑ってうっかり傷口に薬が入った。][かもしれない。]
[左手の牙の跡は、防寒着が間にあったせいか、縫うほどのものではなく。][ならば包帯と鹿蹄草で足りるだろうと告げて。]
[後はノーラに任せ、次はマテウスの元へ。]
[自分で治療すると言っていたが、念のためと様子を見に行けば動きがおかしい。]
マテウスさん、大丈夫ですか?
[傍に寄り、二の腕に触れれば顔を顰められて。]
[筋肉痛に似た症状が出ていたので、痛む箇所を調べながら、丁寧に、冷蔵庫に入っていた冷たい湿布を張ってゆく。]
[よくよく調べれば、体中が痛んでいるようだったが。][流石に全身を冷やすわけにはいかず。]
[とりあえず腕と足にだけ湿布を貼り。][更に特別痛い箇所には湿布を追加し、他の箇所はそのままで、我慢してもらう。]
冷たくなくなったら言ってください。それから明後日は逆に暖めて。
その方が直りは早くなりますから。…無理に動かさないで下さいね。
[大きな剣を持っていたマテウスにそう告げて。][感謝と謝罪をされれば、ふるふると首を振る。]
いえ、ありがとうございました。守ってもらって…。
[言いながら自然、顔色は翳る。][先ほどの光景を思い出し。]
[月明かりに照らされた、赤い海。][むせ返る血の匂い。][あれは、目に焼きついて当分離れそうに無かったから。]
[全ての治療を終えれば。][糸が切れたように、ぐらりと体が傾ぎかける。]
[ミハエルに支えられ、すみませんと謝罪して。][部屋まで肩を貸すといわれたが、緩く首を振った。]
[支えられた肩は震えていて。][顔色は殆ど変わらぬ青と白の狭間にあり。]
…いえ、すみません。今日はここで眠っていたい…
部屋に戻りたくないんです。一人で居るのは、怖い。
[そう告げ、暖炉の傍の、ソファーはいっぱいなので、床の上に大袋を抱え横になり。]
[毛布もかける間も無いままに、薪の爆ぜる音を聞きながら、深い*眠りに落ちた。*]
[転がり落ちた手帳は雪の上で、女性の肖像を開いてとまる。
拾おうと伸ばした指先。
血濡れの手が触れた瞬間、その絵は白紙に。]
…ぁ………。
[痛いかと問われた声はほぼ同時。
痛みを自覚すると同時に視界が傾いで。
そこから先は朦朧として不確か。
次に目が醒めた頃には、薬の染みる痛みに、情けない声で呻いているだろう。]
─回想─
[追ってくる者がいる事には、気づいていた。
だから、少し姿を見失わせなくては、と。
混乱しているように──否、ある意味では錯乱していたと言えるのだが──見せかけつつ、走った。
周囲に満ちる、血の匂い。
銀の月光に酔いしれる身にはそれは心地よく。
気づけばその身は、蒼き狼へと。
獣の覚醒はなされて]
[その姿のまま。
探していた者の前へと飛び出して。
爪の一撃は、避けられたものの。
銀を弾く蒼の毛並みは、容易に蒼い髪の青年を思い起こさせたか。
自衛団長の動きは止まっていた]
……みぃっけ。
[そんな様子には構わず、蒼の風はくすり、と笑って。
それから、問う。
ずっと抱えてきた、何度もぶつけてきた問いを。
獣の姿で、青年の声で]
[それは、今回の隔離の事であったり。
それ以前にもあった、行き違いの事であったり。
母への扱いの事であったり。
重ね、抱えてきた疑問。
それを、どこか幼い響きの青年の声で問う。
周囲から響く絶叫の中、それは、異質な響きを伴っていたろうか]
……でも、一番わかんないの。
なんで?
……なんで、俺を殺さなかったのさ。
父さんは。
父さんは、狼ってわかった時に。
殺したのに?
