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職人見習い ユリアン に 3人が投票した。
青年 アーベル に 1人が投票した。
司書 オトフリート に 1人が投票した。
少女 ベアトリーチェ に 4人が投票した。
少女 ベアトリーチェ は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、薬師 ミリィ が無残な姿で発見された。
次の日の朝、蒼月の『絵師』 エーリッヒ が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、白練の歌子 エルザ、学生 リディ、職人見習い ユリアン、青年 アーベル、奏者 ミハエル、司書 オトフリート の 6 名。
[ユリアンとエーリッヒのやり取りには口を挟まず黙って聞きながらも]
でも…俺らの代でいけんのかな…
[今まで考えてなかったけれどぽつりと小さく呟き]
そうだな。その人に頑張ってもらうしかないか。
ってか色々聞いてわかったことだが…
なんかできることって、俺…なさそうな気が…
[注意してみたり。誰かから話を聞いたりなどはできてもそこまで。という情けない結論]
あ?ああそりゃもちろん。
にしても何かって、縁起でもねえなぁ
[エーリッヒの言いたかった意味をその場ではわからずに、ただ苦笑を返して]
[小さな子供は、手を引いても大人達に邪魔されて、なかなか思うように進めない。結局、痺れを切らしたのは男の方で、そのまま子供を腕へと抱き上げた]
何だ?
[その視界に近づいて来た都市の上層部の者達の姿が映る]
そっか。なら安心……ん?
[ざわめきに視線を向けると、そこには上層部の連中。
意図せずとも、スッと眼が細くなる。]
おいでなすった。審判の刻ってとこですか。
[ミハエルのことを返事するとエーリッヒは少し安堵したようにも感じて内心首をかしげる。仲がよい兄弟なのだろう。そういえばミハエルもなんだかんだいって気にかけてたし。などと思っていれば。上層部。なるものの姿が目に入り]
なーんでかしんねーけど、ああいうのがいけ好かなく感じるのはなんでなんかなぁ。
[思わずぼやく]
[ジッと上層部の連中を睨んでいたが、その耳に入るエーリッヒの言葉。
それに呆けた様な顔で振り向くと]
はぁ? 何いきなり。そんなんまるで…………
[だが、そこで喉まで出掛かった言葉を飲み込み]
……ん。わかった。
もしそうなったら、俺が何が何でもミハエルの奴守ってやんよ。
[そう言って、エーリッヒに笑顔を向けた。]
[彼らが近づいて来たのは、司書の前、ではなく、正確にはその腕に抱かれた子供の前だった]
「ベアトリーチェ・ザックス、君は、絵を見れば、それが絵師の描いたものかどうかが分かると言ったそうだな」
[子供は怯えながらも頷いた]
「それが真実とは到底信じられない。よって、お前が絵筆を盗み出した本人である懸念があるとの結論に達した。子供のいたずらではすまされない。持っているならすぐに返しなさい」
歌っちゃだめって、怒られたのだけれど…いいなら、行って見たい、わ。
だって、…――のご本があるかもしれないし。
[ぽつり、言ってふると頭を振る。
オトフリートがベアトリーチェの方へと寄っていくのを見送り
首を傾け、籠を抱えあげた。]
あ、そうだ。
絵師さまに、会わないといけなかったのだけれど…
[小さく呟き、周りを見渡す。
同じ金の髪が目に留まるが、それは弟で。
そこに一緒にいたひとたちに何も言わず
ふらり、ゆっくりとした足取りでその場を離れた。]
絵師様にあって、顔をおぼえて。
ヒカリコケは手にいれたし、後は綿毛で雲?
うふふ。たのしみ。
[楽しくて 楽しくて
足取りは、軽やかになる。]
[子供がそれを持っているはずはなく、怯えた口から抗弁が紡ぎ出されることも難しいのは当然だった]
「では、仕方がない。絵師殿、この子供をしばらくの間、封じてください。そうすれば反省もできるでしょう」
[絵師は、あまりに根拠が薄いと抗弁したが、決定は決定だと言い張る相手には通用しなかった。子供をかばえば、自分たちも疑われると思うのか、或は自らも疑いに飲まれたか、周囲の人々からも、封じを肯定する囁きが漏れ聞こえる]
[このままでは、封じずにいても子供は、人々の疑いの目にさらされる、そう絵師が思い至ったのは、親しい人々には明白だった]
[一団は己が先程見ていた少女の前へ。
その言葉は断片しか聞き取れなかったが]
…え。
[どうやら少女が疑いの対象らしいと知り、眉を寄せる。
その傍ら、影が一つ離れて行くのには気付かない]
[絵師が子供を抱く男に近づくと、男は、その目をまっすぐに見返したまま子供を地に降ろした。屈み込んだ絵師が、子供に何かを囁いたが、その声は周囲のざわめきに飲まれて誰にも聞こえなかっただろう]
[この場で封じを行うのは不適当だと、絵師は言い。立ち会おうとする実力者達と共に、アトリエへと子供を連れて立ち去っていった]
[そして、子供の絵が、描き上げられたのは、それからしばらくしてのこと]
は?
[オトフリートの前で止まった上層部の人間は、オトフリート、ではなく彼が腕に抱くベアトリーチェにであった。
絵師が描いたものかどうかわかる。などというのはわからなかったが、ベアトリーチェが疑われたというのはわかって、思わずエーリッヒを見る。
最もその表情は陰になって見えなかったが]
仕方ない…なんて言いたくない
[静かに静かに呟く。ただベアトリーチェが盗んでないとかさえ知らなくて
すまないとも。ごめんともいえなくて]
ベアトリーチェ。
[それでも何も言わずに見送ることも出来なくて声をかける]
大丈夫…だから、な?
