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[ベアトリーチェは、はたかれた頭を両の手で押えます。どうしてユリアンがそんなにむきになるのかがわからなくて、疑問符がいっぱいに浮んでいました。けれども、「デザート」の単語に、すぐさまこくんと大きく肯きます。]
うん、なんにもなかった。
[こどもは、やっぱり素直なのでした。辺りを舞っている三つ花の蝶なんて、眼に入りません。それより早く行こうというように、身を翻します。]
あのね。
こんな風になっちゃったときって、どうすればいいのかな?
[赤と白の斑になってしまっている手を見せた。
凍傷という言葉は知らず。同じ精霊である彼女ならどうすればいいのか知っているだろうと思って。
こそこそとしていたからか、上空の影には気が付けなかったのだが]
ふぇっ!?
[さすがに隣に落ちてきた影には気が付いた]
…あっ!
[その視界へと放り出された煌く宝石。
アマンダは咄嗟に手を伸ばし、仲間を助けようとする。
それから少し時間差で、落ちてきた影の着地点へと力を送る。
大地は擦り傷一つ増やさずに、柔らかく受け止めるだろう]
[本来の姿では、翼あるもの。
そのため、空を翔けた経験は多々あれど、落下と言うのは数えるほどしかなく。
それも400年以上前のまだ器になれぬ頃の事となれば、対処する術も思いつかず、またその余力もなく。
引かれるままに地に落ちて]
……あ。れ?
[予想外の感触に、思わず呆けた声を上げた]
[...は駆け出したベアトリーチェに安堵と苦笑]
急いでもデザートは逃げないぞ。
あんまり慌てて転ぶなよ。
[ゆっくり後ろから歩いてついていく]
―……→Kirschbaum―
[アマンダは、銀と金緑石の輪を受け止めて、落ちた竜の確認もせずに、ブリジットの手を覗き込む。
三階から落ちて死んだ竜の話など聞いた事もないから当たり前]
わあ…これは、酷い。
火じゃない、氷だ。…ミハエルが?
[昨夜の彼の様子を思い出し、不安げに問いかける]
−Kirschbaum・一階−
[ユリアンがついて来ているかなんて確認せずに、ベアトリーチェは扉を大きく開きました。カランカランと、備え附けられたベルの音が鳴渡ります。]
こんばんわ、ハーヴェイ。
[カウンターの椅子によじ登ろうとして窓の外に眼をやると、庭の桜のそばに皆が集まっているのが見えました。]
[きょとんとしている彼にこちらもめをぱちくり]
えーと、こんばんは?
[とりあえずそれだけ声を掛けて。
続いたアマンダの問いに肯いた]
うん、手当てしなさいって言われたのに忘れちゃったの。
[あれは仕方の無いことだと思っているので、問われたのとは少々ずれた答えになったが]
ー教会・私室ー
[窓辺に立ち、外を眺める]
静かだな。
[傍らの黒猫が遠くを見つめている]
喜ぶ者、悲しむ者、疑う者、信じる者…
傷つく者、怒る者、夢見る者、愛する者…
[人ならぬ目に映る、命の抱く心の色を数える]
[声をかけられて、ようやく我に返り]
……ああ。こんばんは。
[惚けているな、と思いながらも挨拶を返して。
自分が落ちた原因はどこへ行ったかと周囲を見回す。
アマンダが受け止めて保護してくれた事には、気づいていないらしい]
―Kirschbaum・一階―
[...はベアトリーチェの後から入ってきた]
こんばんはー。マスター。……ん?
[ベアトリーチェの視線を無意識に追った...の
視界にアマンダが映った。
ふい、っと外すのはここ三年間の日常通りで]
[いつもと違うのは...の顔が赤いことだけ]
…そっか、では手当てしよう。
『うん、後でミハエルの様子を見に行こう』
[ずれた答えを気にせずに、そんな事を考えつつ頷いて、ブリジットの手に片手を優しく被せる。
手から手へと流れ出す大地の癒し、育む為の豊かな力]
こんばんは、オト。
酷い扱いするなら、返さないよ?
[振り向かぬまま、もう片手は金緑石を優しく握って言い切る。
乱暴な扱いに怒り気味]
[みょうなところで鋭いベアトリーチェが、それを見遁す筈もありませんでした。じいっとユリアンを見つめます。]
アマンダと、仲直り、したんだ?
[昨日の出来事を知らないこどもの認識はずれていたのですけれども。]
わあ。
[流れ込んでくる優しい力。
その力に癒されて、本来の安定した状態を取り戻してゆく]
ありがとう、アマンダ。
痛いの、なくなった!
[力を注いでくれた手を握り返して嬉しそうに笑い。
ほんの少しだけお礼のつもりで力を込めた]
[怒りを込めた口調に、しばし戸惑い。
それから、ああ、と納得して]
すまない。
……本来なら、もっと大切に扱わねばならないんだが……不注意に過ぎた。
二度と放り投げるような真似はしないから、返してもらえないかな?
それは……『魂の父』が、知識以外に与えてくれた、唯一の物だから……。
[...はベアトリーチェの言葉に固まる]
なっ……!
いいか、そもそも僕とアマンダさんは前にも言ったけど、仲が悪いとかじゃないし……。
[後の方は語気が弱くなる。
鬱屈した思いを抱えた...は腹立たしさ紛れに
ふわりからかうように飛び回る薄紅色のかけらに
よりによって丁度手にしていたふわもこを投げた]
[ベアトリーチェは、訊ねて置きながらユリアンの答えなんてきちんとは聞かずに、庭に繋がる窓を開きました。]
皆、こんばんわ。
[少し遠かったので、大きめの声で挨拶をします。]
[大地の精にいってくると言ってから、
なぜか向かうは東の方向。
否否、それは東ではなく
あぁ、聞こえたコエの意味を探るうちに、
どうやら中央部にやってきていたようだった。]
……本当、どうかしてるよ、僕は。
でも来たからには、行くかなぁ。
[教会の前で立ち止まる]
―南通り―
[この日は朝一番に宿の主人へ会う。自分の後から来た旅人は昨夜火急の用で街を発ったこと、自分が言伝を預かったことなどを最もらしく話すことで結局は昼過ぎまで時間をつかった。最後は金子が物を言う事になったが。]
[声が届けばそちらを振り返り]
こんばんは、ベアトリーチェ。
それに、そっちにいるのはユリアン?
[何だか慌てているな、と思ったら彼の手から何かが飛んで]
ちょっ……!
[その正体に気が付いて固まった。
ぬいぐるみと思われているとはいえ、それは同族の]
やめてー!
[思わず叫んでしまった]
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