[村の安全のために。
血を受け継ぎつつ、覚醒する事のなかった父を殺して。
……衝撃で覚醒した自分は、そのまま殺さずに。
ただ、力だけを封じさせて。
忘れていた疑問。
覚醒で思い出した疑問。
答えはなく。
向けられたのは銃口]
……やっぱり、答えない……ずるい。
[その銃口に込められた思いも、向けられる瞳の哀しみも、蒼の風には見えない]
[苛立つコエ。
行動は、早かった。
引鉄が引かれるよりも早く、真白の雪を蹴り、喉元に喰らいつく。
血の味と、肉の感触と。
初めてのそれは。
昂揚感も手伝ってか、酷く甘美に思えて。
衝撃で倒れた自衛団長を、確りと押さえ込みつつ。
喰らいついた部分を喰い破る]
……あは。
あまい。
[零れたのは、楽しげなコエ。
人の気配が近づく。
急がなくては。
後はどこを喰らえばいいかは、本能が知っていた。
未だ脈打つ心臓。
紅を散らしつつ、引きずり出したそれを。
真白の上で喰らい、飲み下す。
力が満ちるのが、感じられた]
これで、おしまい。
邪魔は、いない……。
[小さな呟きは、何に向けられたのか。
緋色の世界に生きるモノにか、それとも自分自身にか。
答えを得る事もなく、蒼の狼の姿は解かれ、そして]
--回想--
[血に酔いしれ。][蒼い風の誕生に、歓喜の笑みを浮かべていた銀の影で。]
[一人その内の内で。][気配を殺し。][声を聞き。][意味を知り。]
…やれ、やれ。
[口から漏れたのは、そんな呟き。]
[それは呆れるような、残念に思うような。][溜息のような呟きで。]
受け入れて、それでも流されずに居られれば。
『希望』になれたかもしれねないのにネ。
[それは自分達が出来なかった。][彼等の兄も出来なかった。]
[させなかったのは。][猩と。][彼の手も加わってはいて。]
[つまりさせなかったのは自分なのだが。]
…ま、しゃーねーか。
[へらりと笑う。][そよぐ様に、静かに。]
[エーリッヒの手当てをしながら]
[お昼からのことを思い出していた]
〜回想〜
[昼食が終わった後、お皿の片づけをしていた]
[クレメンスが外に自衛団の人の姿を見つけたようだ]
ご飯についてですか?・・・はい、行ってらっしゃい。
くれぐれも気をつけてくださいね。
[少し違和感を覚えながら][外に向かうクレメンスを見送った]
[その後掃除を済ませると、ブリジットやイレーネと一緒に調理をしていた]
[娘たちと一緒に食事を作る母親の気分][できあがったカレーを皿と共に広間へと運んだ]
[広間に入ってくるマテウスらに挨拶をする]
[カレーに向かう一部の人たちの瞳に様々な感情が宿るのを眺めていると]
[広間でクレメンスに小さな袋を渡された]
・・・お礼だなんて、大したこともしてないのに
そんな、困ります。
[一度は断るが、再度渡されれば無碍に断るのも悪いかと思い]
[結局受け取ることになった][袋を開けて中を見る]
[出てきたのは銀の小さな天使]
まあ・・・
ありがとうございます。大切にさせていただきますわ。
[クレメンスに微笑みかけ]
[しばし天使を手の上に乗せて眺めていた]
[誰かがエビフライやヨーグルトの匂いがすると言えば、不思議そうに首を傾げ]
[虫の話が出れば]
そういえば、子供の頃はよく虫採りに行ったものでした。
時々その成果が食卓にも並んでおりましたわ。
[懐かしそうな顔で遠くを見るような目をする]
[やがて何かの音色が聞こえてくる]
あら、風流ね。
どなたが弾いてらっしゃるのかしら。
[周囲の人が絶句したり、リディが椅子ごと倒れたり、ユリアンが部屋を出て行くのを尻目に、しばしピアノに耳を傾けていた]
[ついっと手が滑り][目の前でエーリッヒの呻き声が上がる]
[現実に引き戻される]
あ・・・っ
ご、ごめんなさい、染みたかしら。
[先にブリジットに注意を受けていたのだが]
[どうやら傷口に薬が入ってしまったようだ][慌てて手を引っ込めた]
[その後は注意深く手当てを*すませていく*]
[暫く思考が麻痺したかのようにぼんやりとしていたが。]
[思い出したように。][うつらうつらしているユリアンの傍に近づき、少しだけ揺り起こして、右肘の痣の後を見る。]
[薬を付け直そうとして。][見れば昨日と殆ど変わっていない様子に。][むしろ昨日より悪化しているような色に。][心配するような視線を投げて。]
[無理はしないように再度忠告をして。][昨日とは違う薬をつける。][ひょっとしたら梔子柏皮湯じゃ駄目なのかとも思った故に。]
[触れれば顔を歪まれて。]
ごめん、ね。
[ぽつりと呟くそれはユリアンに向けられたものだが。][内には違う人達への謝罪も含まれていた。]
[ユリアンの治療を終えれば、足は自然と外へ向く。]
[あの血の海に戻ろうと。][生きている人を探そうと。]
