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― 広間 ―
そうだ。ビチェ。
森の木に近づいたら駄目。
[外を見ながら考え事の態だったが、部屋の中を振り返ってビチェに声をかけた]
太い枝も折れてる。
雪と一緒に落ちてきたら危険。
─ 森 ─
……はあ。
見ただけでも、えらい事になってるとは思ってたけど……。
[踏み込んだ森は、見知った場所なのに、違う場所に見えた]
うわ、やっぱりここ、折れてたか……古い木だったからなぁ……。
[風に負けたか、雪の重みに耐えかねたのかはわからないが、立ち枯れの傾向が見えていた木は大体が無残な姿を晒していた]
……ほん、とに。
あの時と、似たような状態……なん、だな。
[倒れた木の幹に、皮手袋を着けた手で触れて、小さく呟いた後。
軽く、唇を噛んだ]
[ナターリエの説明と微笑み>>241に、こちらもにっこりと微笑んで。
ローザを抱きかかえて戻ってきたユリアン>>229。
そのことに眼を瞬かせたものの。
ユリアンの説明する、との言葉>>245と、
エーリッヒの説明>>243に眼を瞬かせる。]
え?え?
それだと、お姉ちゃん達、帰れない…よね?
あと、ごはん……。
[少女は、まだいい。ここが家なのだから。
村に家がある兄姉と慕う人たちの心配と。
子供らしく(?)食事の心配で。
旅人のおじさんも、同じことを考えていたようで。>>250
贅沢しなければ大丈夫>>257と聞くと胸を撫で下ろした。
後は、ミリィに手伝いを申し出たりして。]
うん、なぁに?
[少女を呼ぶ声>>292は、ミリィの手伝いをしていた時だったか。
顔をそちらに向けながら、ユリアンからの注意を聞いて。]
うん、わかった。
雪は怖いんだよ、とか。
嵐の後の森には近づくなってお祖父ちゃんから何回も言われてるから。
[更に少女は森の深いところまでは行くな、とも言われているから。
言われた事に、素直に従うのだった。]
─ 森 ─
[12年前の出来事。
抜け落ちた部分の記憶は、『両親は雪嵐の夜に外に出て事故に遭った』という言葉で埋められて。
実際には、その死は事故ではなく、酷く不自然な傷によってもたらされたもの。
獣のものと思しき爪と牙の痕が刻まれた亡骸を見た者は限られているだろうが、とにかく、人の手、或いは事故によって死んだとは言い難く。
しかし、何故にそうなったのかの理由がつけられない事と、恐らくは唯一の目撃者である自分の記憶が錯乱していた事。
その点から、表向きは事故としてほしい、と叔父が望んだとは知らないままでいた]
……似たような、は。
状況だけに、しといて欲しいんだが、な……。
[ぽつり、と。
零れ落ちるのは、低い呟き。
深い白を見つめる翠に宿るいろは、冥い]
―急流の傍―
[今は形なき橋の前に男は佇む。
鞄と外套は個室に置いて身軽な格好であるのは
この場に長居するつもりはないからである]
対岸に人の気配はなし、と。
どれくらいで気付いて貰えるんだろうな。
[橋が落ちた事を村の者が知るのは何時になるか。
僅かに悩ましげな面持ちで対岸を見据える。
人が通りかかれば声でも掛けて知らせたいと思っていたが
今の所、誰かが来る気配は感じられなかった]
弱ったな。
次の打ち合わせに間に合う、か?
[後日、依頼主と会う予定だったが叶うかどうかは知れない]
―広間―
[“いけにえ”と少女が口にした時>>287、男は僅かに表情を険しくする。
彼女の目にほんの一瞬のそれが捉えられたかは分からないが]
……確かに、それも一理ある。
人々を先導する立場故、同時に人狼からは疎まれ、標的になり易い…… そういう事なのだろう。
つまるところ、解釈は人それぞれという事だ。
同じような話は各地にある。どれが正しいのかは、残念ながら私にも分からないな。
[そう続ける頃には既に常の調子。
幻燈歌に伝わるある一節については、男は口にしなかった]
[考え事をしていれば、遠く聞こえ来る獣の声]
――… 狼 ?
