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― 第二階層・リフレッシュルーム ―
[案の定怪訝な顔を向けられたが気にした様子もなく、出て行く姿を見送った後、フッと笑った。
静かになってきたリフレッシュルーム。
リディアの姿はまだあったろうか。もしあったのならどーする?と声をかけたかもしれない。
そろそろ武器の配給を受けて、この場所を移動すべきだろう。
持ち場の事を気にする程度の頭は一応あるようだった。
武器の配給。生まれてはじめて持つレーザー銃。
オーフェンやノブと同じく、やはりどこかオモチャのようなそれは、恐らくジョエルが構えると異様に似合うかもしれない。
パトラッシュは緊急事態で自動的にプロテクトの解除が行われたようだったが、自分のプロテクトはまだ解けていない。
もし、これを使わねばならない状況に陥るのなら。
リディアが居たならそちらへと視線を送り、
居ないならリフレッシュルームを出て、研究室へ向かって*廊下を歩く*]
―― 第四階層 ――
[近くの似たような場所では、同じように仕事を言いつけられた同僚がチェックをしている。一つの場所が終われば、次の場所へ]
[けれど、新しい場所は怖いから。
仕事の進みはいつもよりずっととろい。
……まあ、その分、雑な仕事が少しはマシになっているのだが]
[危険だ、とされる区画への加圧ゲートが開いて人が出てきた]
―― ひっ
[ぴく、っと大きく肩を震わせて背中をぴたりとコンテナにつけて振り返る。片手は銃口を向けこそしないものの、レーザーガンをいつでも打てる状態で握り締めていた。
彼が出て行くのは見なかった。
それに慣れた同僚は無条件で安心できるけど、あまり見覚えのない彼では恐怖の方が上回る。PMCの特性を知ってしまったから]
あんた、エイリアン?
来ないで。何でそんなところに入るの、行くの。
ありえない。
[反射的に矢継ぎ早に、言葉を紡ぐ。尖って小さな声。
けれど予想もしなかった言葉を聴けば、警戒は解く事なく少し黙り込んだ。値踏みするように、視線が上から下まで動く]
………それは、チーフだけど。
なに、このギョーム命令とやら、撤回してくれんの。
案内しろっていうなら、してもいいけど。ここやだし。
ってか軍人? なんで?
エイリアンが暴れだすのとか、想定の範囲内だったんだ。
[相手に告げたのは、生活班唯一の正規職員の名。
研究者や艦橋職員らの衣・食・住その他を管轄する、自分みたいな非正規の期間職員を統括する立場の人物だ]
[子連れなのが残念な警備のイケメンがいる、という噂は聞いていた。きっとそのとき、相手の登録情報だって見たけれど、この事態ではあまり結びついていなかった]
……ふ フラン。フランカ・オリヴェーロ。
[相手が名を告げるから。不承不承自分の名を告げた。
だって、軍人に疑われて"退治"されたらたまらない。
相手の一挙手一投足をじっとみて、場所を案内するにも背は見せない。少し離れた距離を保って、第二階層のスタッフルームへ**]
[矢継ぎ早の声にも動じることなく返された言葉と自己紹介ににやや間を空けてから]
よろしくフラン。ひとつずつ説明していこうか。
俺はさっきも紹介したとおり連合軍所属の軍人だ。噂くらいは耳にしているはずだ。
それから俺がこの中に入ったのは調査のため、一番危険な場所に危険なことに慣れてる俺が入るのは別に不思議ではないだろう?
