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─宿3階─
[窓辺にもたれ、漂うは異国の花の香り。]
…調整、難しいな…。
[昨夜のとはまた微妙に違う配合の薬煙草。
自力で力を抑える事に、慣れて居ないが故の、調整用。
ある意味【力】そのものである精霊達とは違い、【力】に近しい【力】の番人とも言える未熟な竜。
それ故にまだこの地に集まる様々な【力】をきちんと判別出来ては居ない。
だが、それでも、自分の力が周りに影響を与えかねないと言うこと位は感じていた。]
[黒猫は瞳を細める。笑ったようにも見えただろうか]
「この世に溢れる数多の命は、皆、彼の手に委ねられたもの。お前自身の命さえも…いつまた奪われるとも知れないもの」
私は、別に、何も望まない…
だって何も、無いから。
[...は、耐えられず猫から目を逸らす。]
奪っていったのは…人間たち。
[階下に降りると、菫色のふわもこ。
しばらく、じーっと見つめ合い。
抱き上げてソファーへ。]
…うちの相方も、お前くらいかわいけりゃなぁ…。
[灰の竜馬に聞かれたらぬっころされそうな事を言いつつ、ふわもこ抱いてソファーで*昼寝。*]
[オトフリートの返事に頷く]
そうでしょうとも。あなたなら、そうおっしゃると思いましたよ。
これは、自然の時の流れではないでしょう。
集まる力も、集まる者も、多過ぎます。
既に、混沌が訪れていると言っても良い程です。
[黒猫は笑う…嗤う]
「思い出せ、哀れな竜の子。人の子と、その者達の主を…お前から全てを奪った者達を…望みを叶えよう、二度とお前が傷つかぬように…」
偶然にしては、色々と集まりすぎている気がしてね。
……そも、俺がここに来たきっかけからして、コレが呼び声を感知したからというのも、気にはなっている。
[言いつつ、右手首の腕輪を軽く、撫でて]
混沌……か。
混沌は、変化をもたらすもの。だが。
俺はそれほど、世界が停滞しているとは、思ってないんだがな……。
…私が、傷つかないように。
[何度も言葉を反芻する。
何度も何度も反芻して…納得した時、彼女の瞳の奥には小さな金の焔が揺らめいた。]
…私は、何をすれば?
ー広場ー
呼び声、ですか。
では、やはり、あなたの力を必要とする時がくるのかもしれません。
変化を望んでいる者がどこかにいるのか、それとも、混沌の王そのものが変化をもたらそうと望むのか、それは、判りませんが…
[笑う]
しかし、安心しました。
もしや、あなたが鍵の書を使うためにいらしたのかと、少々案じておりましたから。
[ふわり、と黒猫の姿から何かの影が浮き上がる。それは女のような姿の闇…闇は娘の身体を抱きしめて囁く]
「今は何も…けれど、時が動き出したなら…手助けを。それまでは、何も案じずにいれば良い。全てを委ねて…」
……必要、ね。余り、嬉しくはないが。
ただでさえ、俺は皇竜から厳重な抑制をされている。
力を使うのは、かなり疲れるんでね。
ただ、何かしらの必然でここにいるのは間違いないんだろうな……人の意思か、混沌の意思かは与り知らないが。
[やや大げさに、一つ息を吐き]
……何を案じているのかと。
大体、その気があったら、こんな所でぼんやりせずに、さっさと確保に行っているが。
ー広場ー
[笑みを深める]
それは確かに。しかし、案ずるのもまた、我が心。
心のままにあるが、我故に、お気に障りましたらお許し下さい。
[古風な仕草で一礼]
さて、私はこれから、Kirschbaumで、コーヒーでも頂こうかと思っていますが、あなたはどうなさいます?
[口の端についてしまったクリームを、ぺろりと舐めとります。にこにこ笑顔が溢れていました。]
ねえ、ハーヴェイ。
北の遺跡には、なにがあるの。
[訊ねてみても、ハーヴェイはほんとうのところを教えては呉れません。もしかすると、知らないのかもしれないですけれども。]
……『鍵の書』?