[男の耳には狼の咆哮のように思える音]
珍しいな。
[鍛冶場にいれば聞こえなかっただろう。
森の方へと視線を向けた男の眉間に薄い皺が刻まれていた]
[その後朝食の手伝いの為、居候の青年>>271に続こうとし]
……無理はしなくて良いからな。
[その直前、何処か不安気だったシスター>>260の傍に寄り、小声で囁く。
改めて厨房へ向かう背はいつも通り、真っ直ぐに伸びていた]
─ 森 ─
[ふる、と首を横に振る。
気持ちを切り替えないと、と。
そんな風に思いながら、俯いていた顔を上げて]
……さて、長居するのは危ないだろうし……。
[戻らないと、と。
声に出すのを遮るように、響いたのは咆哮の如き、声]
……っ!
[声の聞こえてきた方を振り返るが、声の主の姿は見えない。
いや、見える距離だったら、色々と問題だろうが]
……今の、は。
[響いた咆哮は、どこか身近に感じるもの。
同時に、どこか疎ましくもあるもの]
……引き寄せた……わけじゃ、ない、よな。
あの時、みたいに。
[呟きは無意識、コエへと落ちる]
……は。
[しばし、森の奥を睨むように見つめた後]
笑い話に、なってない……な。
[ぽつり、と小さく吐き捨てる]
橋が落ちて、奥には狼の気配とか。
……動くに動けやしないじゃないか、これ。
―屋敷・広間―
[ライヒアルトとベアトリーチェの言葉御伽噺程度に教会で自分も聞いたことのあるもの。
けれども話の邪魔をしないようにと、聞くだけに勤める。
ライヒアルトの小声の囁き>>305には少し心が落ち着き]
ありがとうございます。
[その後何かをしていれば少しはおちつくかなと、朝食の準備にはなにかしらと準備はすでに十分に人が足りおり]
いってらっしゃい、気をつけて。
[エーリッヒが森を見に行くと告げると、心配する声をかけながらその姿を見送り、
結局は広間で残ることになった]
―厨房―
了解した!
[厨房に入ってからは指示>>293に従う。
頼まれたパンは几帳面な男らしく、殆ど均等に切り分けられた。
続けてスープの為の野菜の準備をしながら、幻燈歌>>283という言葉を捉えたか、視線は刹那細工師に向かうが、何か言う事はなく]
……ふむ、この事態だ。使って貰って構わないぞ。
世話を掛けてすまないな。
[肉の件>>285については頷きを返し、その後は暫く手元の作業に集中した]
―→広間―
む。
くれぐれも気をつけたまえよ。
[森へ行くという声>>294には眉を寄せるものの、止める事は無く。
準備のできた食事を広間へ運び、一通りを並べ終えてから息を吐いた]
引き寄せ…ですか…?
[他への意識が少ないとよりはっきりと感じられた、そのコエに自然と自分もコエを返している。
遠吠え、確かに微かな聞こえる気がする。
昨晩にも感じたような]
月…、牙…、遠吠え…、人狼…?
[ぽつりと、ライヒアルト達の話も思い起こしながら、少しずつ何か、その答えへと近づいていた]
─ 森 ─
[しばし、森の奥を睨むように見ていたものの。
結局は、それ以上奥に進むのは諦めた。
叶うなら状態を確かめたい、と思っていた花は、奥まった所に咲いている。
そこに行くまでの積雪や倒木などのリスクと、今聞こえた獣の声。
それを無視してまでは突き進めない]
……戻る、か。
[小さく呟き、屋敷へと戻るべく、踵を返して歩き出す]
怪我したくないし、心配もさせたくないから、ちゃんと守るよ!