[それは、戻せるといったエーリッヒにも言うように。告げて]
ん?おばあちゃん?…ああ、わかった。ミリィ先生にいっとく。
[少しでも安心を与えれたならよかったと思う。ただそれは己の自己嫌悪を紛らわせるためなのかもしれないと心が晴れるまでには至らないが]
[そうこうしているうちに上層部の連中が選び出したのは]
んな!? ……あいつら、あんなちっちぇ子に疑いの目向けやがんのかよ!!?
[苛立たしげにそう呟き、エーリッヒへ封じの依頼をするためこちらに来た連中に口を開きかけるも、エーリッヒに制止される。]
な!? 兄ちゃん、何で…………くっ。
[文句を口にしようとするも、こちらを見るエーリッヒの視線に口を噤む。
そうして、抗弁の間もジッと怒りに満ちた眼で上層部の連中を睨んでいたが、周りから漏れ出る肯定の囁きにとうとう沸点をオーバーし、]
……っざけんな!! てめぇら、自分さえよければいいんかよ!?
こんなちっちぇ子を寄って集って………くそっ!!
[そう言うと、苛立たしげに広場をあとにする。
無論、その苛立ちの中には何も出来なかった自分への怒りも多分に*含まれていた*。]
[ふらり、歩いていると
上層部の人間が歩いていくのが見える。
その中に、絵師の金髪が見えた気がしたのだけれど、
ごきげんよう、と声をかけても勿論振り返る訳も無く。
少女は籠を持ったまま、眉をさげた。]
…ちくしょうが!!
[絵師と一塊の集団が消えるのを見送ってから毒づき、地を蹴る
ユリアンが自分より一足先に感情を横でむき出しにしていたからこそ止まれたのかもしれないが]
忘れねー内に…いかねーとな。
ミリィ先生。診療所にいるかなぁ。まあブリジットはいるだろうし
[気を静めながらも言われたことをと思って、広場から診療所目指して歩き出す]
[民衆のざわめきの中に混じって、その顛末をただ見ていた。
幼馴染みの怒鳴る声が聞こえる。
ぐ、と拳を握り締めた]
…僕は、何を。
[言ったところでどうにもならないと知っていて、それでも何もできなかった己に歯痒さが生まれた]
―診療所―
…ども。…あ、ブリジット。いやいや、別に怪我でも体調悪いわけでもねーよ。
んあ?暗いって…いや、なんてーか。…広場で何があったか知ってる?
[とブリジットに聞けばミリィ先生から聞いたといい同じように表情を暗く。少ししてすぐ気を取り直したようにする。ってことは]
で、ミリィ先生いるんかな。ちょっと頼みてーことがあって、奥にいるんだ。調査?
[そういっていた。そして何か実験をしていたとも]
若くなるための実験…だったりして
[怒られますよ。と苦笑するブリジット。直後、悲鳴でもないが、驚いたようなミリィの声があがる]
[アーベルと、ユリアンの怒声。
肩を竦め、籠を抱いて周りを見回した。]
……いや。
[小さく、口の中で呟く。
ふるふると頭を振って、きゅと目を瞑った。]
[『絵師』と少女を含めた一団が去り。
集まっていた人々も、徐々に解散して行く。
彼らが口にするそれは無責任な噂であったり、誰かへの疑いであったり。
その中でただ独り、アトリエのある方向を見て]
兄さん…
[ちらと見えた横顔を思い、言葉は小さく揺れた。
それから俯いて、自宅へ**]
やだ、やだ、やだ――!!
[怒声が、怖い。
はやく、とめなきゃ。
はやく、願いをかなえなきゃ。
耳を押えて走りながら、自宅へと駆け込む。
急いで急いで、紙を広げ、染料を取り出して。
筆を鞄から出し、荒っぽい筆先で絵師を描きなぐり始めた**]
[驚くこちらを余所に、またですか。というようにしているブリジット。
そして奥の部屋を開ければ、その部屋には広がる黒と。唯一染まっていないミリィの体が横たわっていて]
ちょっ!?ミリィ先生!?
[ブリジットとともに駆け寄る。かすかに呼吸をしていてるようだが、ブリジットがいうには眠りとな似て異なるというものらしく]
そりゃよか…いや、よくねえけど…ブリジットは何してたかしらねーの?
[それは知らないといって首を振る。
そこで何をしていたか知れば、調べたものの一部が見つかるのかもしれないが、それを知らぬ...はミリィを抱え寝台に運んだ。]
どうすりゃ…いや、とにかくしっかりしねえとな。わかんねーけど
なんとなかなる。だよなっ。ブリジット
[暗い空気をなくすように言って]
あ、そういえばなんだが、ベアトリーチェにおばあさんに薬をとかいわれたんだが…知ってる?
[聞けばそれは知っているらしく。任せてよいようなのでほっとしたところに患者が運ばれてくる。
この事件によって起きた諍いで起きたけが人であるらしく]
ぁー…大変そうだし、治療とわかんねーけど、手伝えることある?
[そこから手伝うことになり、ミリィのことを聞かれたらわかることだけ説明しながらブリジットの指示を聞く。そんな患者や薬をもらいに来た人間より、ミリィが原因不明で意識を失っている。と広がるだろう。…若返りの薬を作って失敗したとも少し広がるかもしれないが、なれない仕事に四苦八苦している...には*知らぬこと*]
[怒る者、悲しむ者、去る者、残る者・・・・全ては遠くその目に映る]
馬鹿げているな。
[くちゃり、と蜜蝋を奥歯で噛み締めて。男は空を・・・・空を閉ざす岩の天蓋を見つめて嗤った**]
―広場―
ビーチェが?
なんで?
[きょとんとして、
それから、ああと思い当たった。]
「お前もあれ怪しいと思ったのか?」
あれ?
違うよー。さっき泣いてる子がいたから
「なるほど。まあそんなとこだ」
サンキュ!