[だが青白い顔をし、定まらない足取りをした少女を。]
[誰かが静止*したかもしれない。*]
[混乱・銃声・声]
[そして人は外から中へ]
[部屋の中にとどまっていた男は、様子のおかしい人たちを宥めるように声をかけたろう]
[何かがあったのは(否、むしろ何が起きたのかも)わかっていたが、それを理解していない(という嘘を演じるのには慣れている)様子で]
[話を聞いて、黙った]
そんなことが…
ギュンターさんが。
[声は小さく震えを持って]
[朝が来る]
[目覚めは早い時間だった]
[誰にも気づかれぬように、気配を殺して立ち上がる]
[目を覚ました人がいたら、申し訳なさそうに笑って]
[しぃと、人差し指を立てたか]
[向かうは外]
[さくりと雪を踏んだ]
―外・死体のある場所―
[一晩を越えて、室内とは違い、外のそれは血を止めていた]
[狼の死体があちこちに]
…ギュンターさん。
[ギュンターの死体のそばで膝をついた]
ああ、持っていてもくれなかったんですねぇ。
あれほど言いましたのに。
持っていたからといって――まあ意味もなかったでしょうけれど
[言葉は小さく、困った色]
御霊に安らぎがありますように。
[だんだんと陽が上る]
[雪が銀に輝く]
[祈りを捧げ、そこを後にした]
[その顔を、薄い白布で隠した]
[それから広間に戻る]
[そういえば洗って部屋に干しておいた白いハンカチは、もう乾いただろうか]
[とりとめもなく考えながら、やはり音をたてぬようにキッチンへ]
[コーンスープと、パンの食卓が、出来上がった]
[…いくつか真っ黒にこげたパンが捨てられていたりしたのだが、それはそれ]
[目を覚ました人たちに振るまうことに]
[食べたくないと言われても、無理にでも押し付ける]
[食べなければもたないのはわかっていた]
空腹は心を荒ませます。
…一応、一人暮らしをしてるんですから。これくらいは作れます。
[外へ向かおうとするブリジットにも]
そんな青い顔をしているのでは、倒れてしまいますよ。
せめて暖かくしてください
[呼び止め、まずはせめて一口でもと食事を勧めた]
[肩を貸すという申し出を断れたが、それでも...はブリジットが気になっていた。
薬師として自分以上に精神と肉体を酷使したのだから、疲労度は限界点を越えているだろう。それでも気丈に振舞える彼女は、正直尊敬に値していた。
だから、彼女を見誤ったのかもしれない。
彼女を寝かしつけた後、自分も治療した人達の顔色を確認してから、少し休むつもりで椅子に腰を下ろした途端、意識は一気に深海の底まで運ばれてしまった。
無理はない。
何せ、あそこまで大量の血を目にして、吐き気をもよおす血臭に包まれ、更に命の危険と隣り合わせになれば、未経験の人間にとってはかなりの精神的負担を生み出していしまう。
結果として即座に深い睡眠に落ちたのは彼のせいではない]
ん……。
[目覚めた時、ぼんやりと重たい瞼の向こうに人影が見える。
その姿をしばしぼ〜っと見つめていて、その中に2人の人物がいないと気付いた時、一気に血の気が落ちた]
神父様? それにブリジットさん?
[神父については、何とはなく不思議な空気があったので、外に出たのかと即座にイメージできた。
だが、まさか疲れて眠っていた筈のブリジットまでいないとなると、少し話が違う。
失礼と思いながら、トイレや自室を確認し、姿が見えない事を確認すると、青ざめた顔色が更に白くなった]
さ、探しにいかないと……。
[混乱してしまった頭に、マテウスやエーリッヒに声をかけるという選択肢は残っていなかった。
...は足早に集会所の外に飛び出すと、感だけを頼りに*走り出した*]
……ん。
[慌ただしく閉まる、扉の音で目を覚ました。
ブリジットの治療で、一度意識は覚醒したのだが、訪れた朝日に安堵してか、結局は眠ってしまっていたようだった。
くぁ、と欠伸をして目を擦り、立ち上がる]
何か、あったのかな。
[されど、事情を知るものはいなさそうだ。
幾らか、人の姿がないのは見て取れたが、不用意に追うことは、しなかった]
[まだ眠っているものにかけられた毛布をかけ直す]
[誰かが用意したらしいスープを温め直して、食事を取る。
食欲の有無で言えば、無いと言えたが、元々体力はさしてないのだから、食べなければもたないのはわかっていた]
[背凭れに身体を預け、行儀の悪い姿勢で食事を終えたのち、一度自室に戻る。
卓上に置いていた袋の存在に、ああ、せっかくの満月だったのに、ひかりに当ててやらなかったと思う。
作りかけの、雪の結晶を連ねたブレスレット。使う石はまだ、決めていなかった]
[袋にしまうと、上着を羽織り手袋を嵌め、再び階段を下りた]
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