[ユリアンの言葉>>299に、えへん、と胸を張った。]
あ。
ロズお姉ちゃん平気?
[ユリアンと同じように、ローザ>>291へと声をかけ。
大丈夫そうだと分かると、にこ、と笑みを見せた。]
そう、引き寄せ。
[聞こえたコエに、返すのは肯定]
12年前にも、同じように、呼び寄せた。
……月に誘われて……狼に変わった、俺の、コエ、が。
だから、多分。
また、同じように、引き寄せたんだと思う。
[ここで一度、コエは途切れて]
……逃げ道。
本気でないかも知れない。
誰にも気づかれなければ……とは、思うけれど。
[獣となればどうなるか。
それを知るが故の苦さが、コエには滲む]
― 広間 ―
エリ、もしかして森?
[食事を運ぶ中に幼馴染の姿が見えなければ、一緒に食事を作ってくれてたはずの人達に聞いて。ビチェに注意したばかりなのにと、苦笑を滲ませた]
エリだから仕方ない。
[12年前、ないし、今では毎日のように森で観察してることを知らなければ意味が分からない理由のつけかたで納得した]
[ライヒアルトが食事の手伝いに行く前の会話で、
僅かに険しさが乗った表情>>302に、少女は首を傾げたが。
言葉の続きが紡がれる時には元に戻っていた為、それを指摘する事はなく。]
そっか。
色々な説があるんだねぇ。
[披露される知識に、ただただ関心していて。
口にされなかった幻燈歌のある一節に、少女はあまり気を払わなかった。]
─ 森→橋の跡 ─
[仕方ない、なんて言われているとは知る由もなく。
知ったら知ったで──「どういう意味だ?」とか言いながら、いい笑顔の一つもしたかも知れないが、それはそれ。
屋敷の裏手に広がる森を抜けて、村へと続く道へと出る]
……橋の辺り。
見に行っとくべきか、なぁ。
[言いながら、翠を村の方へと向ける。
土木知識があるわけでもなく、行ったからと言って、何かできるわけでもないのだが。
何となく、歩みはそちらへと向いていた]
こっちまで下りて来なければいいけど。
[狩人であるユリアンがいるにしても
まだ幼さの残る少女や女性も居る屋敷。
心配事は少ないにこしたことはない]
護身用の――…持ち歩くようにするか。
[作る側である男は我流なりに人並み以上には剣を扱える。
使う機会がないにこした事はないと思いながらも
万が一を考えてしまう癖はどうにも抜けない]
―広間―
お疲れ様です。
大丈夫…ですか…?少し元気がないような気がして。
[ライヒアルトが朝食を運んできて一息をつく様子に声をかけてから]
はい、さきほどいくと森の方へ。
[ユリアンの疑問にそう答えてからローザには気遣わしげな視線を向けた]
―広間―
嗚呼、つい先程出て行ったな。
[屋敷の居候について問う声>>315に反応し、そちらを見]
……如何かしたかね。
[己が変という自覚は男には無かった様子で、首を傾げる>>316のに訝しげな顔をする]
そう…、ですか…。
[ふつり、ふつりと、沸いたもの、徐々に大きくなる意識]
難しいときは……
[一度コエを途切れさせ]
くずしかないと、思いますよ。
[コエが、意識を超えて、そう応えていた]
…。
[結局、エーリッヒのあとをその場で追うことはしなかった。
けれども視線は思わず、彼の背を追ってしまった。
雪嵐に、彼が表情を曇らせていたことを知っている。
12年前の、あの出来事。
彼の両親の遺体をこの目にしたわけではない。
けれど密やかに大人たちの間に囁かれた、
尋常ならざる事態のあったことは幾分か耳にしている。
結局、彼がいなくなる前に詳しく話は出来なかったし、
彼が村に戻ってから、敢えて口にすることもなかったけれど]
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