―エルザの家―
絵、もう描いててくれたんだね。
だいじょうぶ。
こわいのも、すぐ終わるって。
[渡された絵筆を受け取る。
そのとき、チリと頭の中で火花がはじけた。]
[騒動から一夜明け。
兄のいる筈のアトリエへ向かう。
それは貸したままのバスケットを思い出し、引き取りに行くためであり、或いは一連のことで心配していたからでもあり。
途中、ミリィの名が囁かれるのも耳にしたが、立ち止まって確認するだけの余裕は今はなかった]
[そうして着いた先で目にした、アトリエに慌ただしく出入りする数名の要人。
己が中に入れてもらえたのは、それが判明して間もなかったからだけでなく、弟という立場もあったかも知れない。
部屋の奥、壁際のベッドで兄が眠っていた。
それだけなら、何ということもない光景。
だが傍に寄ってみれば、呼吸も鼓動も微弱で。
頬を叩いて、声を掛けても反応は返らなかった]
やだ
なに、これ
[視界が黒くなるようで、
あ、と一瞬思った。
これに気付かれたら、いけないと。
エルザの様子も、居る場所のことも考えないで、黒を消すために心で叫ぶ。]
[その瞬間、黒は消える。
ほっとしてようやく気がついた。
てのひらに、びちゃりと、青い染料がついていた。]
あちゃあ。
これ、落ちるかなぁ。
[今のことが嘘のように、
少女は顔をしかめて青を見た。]
[声なく膝をつく、その耳に届くざわめき。
朝連絡に来たら既にこの状態であったと、第一発見者らしき男が語るのが聞こえる。
先日のギュンターや、昨日のベアトリーチェと同じ状態だ、という声が聞こえる。
『絵師』がいなくてこれからどうするのかと、囁き合う声が聞こえる。
そこに兄を――エーリッヒ=リヒトの身を案じる言葉は含まれていない。
ふつり、何かが切れる音がした]
…絵筆を。
[背を向けたまま、感情を抑えた声が響く]
『絵師』が必要なら、僕が。
兄さんが……いえ、当代が戻るまで。
僕がそれを継ぎますから。
[周囲は一度静まり返る。
その言葉のみでなく。
振り返ったその首筋に浮かぶ、蒼の月に]
[事態を把握した周囲から、またぽつりと声が洩れ出す。
やがては倒れた『絵師』のことと共に、己のことも伝わるのかも知れない。
何処かを睨むような緑は、今はただ、微かな震えが周囲に悟られないことを願った**]
[やがて、白い綿毛の雲と、
あおい空と、あおい海。
その中央に、ヒカリコケできらきらした金色の髪の、絵師の姿。
そんな絵が、できあがった。]
―海水通路―
あー、落ちないー。
[ごしごしと手を擦っても、少女の手から青は落ちない。
てのひら一面が青く染まって、視界が一瞬黒くなったことを思い出した。
黒は塗りつぶしてしまうから好きじゃない。
誰にも見つからずにここにきていた少女は、仕方ないとばかりに立ち上がった。]
ま、包帯でもまいとこっかな。
ミリィせんせーのとこにいって、もらってこよ。
……見せないとくれないってこともあるかな。
うーん。
[ぺたぺたと
ヒカリコケを粉にしたものを絵に一生懸命張っていたら、リディが心の中、叫ぶ。
驚いて、手を止めてぽかんと様子を見ていたけれど
どうやら無事なようなので、にこり、笑った。]
だいじょうぶ?
[そして完成した絵を見て
また、さらに嬉しそうに、わらう。]
うん。
綺麗にできてよかったよね。
インクはきっとすぐ落ちるよ
[その時は、なかなか落ちないなんて知らなかったから。]
インク?
うん、誰かに見られたら、うたがわれちゃうよね。
[母親が、染料のついた父親の服を洗う時に
何か言っていた気がするけれど
そんな遠い記憶が彼女の頭の中に
再生されることは、無かった。]
今日の絵は何処に隠そうか。
[ゆらゆら揺れる、無重力の夢。
毎日のそれから目を開いて、体を起す。
昨日と全く違うのは、ヒカリコケが地面に散乱してキラキラと
必要以上に部屋の中が明るいこと。]
ぅふぁぁ。
[大きな口を開けて緊張感の無い欠伸を零し、
何時ものように支度を整えると、
何時ものように家の扉を開いて外へ出た。
屋根の上からせり出した岩が薄い暗闇を作る家の周りが
零れたヒカリコケのせいで、ぼんやりと、明るい。]
濡れないように、してね?
折角の色が、伸びちゃうもの。
[聞こえた声に嬉しそうに答え
絵筆を握っていた手をきゅっと閉じる。]
絵筆は、今日はあなたが持ってて?
今日はお洗濯しないといけないから、落としちゃこまるの。
見つかりそうになったら、どこかに隠すといいと思うの。
声を出さずに話せるから、取りにいけるわ。
わかった、持ってるね。
ちゃんと隠して、みつからないようにしないとね。
絵筆も、絵も。
よし、いってくるよ。
[そう言って、少女は、彼女の家を出たのだった。]
ハンカチにしとこ。
でも一応、ミリィせんせーのとこにいってみようかなー。
[ぐるぐるとハンカチでてのひらの青を隠すと、
その場をあとにした。
かすかに光る、ヒカリコケ。
岩場の間に隠されたのは、綿毛の雲と、あわく光る金の髪、そして
海の底のあおと、
空の上のあおい色――]
―広場―
え、新しい絵師様?
[きょとんとした。
話はちゃんと伝わっていて、ご兄弟でどうのこうのと盛り上がっている。
倒れたというのも、ミハエルが次の絵師だということも。
口を引き結んで、少女はアトリエの方を見た。
心配してるのかといわれ、こくりと頷くだけだったけれど。]
ミリィせんせーのところいかなきゃ。
うん、怪我しちゃってさ。
でも忙しいかなぁ?
