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[伸ばす手……
それは、差し伸べたものではなく、]
カルメン、なら、僕が君をもらうよ、。
[それは、奪う手……。
救うのではなく………。]
[声がした
けれど今の女にはその意味が
音が、何か、伝わってはいない
そして、引き寄せられ、抱きしめられる身体]
…ッ
[反射、身を捩り、抵抗しようとするも]
?
[半眼だった蒼が、僅かに開く。]
ゥィ、ゥィ……?
[声は矢張り、がらがらとしていて
呼ぶ名も確りとはしていない、けれど。
何事か、と抱かれたまま、蒼を瞬かせ。]
な、ぁに?
ど ぃぁ の?
[掠れ 問う声
力無いが、笑みを見せ
抱かれるまま、背をそっと撫ぜる。
先程までが嘘のように]
…?
[問われる声に 蒼が瞬く
意味がわからない、という声
周囲を見回して]
っ、
ここ ぁ?
[問う声
何故ここにいるのか、思い出せない]
[眸に正気の色が戻ってくる。
その華奢な身体からもこわばりは消えて……。]
ここは、僕の前だ。
[抱きしめる理由がなくなっても、
手は離さず……。]
それ以外は考えなくていい。
[おそらくはクスリの仕業で現れる狂気を、
思い出させる必要があるだろうか?]
[見回せば見回すほど、未知が絡みつく。
恐怖――。
女はせんせいに、ごめんなさい、と残し
その後から今までの記憶が、一切無い。
だから笑んでは居ても内心は酷く、乱れていた。
しかし、]
……
[ヴィヴィの抱擁と、声。
ゆっくり頷いて、 ありがとう と。
小さくがらがらのたどたどしい声が、
彼の胸元で零れた。]
カルメン……君は何も悪くない。
[ありがとう、という掠れた声。
それを撫でて、唇を寄せる。]
……休むといい。おいで。
[そして、その身体を支えながら、医務室のほうへ。]
[支えられる身体
彼を見上げ、息を、飲んだ
数値を見て、泣きそうになるのを堪えたから
だから、笑んで、ゆっくり頷いた]
……
[数値を心配、すればいいのだろうか。
私なんかに気を遣ってるからだじゃないと
怒ればいいのだろう、か。
わたしより、あなたが心配だから
おねがいだから、休んで欲しいと泣けばいいだろうか。
こうなっても、正しい事が、解らない。]
[だって、優しい言葉を呉れる、から。
欲しいと求められると
同じ気持ちが此方にも沸き、疼くから]
……うん
[髪に触れる口付けに甘える私は、
最低な女、だろうか。]
君が好きだよ。
[そして、口付け。]
考えなくていい。
[そして頭も撫でて、髪を弄って……
首から肩を撫でていく。]
もう君は僕のだから。
[頷きと、声。
同じ様に、頷きを返す。
医務室に入れば未だ残る、『残骸』。
夢は未だ夢のままなのだ、と厭でも知る。
暫し、ヴィヴィに沿って貰い休んだのなら。
やがて集合場所へと共に向かうだろうか。
向かったのなら、女は喉の調子から口を開きはしない。
黙して、常通りの振る舞いで、
みんなの話に耳を*傾けるだろう*]
[甘美な言葉が身を撫ぜる
其れを補する様に、唇が触れた
頭に、髪に、
首に、肩に。
求められる手に応じて、
此方も相手の身体に手を這わせた。
声は出さず、唇の温もりに甘えながら。]
[求める手、
心の底から沸きあがる熱
同じ高さまで昇る熱さを保つ吐息]
[求め合い、確かなものになるのは。
私は、彼を狂おしい程に愛し、
求めているという事実―――*]
[きっとその身体は、見た目のまま、とても華奢で…。
でも、静かに湧き上がる情熱をとめることはできない。]
[囁いて、口付けて]
[伸ばされる手は絡めとって…]
僕のものだ……。
[そう、すべて冷たいものに向けられているはずの思考が、唯一求める、もの]
[水を大きめのポットに入れる途中、
包帯に包まれた手を見下ろした。
傷がいつの間にか増えていた。怪訝そうに眉を寄せる。]
[見下ろす水面。映り歪み揺れる頸元――数値は20。]
ッ…――
[数値を隠すように押さえると、ポットを抱え足早に*集合場所へと向かった*]
[考える]
[それは嘘かもしれない。]
[投与されたクスリが、作用して、]
[自分も微かに狂っていることを自覚しながらも]
[でも、言いたかった]
[それを言葉にするなら]
[求め合い、確かな言葉に愛撫される]
……私もよ、ヴィヴィ。
―――、愛してる、わ。
[声は酷く汚く、醜く、聞き取り辛い。
けれど、精一杯に、伝えようと*囁いた*。]
─ 三階廊下 ─
[ダーヴィッドに問われ>>114、ゆっくりと瞬きをした。
縫合した場所に触れていた爪をおろし、]
痛む、方が健常に近いのだろう。
──痛みが減った。
私は比較的進行が遅い方だと思っていたが、
進行速度は一定では無いのだろうな。
今此処にいる者達が。
統率すべき、されるべき集団かは、疑問だが、
パニックや自滅は避けなければ。
[立場は、そう……誰かが口にした言葉。実験体のモルモットのような──監視され、選択肢を狭められた立場は同じ。頷いて、傷口にはもう触れないと、首を横に振り、心配顔のダーヴィッドに、]
そんな顔ばかりしてると、禿げるぞ。
[真顔で冗談のような言葉を言ってから視線をそらし、バンドの数値をエーリッヒに見せた。]
エーリッヒ。
このLV,パーセンテージなら、
まだ石化病用で無い薬物でも有効と判断しても?
[医師の卵であるエーリッヒの許可が出れば、薬品庫から取って来た普通の薬物を摂取するつもりで、尋ねる。身体を動かす事は避けようが無いが、貴重な石化病用の鎮静剤を使う事も避けたい。
気が付くと、ユリアンが部屋から廊下に来ていた。]
ユリアン。
私の頼みは、>>2:821
[>>117蓋が開かないように、わざと可動部分の一部を壊してあったタイピンの中身。それは中世の貴族が使用したポイズンリングのように、宝石の下に小さなボックスが有るもの。壊れたものを開けられるユリアンに、感嘆の声を上げる。]
有り難う、流石、だな。
ボックスの中身は、
[「見てくれて構わない」と言いかけ、今、見せる事でユリアンを巻き込むかもしれないと躊躇し止めた。また、秘密の 共有者 にユリアンを巻き込むのは──と。
そのまま手元で中身を確認する。おそらく、精製途中の薬物。]
これが、私の持ち込んだ荷物の唯一の残りになる。
ユリアンのあの箱は、ロッカーの中で何故か金属が熔解していてね。
放送、扉を封印した茨や。
ご丁寧に、屋上のヘリポートにヘリが用意されていた事。
人為的な気配のする──だが、惜しい喪失だ。
生きて一緒に出られたら、また注文したい。
[と、生真面目な顔で。]
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