[ぽつりと小さく声を零すと、お代を払い、椅子からよいしょと降りました。ハーヴェイはなんにも云いません。ベアトリーチェは「またね」と皆に挨拶して、*外に駈けてゆきました。*]
別に、気にはしないが……ね。
[古風な礼に、僅かに笑んで]
……Kirschbaum……か。
俺も、戻るとしますかね。
あの場所なら……。
[何かあった時に察知し易いから、と。
その部分は小さく付け加えて]
[一瞬身を寄せはしたもののすぐに物陰へ消えた猫を目で追い、ゆっくりと立つ。
そしてそのまま、ゆっくりと北へと歩みをすすめ、遺跡の前で立ち止まった。]
−北西裏道−
[疾風ほどではないが、大地のアマンダもそれなりに裏道に詳しい。
方向を間違えることなく、Kirschbaumを目指す。
けれど、斑に残る疾風の気配を避ける為、迷走しているのかも]
それでは、そこまで御一緒に。
私のような年寄りが道連れでは、少々楽しみが薄いかもしれませんが。
[笑って*歩き出す*]
ー→「Kirschbaum」へ
[遺跡の前には、たくさんの人がいた。
きっと、爺の息子もいるだろう。それが見たかったのだろうか。
なんとなしに来た彼女は、人々が生き生きと活気を持って動いている場所に来る事は、墓場に好んで行く事よ良く似ている事に気がついていない。]
……年寄り、ねぇ。
まあ、贅沢はいえません、とね。
[存在的な年齢は、多分こちらが上のような気はするが。
外見的には、明らかにこちらが年下なので、軽口めいた言葉を返しつつ、歩き出す。
目指す店についたなら、無防備な火炎の若竜の様子に、*頭痛を感じるのはほぼ確定だろう*]
─…→Kirschbaumへ─
―北西裏道―
[いく当てもなくぶらぶらと歩き回って、そして幾つめかの角を曲がったその時、丁度同じく曲がってきた人にぶつかる]
あっ、ごめんなさ……!あ、あ、アマンダさん。
[ぶつかった人影が誰かと知覚した瞬間、彼の身体が条件反射的に強張る]
[アマンダは、薄く残る気配を避けるように歩く。
細かな方に気が行ってるから、大きな気配は頭から抜けていた。
千花も口に銜えた布のせいで、とっさに鳴けなかったのだろう。
つまり、気がついた時にはぶつかっていた。]
っと、ゴメン、よそ見して――しまった。
[明らかに、不快を示し眉を寄せる]
あー、………なんで、いるんだ。
[避けてたはずなのにという内心は、言葉としては端的過ぎる。
裏道とはいえ、天下の往来。理不尽に聞こえるかもしれない]
[自らも遺跡に入ってみたりしつつ、ゆっくりと人々の喧騒を楽しんだ。
暫くすると少し疲れて来たので、Kirschbaumに戻る事にした。
明日は、また町中を油瓶背負って回らなければならないから、無理は出来ない。]
→町へ。
…あ。
[町の北から入り、西へ回ると少し遠くに、アマンダがKirschbaumのバイトの少年と向かい合っているのが見えた。足を止めて、眺める。]
−東部・図書館−
[二人は同化しているとは言え、全てを共有している訳ではない。彼女の持っている知識でも、少女が知らない事は数多くあった。
ベアトリーチェは図書館内をうろついて、本棚から一冊の書籍を取り出す。古い言い伝えの書かれた本。大きな机の前に座りそれを広げた。
幼児には何処までを伝えるべきか。彼女は思考を*巡らせ始めた*]
[ぶつかった拍子に転げ落ちたアマンダの荷物を拾い上げ、手渡す]
…いちゃ悪いのかよ。
ここはあんたの所有地というわけじゃないんだから。
ほれ。大事なものなんだろ?
[何故彼女は彼を見ると不機嫌になるのか、
そして何故彼は彼女の存在に心がざわめくのか]
[その理由など、現在の彼は知るよりもないのだが]
[アマンダは拾い上げられた荷物を、少し躊躇ってから受け取る。
大地は優しく受け止めてくれたから、中身はきっと無事だろう]
…悪くはない。けれど…
[眉をしかめたまま、「大地は私のモノ」という言葉は飲み込む。
人の子に言っても、仕方がない。
むしろ、風に愛されているからって嫌われるのは理不尽だろうとはわかっている。
けれど、苦手なものは苦手なのだ。彼がアマンダを忌避するように]
ありがと。
この子は…とても大切な子。
[それでも、この子は大事だからと礼を言う。
念の為に開けた玉を見つめる目は、きっと優しかっただろう]
―回想/昼ごろ/北東 森林―
[Kirschbaumを出た苗床は、中央を抜けて森林へと入る。
その中は、大地の力が強くなっていた]
……地の精、かな。
[森はすべてが一つ。
中心となったのはどこか探ると、自らの力を封じたその木。
微笑みを浮かべる。]
―回想/→中央 広場―
[地の満ちた力は樹を喜ばせる。
その力を受け、葉と根に与え、ふたたび町の中央に戻る。
広間の前。
少し考え、足を北に向けた]
―北部/遺跡―
[静かに歩く、北の道。
見付からぬように気配を殺して。]
……ここに、あるのか
[握り締めた小瓶。]
……僕はどうすれば良いのだろうね
僕はどうすれば
どう……すれば…………
こんなに近くにあると、迷ってしまうよ
[そうして暫く、人に見付からないように……遺跡のそばから、そこを見つめていた]
[うわさには聞いていたが、初めて見るアマンダの作品
自分の子供みたいに優しく声をかける姿に]
壊れてなくてよかった。…綺麗だな。
[芸術を愛でる語彙など彼には少ししか持ち合わせてないが、しかし「綺麗」と思ったのは本心。ただ大地の力に溢れたその作品たちを欲しいとは思わないのも事実]
アマンダさん、今からKirschbaumに行くの?
[なんとなく話を振ったのは一昨日のベアトリーチェの言葉ががわだかまっていたのかも知れない]
―北部 北通り―
[歩いていると、昨日の自警団の姿。
見付かったらまた、面倒なことになりそうだ。
そう思って苗床はふらり、西の方へ向かうことにした。
桜の花はきっと咲き始めているだろう。]
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