[歌う声とテンポを合わせ、肩からかけた鞄が腰で跳ねる。
町へ出てすぐに、昨日とまた違うざわめきが
都市を包んでいるのが判った。
不思議そうな顔をして、箒を持ったまま話しをする主婦に近づくと、
当代の絵師が、とかなんとか話が聞こえた。]
えしさま。
[それでも少女は、今日はやる事があると。
キノコ畑の方へと、向かってぱたぱたと走って行った。]
え?
ああ、うん、意味がわかんなくってぼーっとしてた。
若作りの薬かぁ。
本当にそうなのかな?
ううん、なんでもない。
だってミリィせんせー、若作りするより絵師様と一緒にいたがりそうな気がしてさぁ。
ただでさえ幼顔なんだから。
[言いたい放題。]
うん、さっきの、ええと、
なんかはじけたみたいで、黒かったんだよね。
よくわかんないんだけど。
どっかいけって思ってたら、いなくなったから。
もしかしたらミリィ先生が、筆を持ってるわたしたちのこと、調査してたのかもしれない。
ちょうさ?
それは、いやね…判っちゃうのは。
まだ満ちてない、みたいだから…足りないみたいだから。
黒かった?
もう…大丈夫なの?
全然、判らなかった。
[勿論少女は「調査」されていないのだから
判らなくて当然なのだけれど。]
でも意識不明みたいだから、
もう調査もないと思うよ。
だから大丈夫。
[にこりと笑った]
多分、わたしだけだよ。
あなたはばれてないと思う。
そっか、良かった!
[2人とも安全、だと思うとほっとして
嬉しそうに笑う。]
あとで、絵師さまのアトリエの方にも行って来るわ。
2本目の絵筆をもらいに。
でも、ひとがいたら、無理かなぁ?
え…
そんなの、ズルいわ。
[告げられた言葉に、むっとして返す言葉。
ちょっとだけ考えて]
じゃあ、そっちの絵をまた、描けば。
2本目、もらえるのかしら。
だって2人いるのだから
2本ほしいわ、よね。
描いちゃおうか。
昨日のヒカリコケも残ってるから、キラキラ金髪、描けるわ、よね。
そうだね。
一本より、二本の方が、効率が良いし。
ヒカリコケできらきらだもんね。
きれいな金色がつくれるから、やっぱりかいちゃおう。
はへ?
ああ、うん。
ほら、こんなかんじじゃない?
[不思議そうに声かけられて、ようやくその動きに気付いたのか、
少女は慌て気味に言った。]
絵師様のことお好きなんだから、
ミリィせんせーはきっと、お知らせを聞いて、倒れちゃったんだよ。
かいちゃおう!
[決めれば、なんとなく嬉しくなる。
綿毛はいっぱいあるし、ヒカリコケもまだ足りる。
あとは]
あ、あなたが昨日胸に挿してたお花、
あれを使って目を書けば、きれい、かしら?
[ふと自分の今向かっている先、水晶花の花畑を考えて思いつく。]
[キノコ畑を抜けて、水晶花の花畑へと。
その先の、水が湧き出る場所の川下で、
鞄に持って来た洗濯物を洗い始める。
水に浮かんだ水晶花の花びらを見て嬉しそうに笑い、
暫く冷たい水の中で手を動かしていた。]
♪レ アリシ スヴィルッパ
ヴェルソ イルシェーロ、
ヴォグリオ アンダレア ヴォラーレ
[歌声は、高く高く響く。
そのうち歌うことと、手を動かすこと
どちらがメインでやっているのかわからなくなる程。]
いったん家に戻ろうかな。
もしかしたら包帯は常備であるかもだし。
絵師様のアトリエ…
お見舞いいきたいけど、無理でしょ?
それにきっと、すぐ終わるって。
[じゃね、と、手をひらひらさせて*自宅へ戻る*]
うん、お願い。
足もちょっといたくなってきたし、
手の色も、ちゃんと隠さなきゃだし。
あなたにいっぱい任せちゃって、ごめんね。
あ、筆は大丈夫だよ。
ちゃんと持ってるから。
うぅん、全然よ。
やる事があるって、素敵なの。
だから嬉しいの、嬉しいのよ。
[ふふふ、と、とても嬉しそうに笑った後
声は、心配げに少し低くなる。]
足?
だいじょうぶ?
おくすり、もらったほうがいいわ?
大丈夫だよ。
ちょっと動きすぎたからつかれてるだけ。
動かないでいれば、落ち着くと思うし。
どうせ今日は糸かなーって思うし。
そしたら動かないから、問題ないよ。
そう。
良かった。
[聞こえる声に、安堵する。]
おくすり、苦いものね。
何か苦くなくなるものがあるってゆってたけど、
いないならそれも貰えないのね…。
[うん、と頷いて
洗濯物を入れる革袋に、水晶花をちぎり、入れる。]
心配かけてごめんね。
でも、大丈夫だよ。
[にへらと笑う]
だって、もうすぐ空にいけるんだから、
痛いのもなにもかも、なくなるって。
― 図書館 ―
[今回やってきたのは伝令ではなく、都市の上層部を担う一人だった。絵師が封じられ、同時に継ぐものとして、ミハエルが名乗りをあげたこと、薬師までが倒れたことなどを、早口にまくしたて、かつての記録に、このような時の対処法が無いかと尋ねてくる]
ありませんね。
[あっさりと答えると、相手は絶句という形でようやく口をつぐんだ]
それで、ベアトリーチェのことは、どうする気です?
間違いだったのでしょう?