もっとも、フランが志願してどうしても入りたいというのならば特別にかけあうことはできるが。
[特別ボーナスなどはたしかにつくだろうがそれに見合わないリスクがつくことは目に見えていることだろう]
エイリアンはPMCのことか?一匹小さいのは退治したが…おそらくまだいるだろうな。
それから俺がいるのは、それだけ重要な積荷だったってことだ。
[情報端末に公開されたデータを見ているならば特殊な生物であることは生物学的知識がさほどなくともわかったことだろう]
たしかに想定のひとつに襲撃云々も含まれているかもしれないが、リスクに対して対処法をあらかじめ張っておくのは当然のことだ。
案内はお願いしたい。
[そうして第二階層のスタッフルームまでフランに先導してもらうことになった]
―第二階層・スタッフルーム―
[道中こちらに警戒を向けたままの様子に]
全員が全員、フランのように注意しながら仕事にでているならいいが、いまだ表立った事件が出ていない以上、そうじゃないものも出るだろうな。
[話しかけながら]
寄生されるものが出る前に第四階層は一度立ち入り禁止にし、きちんとした装備のものを配備した方がいいかもしれないな。
[先ほどの自分のように誰かが襲われて寄生される可能性は十分に考えられる]
業務命令については善処しておこう。
[そのままスタッフルームの前に着くとお礼の言葉をフランに告げ、IDの認証を終え中へと。
フランも報告があるならば一緒にはいることになるか。
ノブからの謝罪と連絡が届くのもこの頃になるだろう**]
─ 第三階層 PMC専用実験室 ─
[休憩も入れず、延々とPMC判別方法についての研究を続ける。
思いつく限りの方法を試したが、一向に解決の糸口が見えずに居た]
ちっ、これもダメか。
……こんな時、あいつに相談出来りゃあな───。
[行き詰って思い起こしたのはアンドロイドの、否、その元となった研究者の顔。
互いの研究が行き詰ると、愚痴の言い合いのように話をし、そこから解決の糸口を見つけたりもしたものだった。
そんな間柄にあったため、彼を基にしたアンドロイドを作ると言う話になった時、自ら志願してその製作に関わったのである。
ヒトの手でヒトを作ることに対しての興味があまり無かったのに、だ。
結果、出来たアンドロイドに対して落胆したのは言うまでもない。
無理をして最高の生体素材を使ったにも関わらず、中身が自分の期待したものにはならなかったのだから]
……キャップ、少し休憩を───どうした?
[目頭を揉みながら、頭を一旦休ませようと思い研究責任者に声を掛ける。
しかしその言葉は彼女に届いたメールにより途切れることとなった]
…例の場所に、穴?
しかもPMCにあの軍人が襲われただと?
[それは軍人からの報告だったようで、伝えられた内容を聞いてバンダナの下できつく眉根を寄せた]
Shit…!
別の階層に移動しちまってる可能性が高くなったな。
襲ってきたその一匹しか居ねぇってことはねぇだろう。
徐々に嫌な方向に事が流れて行くぜ。
[小さくない舌打ちをして、また頭を掻き毟る。
苛立ちを発散させるように、一頻り頭を掻き毟ると視線を研究責任者へと向けた]
アンタは寄生されてたりしねぇだろうな。
[半ば自棄になったように言葉を紡ぐ。
返って来たのは分からないと言う言葉]
……自覚があっても「はいそうです」なんざ言わねぇわな。
そもそも寄生された自覚があるのかも分からねぇ。
めんどくせぇ奴を手に入れたもんだな。
[PMCを利用して医学発展を考えたこともあった。
しかし現状を思えば、手を出すべきではなかったと考えたくなる。
一度研究責任者から視線を外し、大きく息を吐くと再び視線を彼女へと向ける]
ちっと休憩してくる。
煮えた頭のままじゃ碌な考えも浮かばねぇ。
[その言葉を紡ぎ、白衣を翻して踵を返すと、専用実験室から立ち去るのだった]
―第3階層・廊下―
[居並ぶドアに首から下げたカードを押し当てても赤表示だった。guest登録では中には入れないらしい。当然といえば当然だが。]
ちぇ。ここならPMC見れるかなー、って思ったんだけど。
[少しは知恵が働いたらしい。
当初の予定やら何やら、大いにすっ飛ばしているが。]
誰も来ないし…何かないかなぁ…ん?
