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[彼にアーベルの微笑が見えていたら、
彼のあかが揺らいだだろうか。
「みえる」事ほど人を揺らがせる物は無い。
人は見る事に秀でた生き物だから。]
ああ、ありがとう。
君は自分で思うよりも力がある。
信じなさい。
[ユリアンに微笑み、]
もしも私が死んでしまったら…ナターリエの事を頼む。
彼女を守ってやってくれ。
[頼み終えると、直ぐに表情を引き締める。]
外から破られたようだね。
私達が中に入るためには、扉の内側にある家具を退かさなければならないようだ。
[扉から覗く家具は、向こうに押し倒せば隙間が開くかもしれない]
>>161
[破られた窓の下から響いてくる、少女の声]
ああベアトリーチェもまた、試練を乗り越えようと努力していただけの神の子どもだったのかも、しれない…
[ただ、自分が馬鹿だから。
あるいはその高尚さゆえに、少女の思索から紡がれる言葉を、自分ははっきりとは理解できないでいるだけなのかもしれない]
…追い詰められたハンスが窓から飛び降りても、扉の前の物をどけてこっちに出てきても、同じことですね。
こっちから中に入れそうなら、尚いいけど…
[ユリアンとしては油断のない身のこなしのつもりで扉横の壁に背をつけて、隙間から中を覗こうとする]
[now, the voxes is so far.
i could not underrtand that reason]
>>163
[褒められた子供のように頬を紅潮させるユリアンにとって、今「力」とは…暴力を意味してしまうのかもしれなかった]
神父さま、あなたがそう言ってくれるなら…勿論俺は信じます。
シスター…あの天使みたいな人のことだってきっと、守ろうと思ってます。あの人からの恩は返そうと思っても返しきれない位だ。
だけどそんな事は聞きたくない。もしも死んでしまったらなんて。
[暗くなりかける表情を引き締めて、鍵のかからないその扉の、僅かな隙間から覗いた扉内側にある家具目がけて腕を伸ばした。
栄養の不足し続けた細い腕も、たまには役に立つ。
恐らくハンスには悪夢のようにその腕は伸びて、家具を押し――]
倒れた……かな?
[手ごたえがあった気がして、それでも開くのかどうかはわからないがクレメンスに報告し、自身は扉横に待機し続けている]
[アーベルの首のすぐ傍でしゃがんで、対峙した。
本人は、あんまり見てほしくはないのかもしれないけど]
・・・イイ顔?今の状態だと、前より想像、難しいわ。
[頭を撫でたかったけれど、半壊している。]
そうだね。
私は死なない。
だから君も、試練に打ち勝つために頑張りなさい。
[素早い動きで壁に身を寄せ、腕を伸ばすユリアン。
ハンスがまた、何事か中で言ったようだった。
「犯人」という、推理小説めいた単語が飛び出している。
強く押された家具は…
ユリアンの言葉に頷くと、扉を押し開く。
まだまだ、ハンスの場所まで行くには家具に埋もれているが、人一人が入れる(勿論、身を狭めたりしなければいけないだろう)隙間が出来たようだった。]
ナターリエはとても優しい子だ…。
[小さな呟きは聞こえただろうか。それとも]
[イレーネを見ながら、わずかに目を細める]
[アーベルの感情には安堵が強かったけれど、エーリッヒは…]
[目を、閉じる]
死が、救いとなる人もいるのかもしれない…。
[あたしは、決してそうではないけれど]
[こちらを見るエルザの視線に気付いて]
死が、救いに・・・。
・・・でもそうでない人は、戦うしかないわ。
[淡々とした口調は、少し冷たく響き目の前の人のよう]
全員、が、死で救われるわけでは、ないのに。なんで、どうして・・・。
[脳裏に浮かぶのは、あたたかい笑顔のひとたち]
>>167
…はい。
力の及ぶ限り!
[頑張りなさい、その言葉に強く頷いて。
ハンスが中で何事か言う言葉に心乱されることもなく、クレメンスの手によって押し開かれた扉を観察した。
どうやら扉前は、ありったけの家具で埋もれている。
それでも人一人、入れる隙間はできたようだ]
どうぞ、神父さま。
[ナターリエの名を呟くクレメンスの声は、耳に届かなかった。
神父がハンスの部屋へと先に入る事を促す手で扉を指しただけ]
ハンスと最初に言葉を交わすにふさわしいのは、あなただと俺は思うんです。
神父さまの声を聞いてそれでもなお、落ち着きを取り戻せない人がいたらそれは……神さまに仇なす者だからなんだと、思う。
神さまを、そのお声を聞く神父さまを恐れる、悪魔側の…人狼側の者だからなのだと、俺は考えます。
だからどうぞお先に。
[ユリアンは注意深い目をして、ハンスの部屋の扉横に*佇む*]
―back court―
[どこかぼう、としたように。
あまり話もきちんとは聞けて居なかったかもしれない。
だが途中に口にされた名前は、どこかで聞き覚えが…]
ああ。確かlibraryで…
[小さく小さく...は口にする]
[イレーネを見つめ返しながら、声に少し力がこもる]
ええ。救いなんか、あたしは要らない。
たとえそれが目覚めなのだと言われたって…。
[はっとした]
死んだら、起きる、とあの子は言ってた…。そうだ。ねえ、誰がベアトリーチェを自由にしてあげたの?