ならば、彼女の解放をミハエルに任せれば、彼の力を確かめる事も出来る。
[その言葉には、まだ無実と決まったわけではない、と、言い訳めいた返事]
なるほど、すぐに解放をしたのでは対面が保てませんか。
[笑みを含んだ声に、相手はむっとした様子になった]
ともかく、彼女は体力のない子供だ。もしものことを考えて診療所に身柄を移すことをお勧めしますよ。
[もしものこと、という言葉に、多少の不安を抱いたらしい相手が頷くのを見てから、更に言葉を継ぐ]
ミハエルが絵師として勤まるかどうかは、すぐに判るでしょう。
[やがて、難しい顔で客が帰っていった後]
どちらにしても、絵筆が二本揃わなければ、な。
[デスクの底から、小さな小瓶を取り出す。中には乾燥したキノコの粉]
もう、薬師殿に叱られる心配も無い、か。
[呟いて瓶を開け、直接、粉を吸い込む。五感の感覚を異常に高めると同時に、僅かずつの毒を体に貯める毒キノコが、急激に体を支配する]
[その感覚の導くままに、たどり着いたのは、ヒカリコケの狭間]
ここにいたか、エーリッヒ。
[あおに包まれた絵師の絵を見つめて、兄が死んでから一度も呼ばなかった、友の名を呼んだ**]
じゃ、糸つくってきまーす。
[新しい包帯を手にいれ、手のひらをぐるぐると巻いた。
あやしまれるかもしれないが、あの青を見られるよりあやしくはない。
海と空は、綺麗な青なのだから。]
―→糸工房―
―糸工房―
綿毛畑が駄目かぁ。
大変だね。
いつか綿毛と一緒に空にのぼるのにねー
「そうそう。男って野蛮よねー」
ねー
「で、それどーしたの?」
うん? この手?
ちょっとねー
ヘマやっちゃって
「また怪我したの? まったく鈍いんだから」
し、しかたないじゃんー。
よし、おわりっと。
[濡れた洗濯物の上に摘んだ水晶花を沢山乗せて、
彼女は歩く。踊るように、跳ねるように。
ざわざわとした町の人ごみは、割れるように彼女を避けた。]
〜〜♪
[鼻歌を零しながら、自宅に向けてあるく少女に
「絵師さまが」「診療所の薬師が」などと言う言葉が届く。
それから、小さな少女の名も。
だが少女は気にせず自宅の扉を、開いた。]
[洗濯物を干すと、白いワンピースはまるでキャンパスのようだと、思った。
思わず、昨日使った染料を、指に取り線を引く。
白いワンピースに、青い筋。
愉しくなって、何度も笑った。]
[それから少女は鞄を肩から斜めにかけて外へ出る。
広場を抜け、たどり着いたのは診療所。
上層部の人や患者、色々でブリジットが難儀していて、
もしかしたら昨晩からずっとアーベルもいるかもしれない。]
ごきげんよぅ、こんにちはぁ。
[声をかけてみたが、人々の喧騒で声は届かず。
眉を顰めてむぅと唸っていると、更に大きな喧騒が後ろからやってきた。]
[振り返ると、小さな少女を抱いた大人と
それを心配そうに見る少年が1人。
ティムと呼ばれるその少年は、
抱かれた少女に声をかけている。]
あら?あらあら?
[ベアトリーチェを抱いた大人は、
診療所へと入っていくとブリジットと何か話し
中へと、入って行った。
少年が続くその後ろ、
口の中で小さく歌を紡ぐ少女も後を追った。]
[ベアトリーチェがそっと寝台に寝かせられると
連れて来た人達はブリジットに何か言った後、
ティム少年を良くベアトリーチェと一緒に居た等面倒な理由で、
手を引いて連れて行く。
直後少女がベアトリーチェの眠る病室に顔を出して覗き込むと、
桃色の爬虫類が主人(?)の肩のあたりに居るのが見えた。]
…かわいい。
[そっと歩み寄り、アトリーと呼ばれていた爬虫類に触れようと手を伸ばすと、ベアトリーチェの頬に手が触れた。
触れた彼女の冷たさに、びくんと驚いて手を引き戻し、
少女は少し目を瞬いて首を傾け、じっと見つめた。]
「あ、リディ」
ん? なあに?
「? あれ、なんでもない。オトせんせー元気?」
わかんないけど、
うーん、いつもどおり?
いまのところ、どんな様子かは見てないけど。
「ありがと。じゃーね!」
おう、じゃーね!
[少女は自分の目が、一瞬、漆黒に変わったことに気付かず、
そしてその友人たちも忘れた。
その黒は、ミリィの部屋を染めたものと同じ。
探ろうとした力を、無意識のうちにおさえ、弾いたために移った色。
そんなことも知らず、今はいつものアンバーの目で、
図書館に*向かうのだった*]
お願いします。
[男達は去って、表に見張りが数名立つばかり。
己の姿を見る者がその場にいなくなり。
緊張は解け、疲れたように壁にもたれ掛かった。
命じたのは2つ。
何処かにある筈の『絵』を探すこと。
そして、自分がいない間の絵筆の監視。
無闇に使用されぬよう、心得のない者がそれで描けば自分が封じられてしまうかも知れないと、嘘を一つ交えて。
下手な嘘だったが、少なくともその場にいた人間は信じたようだった。
それでも絵筆を使おうとする者がいるならば、余程の根拠を持っているか、或いは真実を知る者になるだろうから]
[噂も既に広まった頃だろう。
中にはなお己への疑いを解かず、昨夜ミリィが言ったような理由で絵筆を隠しているのだと言う者もいるかも知れない。
今の立場を手に入れるために]
…兄さんみたいには、なりたくなかったんだけどね。
[苦笑を零し、眠る兄を横目で見遣る。
『絵師』として尊敬を集める兄に憧れなかったわけではないけれど、それが己には重荷であることも十分理解していた。
握り締めすぎて白くなった手を目の前で開き、閉じた]
[そうして、もう一つ聞いた話]
ミルドレッドさんが、か。
[若作りだとか何とか聞いた時は、流石に瞬いたが。
彼女の意識が戻らぬ限りは、絵筆を探す術とやらもまた潰えたことになる]
…どうすればいいんだろう。
[途方に暮れたように呟く。
視線を向けた先には、昨夜描かれたばかりの少女の絵があった]
…とにかく。
ここで、こうしててもダメだ。
[息を吐き出し、表情を引き締めた。
兄の身体が冷えないように毛布を掛け直してから、表の者に言付けて、外に出て行く**]
…つめたいの。
[触れたベアトリーチェは、仮死状態で。
とても、冷たくて驚いた。
青ざめてしまったピンク色の唇は、
今にも何か話しだしそうには見えたけれど。]
待ってて、ね。
ちゃあんと、ここを出るから。
―診療所―
[ベアトリーチェの横に立ってじいっと見下ろして、
どれくらいの時間が経っただろう。
アトリが彼女のそばを離れないのは、
まるで護っているように見えたかもしれない。
暫くして、その時間が絶たれたのは、カタンという音。
何かが倒れるような音に驚いて誰かが現れれば]
足、痺れちゃった。
[見せたのは、何時もと変わらない、
――いつでも本当に変わらない、笑顔。]
─自宅─
[唐突に響いた鈍い音は、彼が壁を思いっきり殴った音。
殴られた壁からは、ぱらぱらと土の破片が零れ落ちる。
さらに、硬く握られた拳からはぽたぽたと紅い血が垂れる。
だが、それに頓着することなく、ごっ、と額を壁に押し付ける。
その表情は垂れた前髪で窺えないが、涙が頬を零れていく。]
……ちくしょう。何も出来んかった!!