[誰か来たら逆にまずいのだが、そんな事を言いながら、通路のすみに何かが落ちているのに気づくとそれを手に取った。]
あれっ、カードだ。
[首から下げているそれと似たようなもの。
記載されている名前は知らなかったが、研究者の物のようだった。
どうしてそんなものがここに落ちていたのか――子供の頭で解るはずがなく、ただ]
─ 第三階層 通路 ─
[篭るような空気──空調がしっかりしているため実際には空気が篭ることはないが──から開放されて、通路で大きく息を吐き出す。
口許に火をつけた煙草を運び、珈琲を飲みに行くかと決めたところで、目端に小さな影>>178>>179が映った]
…………。
[何故子供が、と言う疑問以前に研究室の中に入ってしまったことにきつく眉根を寄せる。
紫煙を立ち上らせる煙草を口に銜えたまま、子供が入ってしまった研究室へと近付き。
自分のカードを使ってその自動扉を開く]
───何をしている。
[低い声が、出入り口から子供の背中に向かって投げられた]
─ 第一階層・艦橋 ─
[ジョエルは時々不思議な行動を取る。
怪訝な顔はしたけれど、すぐ開放されたこともあって無理に振り払ったりはせず。わけのわからないまま艦橋に戻った]
遅くなりましたっと。
[戻った艦橋には常になく冷たく固い空気が漂っていた。
挨拶は宙に浮いて、うなじを掻きながら通信席に入る]
『To Carlos=Balada
すまない。呼び戻される前に会えなかった。
船員のジョエルには話しておいたから』
[準備の合間に短い私信だけはちゃっかり挟んでおいた。
船内確認作業かと思ったら先に別の指示が来た]
― 第一階層・艦橋 ―
……Yes, sir.
『 Code_χ----extra scramble mode on. 』
[研究チームがこれまで集めたデータを、特殊な暗号状態にして長距離通信波に乗せる。
これがデータの全部かどうかは知らないが。
最高に最悪の事態…船全部を廃棄する羽目になった時のことを考えての作業だと思ったが、黙ったまま淡々と進めていった**]
─ 第二階層・食堂 ─
[ワッフルと、適温に冷めたコーヒーを片付け、深呼吸一つ。
気持ちの制御ができたなら、獣化兆候は抑えられる。
胸元に手を置いて、もう一度深呼吸して、目を開けて]
ん……。
[直後に聞こえたのは、呼び出し音]
はぁい、こちらキルフェンリート。
……ああ、はいはい、すぐに戻りますわぁ。
[急げよ、という短い一言と共に途切れた通信に、はあ、と息を吐く]
(みんな、気ぃ張ってるなぁ……)
[それもまた、無理もない事か、と。
そう、思いながら食器を片付けて第一階層へと足を向ける]
─ →第一階層・艦橋─
はぁい、おそぅなりましたぁ。
[艦橋に入って投げるのはいつもと変わらぬ挨拶だが。
やはり、場の空気にはそぐわなかった。
やれやれ、と大げさに肩を竦めて、自分のシートに滑り込む]
航海設定、現状変更予定は?
……そ、これから協議ですの。
[いずれにせよ、今起きている事態が収束せねば寄港は難しいだろう、という読みはあったが。
その辺りは、上もわかりきっているだろう]
Yes, sir.
警戒モードにて、待機いたします。
[そこだけは真面目な口調で言って、先に休めて行ったシステムを再起動する。
映し出される予定航路図。
何事もなく、この通りに進めるのか、という疑問は、当面押し込めた]
─ 第一階層・艦橋 ─
[待機する、と言っても、何もしないわけではなく。
複数パターンの航路変更シミュレートと、最悪に備えての計算は動かしてゆく。
現在の搭乗人数、目的地までの距離。
万が一艦を破棄する事になった場合、脱出艇でどう進めばロスが少ないか。
その辺りは、事前に割り出しておいて損はない]
(なるたけ、無駄になってほしいんやけどねぇ)
[意識の片隅ではこんな事を考えつつ。
手は忙しなく、パターンをシミュレートしてゆく]
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