[イレーネがアーベルの首を見る様子は、やっぱりlaceのcurtainで覆われたように、薄く、遠く感じる。
エルザの声は...の耳にはっきりと届いたのがなぜか不思議なことだった。]
苦しみの生より解放されて死の世界がわたくしたちの前にある。
だけれどその世界は決して自ら望んではならないもの。
苦しみを耐えてやがてその扉に辿り着いたときに、死は安らぎとなりましょう。
死の闇は安らかに。
すべてのものは等しく安らぎ、やがて次の生を受けるのだから。
[零れた祈りの言葉。
それはうたうように]
[エルザの強めな口調を静かに聞き]
・・・ベアトリーチェ、を、自由にしたのは、クレメンス。
[下を向いて、眉を顰め]
この、「神の試練」に耐えられない人を、・・・殺して・・・解放してあげるんだと・・・ベアトリーチェと、約束してた。
…それで、解くのを黙って見ていたの?
[その声は氷のように冷たく、鋭く]
解放。安らぎ。そんな世迷い言を信じるの?ねえ、シスターも。
[クレメンスはユリアンに頷く。]
分かった。
私が先に入ろう。
だが、結論を急いてはならないよ、ユリアン。
[クレメンスは、家具と家具との間に挟まれるように中に入ろうとした。]
…さっきは訳が分からなかったのだけど、みんながハンスの部屋に集まっていたのは、そのため、なの?
その、解放とやらのためだというの。それとも、彼を、人狼だと疑ってなの?
[エルザの冷たい声に、振り向き]
・・・黙って。ほんとう、ね。あの時は、クレメンスがベアトリーチェを、殺そう、と、しているのだと思ったから。
[だからあの時は安堵してしまったのだ。
クレメンスの変貌が、怖くて。穏やかさは変わらないのが、余計に怖くて]
色々、言った、気もする。でもそれは縄を切ったあと、ね。
・・・ナターリエは、自分の大事なものを、護ろうとしてるのよ。
[ナターリエのほうを、ちらりと見る]
ハンスは・・・一人で閉じこもっていて、かえって危険だからと。
外に出るように、言ってたの。クレメンスと、ユリアンと。
[そういえば、あの2人は今ここにいない]
世迷いごとではありません、エルザさん。
[それはsisterとして生きてきた...にとって変えられぬこと]
死は。暗く、かなしいものです。おそろしいものです。
それでも死が訪れれば、わたくしたちにその不安はなくなります。
死が訪れるのを恐れることもなくなります。
主の安息が訪れます。
だけれど、エルザさん。
わたくしたちはそれを、自らの手で行ってはいけないのです。
人は罪深きものです。生まれたときより植物、動物…殺してわたくしたちは生きています。
世迷いごとなどではございません。
――神はすべてのものに平等に、死という安息を与えてくださるのだから。
[残骸を見詰める複雑そうな顔付きを、エルザには見られただろうか。
だが彼はふっと息を漏らして]
いえ、笑うだなんて、そんな。
…。
[しかし言葉は続かない。
残骸を見詰めたままだ。]
[くらり]
[ぞっとするような目眩。クレメンスの顔に見覚えがあると思った。それはアーベルの記憶なのだと思った]
[…違う]
[箱庭遊びの童謡を教えて、あたしに歌わせた。あれも確か、神父ではなかったか]
[その顔には、モノクルが…!?]
[5年前。アーベルの行方が分からなくなる事が一度だけあった。
仕事の完了を聞かぬまま行方をくらましたアーベルを、「協会」は必死で追う。
アーベルの隠れ場所として目星をつけた教会があったのだが、その教会のシスターに何度も「協会」の連中は追い払われた。
その後何があったのか、詳しくは知らない。
だが、「協会」に近づきすぎたというある教会を焼いて戻ってきたアーベルは、行方をくらます以前よりもずっと、闇に溶け込んで慎重にかつ狡猾になった。
その時彼は、アーベルの変化を素直に喜んでいた。
彼がアーベルの隠れた教会を見つけた、張本人だったから。
けじめをつけられるようになったのだな、と。]
[しかし、今の言葉。
アーベルはその教会を焼いた事を、悔やんでいたのだ。
…私が、教会を見つけなければ。
アーベルを、狂わせる事は無かったのか?]
[でも。
彼が死して、安堵を得たのなら。
笑うことが出来たのなら。
…決して、自分を正当化できる訳ではないが。
それで、良かった。のだろうか…]
…………。
ありがとう、ございました、エルザ…
[まだ悲しく残骸を見詰め]
[何も言わずにエルザやシスター、イレーネが話すのを聞いていた]
[けれど「死」という言葉には反応して]
[剣に軽く手を掛けてエルザの近くへと寄った]
[彼女を守れる位置に]
[カチャリという微かな音が鳴った]
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