兄ちゃんとの約束守らんといけないとか、お役目とか、んなの何の理由にもなんねぇよ!!
あんな怯えた顔してたのに。気休めにでも……大丈夫とか言ってやることも……くそっ。
うっ……うぅ。
[そのままずり落ちる様に床にへたり込むと、そのまま意識の糸を手放したのであった。]
[それから幾程かの時間が経った後。
次に彼が目を覚ました時、耳に届いたのは、ベアトリーチェを描いた後にエーリッヒが封じられたこと。ミリィが倒れたこと。
……そして、エーリッヒの代わりの『絵師』として、ミハエルが選ばれたこと。]
…………な、んだよそれ。いくらなんでも風雲急すぎんだろ。
[そのあまりの急展開に、しばし頭がフリーズした。]
ねぇ、足が痛いときにはる冷たいヤツ、欲しいの。
[痺れた足を摩りながら、ブリジットに言う。
ミリィなら何か言ったかもしれないけれど、
彼女は少しの冷たいミントの薬草を染みこませた湿布を、
直ぐに少し渡してくれた。
1人で色々キリモリするには忙しすぎて、
構う暇が無かったのかもしれない。
少女はそれを大事そうにそれを受け取り、
ブリジットが去ったのを見てから鞄の中に仕舞いこんだ。]
[大きなキャンパスに上着をかけて、そのまま抱えて歩く司書の姿は、当たり前のように人目を引くもので、途中、幾人もの人間に声をかけられた]
ああ、絵師殿の絵を見つけたんだ。今からミハエルに届けに行く。
[問いには、真実を答える。絵を見たそうにする相手も居たが、先にミハエルに見せたいからと断れば、それ以上無理を言われることは無かった]
[どこで見つけたのかと問われると]
キノコ畑に行く途中の路地裏だ。
[これは真実とは遠い。上着からはみ出ているキャンパスの端にヒカリコケの胞子が、僅かについていることを、不思議と思う者はいたろうか?ヒカリコケなどありふれたものだ、と見逃されてしまったかもしれない]
…………とにかく、ここでジッとしていても仕方ねぇ。
行くとしたら……兄ちゃんのところか。ミリィ先生のところか。
あるいは、ミハエルの……。
[そう呟くと、のそりと起き上がり、自分の部屋をあとにした。]
―診療所―
[ひょこり、
人々がざわざわする合間を縫って外へと出た。
暫く歩いていると少し大きな道の向こう、
図書館へ行ったのか図書館から出てきたのか、
オトフリートが歩いているのが見えた。
何故か、少しばかり人が回りに遠巻きに見たり、近寄ろうとしたりしてざわついている。
どうしたのかしら、と、近寄ろうとして]
……ぁ…っ
[上着の端から覗いたキャンパスを見て、
吃驚して目を見開き足を止めた。]
─診察所前─
[何処へ向かおうとしていたかは実の所彼も分からないまま飛び出したわけで。そうして、道を歩いていたわけだが、]
? 何の人だかり……って!?
[遠巻きに見ていた奴の呟いた言葉に目を瞠る。
そいつは今『絵師様』って……]
っつ。おい、オトフリート!! その絵……くっ。
[問い詰めんと駆け寄ろうとするも、彼は図書館の中に。
追いかけて中へ入ろうとするも、そこに知った顔を見つける。]
……エルザ?
[ユリアンに声をかけられ
少し呆っとしていた少女は、体ごと振り返った。]
びっくり、した。
えと、ごきげんよぅ。
[驚いた顔は笑顔に変わり、
ユリアンへと向けられる。
ふわり、無邪気に綻ぶ顔は何時ものまま。]
ききゅう、飛べたかしら?
ああ、ごきげんよう。
[こちらも笑顔を返す。
……心の葛藤は奥の方に押し隠して。]
あー、今はちょっと……それどころじゃねーし、な。
……でも、この騒動が終わったら。
ぜってぇ。ぜってぇ、気球を完成させて。
……そん時は、一緒に外の世界に行こうぜ。
[そう言って、はにかんだ笑みを浮かべる。]
[持ち込んだキャンバスを書庫の中ではなく、読書室の一角に立てかける。既に内にも外にも噂は届いて、人々のざわめきが辺りを取り巻いていた。ドアに近い窓からそっと覗くと、図書館に入る直前に声の聞こえたユリアンがエルザに近づくのが見える]
・・・・・・・
[さすがに外の声までは聞こえなかったが、特に不穏な様子も見えなかったので、少しの間思案して、結局そのまま二人の様子を見守った]
[ユリアンの言葉に、
両手を合わせて口の前に立て小さく飛び上がる。]
行くわ、行くわ?
空や、空から見える、うみ。
ききゅうが完成するのと、満月夜に綿毛草で行くのと。
どっちが、先なのかしら。
満月夜って、何時なのか、知ってるかしら?
[嬉しそうに、首を傾けて笑う。
セルシアンブルーの髪が肩から零れ
笑んだコバルトグリーンの目の色が
細められる。]
騒動は、もう、終わるわ。
きっと、もう少しだと思うのよ。
もう少しで、きっと、「心の力」が満ちて――私は、空に戻るの。
……そっか、よかった。
[エルザの反応に、ほっと胸を撫で下ろした様子。
だが、続く言葉に僅かに表情を硬くする。]
……それは。
[しかしそれも一瞬。すぐに苦笑いを浮かべると、]
んにゃ。わかんねぇ。
でも、綿毛草に負けるつもりはないぜ。
それは、絵師さまへの挑戦ね?
[ユリアンの言葉にくすくすと笑いを零す。
それからふいと図書館へと目を移して細めた。]
さっき、キャンパス、持ってるようにみえたの…。
絵、なのかしら…?
[口調は少し、固い。]
だな。兄ちゃんは好きだけど、そこは譲れないね。
[もちろんエーリッヒが封じられたということは把握している。
これは、かならずこの事件を解決してエーリッヒを元に戻すという決意の表れでもあったわけで。
そして、エルザの目線を追って、視線を図書館へ。]
……ああ。チラッとしか見えんかったけど……あれはキャンパスだよな。
周りが言うとおりなら、アレに描かれてるのは……。
[あえて、それ以上は口にせず。]
―自宅―
[昨日は診療所で手伝いをして、一段落ついたところで家に帰って寝ていて起きたのは先ほど。
まだ妙に気だるいのは診療所でなれない手伝いをしたからだろうか。緊張したりした分余計疲れてる感じがあるがそうもいってられない。
エーリッヒが封じられたこと。その代わりなのかなんなのか。ミハエルが絵師になっているらしいことで]
俺、しばらくあんま手伝えねえかもしれない。あいつは友人だし、ミハエルの兄さんに頼まれたし、のんびりしてられない。
[とはいえ何ができるのかわからないが、そんな気分で海に入れるほど甘くはなく。迷惑をかけることとなったが許してもらえ]
親父、母さん。ごめんよ。じゃあまたいってくる…大丈夫だって、危険なことはしないから
「むしろあなたが迷惑かけないか心配です]
あぐ…
[そんなこんなで家を出て、人がいるほうへいるほうへと道を歩く]
[二人の視線が図書館へと注がれたのを見ると、す、と窓際から身を引くと書庫へと一度引っ込む]
[読書室には上着のかけられたままのキャンバスと、興味津々に覗き込む客達が取り残された]
[言葉を発する事は無く、視線をユリアンへと戻し
そのまま暫く、じいっと見た。
そうしてからにこり、笑ってくるりと後ろを向いて歩き、
図書館の入り口付近にぺたりと座り込んだ。]
見たいから、待ってる。
[ひとこと言う。
しゃがんだ膝に両手を乗せて、
あなたは?とばかりに首を傾けてユリアンを見上げてる様は、
何かの動物のようだった**]
[アトリエを出、向かう先は図書館。
道の人は己の姿を見れば話を止め、こちらを伺うような視線を向ける。
極力気にしない振りをしていれば、表情は自然と硬くなった]
―→図書館―
[ふらりと道を歩いて、少し足が痛かったりして立ち止まる。
ぱっと見上げた天井は、空を見せない。]
……はぁ。
[しばらく見ていたけれど、ため息吐いて図書館へと向かう。
と、皆が振り向く様子につられてそちらを見る。]
あれ、
ミハエル?
あ、そっか。絵師様なんだっけ。
[じーっと見つめられて僅かにたじろぐが、にっこりと笑顔を向けられると]
……そっか。んじゃ、俺も一緒に待ってっか。
[そう言って、エルザの横に*座り込んだ*。]
[誰かの声が聞こえた]
…違う。
[小さく呟いたその後。
顔を上げ、声の主を知る]
あ。
[いつものようにはできなかった。
戸惑い、間が空く。
『月』は今は隠れているけれど]
違うの?
なんか、絵師様だってみんな言ってるけど。
[きょとんと首を傾げる]
ご兄弟で絵師様になるなんてすばらしいって。
みんな褒めてるよ。
ミハエルは、音楽もすごいし、絵もお描きになるんだって。
ん?
[広場付近まで来て、人の流れ。塊が図書館から出ていることを知り]
どうしたんだ?あん?オトフリート先生が絵を?…そうか。
[など聞いて把握していた直後に、新しい絵師が。という声に見れば人ごみの向こうにミハエルの姿]
二人で一緒に絵師様でも良いと思うんだけどな。
[にへらと笑って]
そういえば、ここに来るまでべたべた触られたりしなかった?
なんかおばーちゃんとかおじーちゃんとか、ありがたやありがたやって感じだったけどさ。
[もちろんそれだけではないが。]
で、どっか行くの?
[書庫から出て来ると、手にしているのは、大きな白い布。綿毛草の糸で丈夫に織られたそれは、普段、古い書棚の埃よけの覆いとして使っているものだった]
ああ、どいてくれないか。
[絵の周りにたむろしている客達を下がらせて、その布をキャンバスに掛けてから自分の上着を取る]
…それなら良かったかも知れませんね。
それが、できることなら。
[微かに笑みを]
触?…いえ。
むしろ…
[続く言葉の代わりに、辺りを示した。
それが幸運なのか不運なのかは分からないが]
ええ。
図書館に。
ミハエルはおとなしいよねー
ユリアンはさわがしいけど。
[お前に言われたくないというようなことを言った。]
……んー、
まあこんなときだからね。
すぐ終わるよきっと。
あ、でもそうすると触られる?
[と、周りを見て、
青い髪をその先に見つけて手を振る。]
って、図書館行くのかぁ。
わたしも行こうと思ってたんだ。
オトせんせーにも一度本出してもらわないと。
[絵が完全に布に覆われてしまったことで、覗き見るのは無理と判ると、一人、二人と図書館を出て行く者が多くなる、その出入りの狭間から、外に居るミハエルとリディの姿が見えた]
持っていくまでも無かったか。
[呟いて、戸口へと向かう]
そっか。ミリィ先生も起きないか
[そういえばなんでミリィ先生は。など思う。原因不明な分だけそちらが怖く思いつつも視線はミハエルに。頼む…か]
ん…遠くないな。ちょっとどいてくれや
[小声で呟き。ちょうどリディが手を振るのが見えたので人をかきわけて進み]
よう、ミハエルにリディ。
[いつもどおり気軽に声をかけれたはず]
元気なのは、いいことですよ。
[そんなことを言いながら、少しだけ緑が陰る]
…そう、ですね。
早く見つけて、終わらせないと。
…触る?
[それがどうにも分からずに、首を傾げ。
手の振られるほうを見て。
幼馴染みの姿にやや複雑な顔になる]
かぜ?
だいじょうぶ?
[ユリアンがくしゃみをするのに、
横から首を傾けて見た。]
おなかいたいとか 足いたいとか かぜとか
体こわしてるひと、多いの。
[少なくともミハエルはお腹痛いに対して
肯定していないのだが。
戸口の方へと中から音が聞こえれば、
座ったままそちらへと目を向けた。]
絵師殿がおいでになったようなので、場を譲ってもらえるか?
[まだ残っていた、ほぼ常連ばかりの客達にそう行って扉を開けると、仕方がないなと言った様子で、人々は図書館を後にする。人気のなくなった図書館の戸口に立って、男は外に居る幼なじみの弟を呼んだ]
ミハエル。入って来い。
[絵師殿、とは呼ばなかった]
やっほう、アーベル
あ、まだ貰いにいってないや。かいがら。
あとで貰いにいくね!
[そんなこと言って、にやりと笑う。
それからミハエルを見て、むーと唸ると、]
ならミハエルも元気じゃないとー。
そ、さわるさわる。
だってご利益ありそうじゃん? 絵師様って。
[酷い曲解だった。]
まあお勉強だよねー
海のお勉強だけど。
怪我したけどね、海に行きたいって思ったけど……
[扉が開いてオトフリートの姿が見えたので
ぱっと笑顔を見せたけれど、
絵師の弟―今は絵師、なのだけれど―を呼んだので
立ち上がるのは、やめておいた。
ミハエルの姿が見えて手を振り、
その脇にまた二人知った顔を見つけて
そちらにも手を振る。]
ごきげんよぅ〜。
[声は明るい。]
って、あ、ミハエル呼ばれてるよー
オトせんせーに。
[ぱちと瞬いて、顔をいつもの笑顔にすると、
少女は教師に向けて手を振った。]
やっぱ、あとでいこーっと。
その前に、アーベルのところで、巻貝貰おっかなー。
ちょうだいっていったら、おじさんたちくれる?
[アーベルに尋ね、*首を傾げた*]
んあ? ……いや、多分大丈夫。
[鼻を擦りつつ、そう返答。
そこで戸口から出てくる人たちに気づくと]
あー、そろそろかね。
[そう言って腰を上げる。]
[元気、という言葉には困ったように笑うだけで]
そんなものありませんよ。
[ご利益云々には至極真面目に答えた]
…はい?
[声が聞こえ、顔を上げる。
少し怪訝な顔をしながらも、図書館に向かおうとし]
おう。…まあなんか色々あったってことは聞いてるが、絵師がいれば戻せるってミハエルの兄さんから聞いた…ってぇわけでしゃきっとせいっ
[なんとなく緊張しているミハエルを背中をばしばしして]
そういやそうだったな。来い来い。約束どおり渡すぞ…ってかなんに使うんだ?
リディ?
[俯く様子に、振り返る。
が]
…あ、はい。
[ふと感じた違和感は有耶無耶のまま。
いつも通り振られる手が見えたなら、いつも通り頭を下げて]
[ミハエルを呼ぶオトフリートの声を聞きつつ
そして続けて首をかしげ聞くリディ]
ああ、親父か母さんかに俺からっていればもらえると思うぞ。まあ今居るのは母さんだろうけど
[そういいつつ手を振るエルザに手を振り返し]
よっ。エルザもユリアンもいたか。
……っと、オト兄さん。って、あっ……。
[オトフリートの言葉にそっちの方を見ると、そこに幼馴染の面々。]
よっ。
[一瞬何か考えるような素振りをするが、すぐに明るく声を掛ける。]
[図書館前へ。
そこにもまた、幼馴染みがいた]
ああ。
こんにちは。
[ほんの少し間はあったが。
いつも通りの挨拶に、いつも通り返して]
[リディの瞳の色には気付かなかった。扉の内にミハエルを招き入れ、後ろの若者達にも声をかける]
ユリアン、エルザ…アーベルもか、お前らも来るか?
[彼らの方は、当然、中に何があるかは知っているだろう、と問いかける]
[アーベルに手を振られて
嬉しそうにわらう。]
…あし、しびれた。
[それから立ち上がり
手を上へと伸ばして伸びをする。]
お。わりぃわりぃ。ってかそんな痛くしたつもりもねぇんだがなぁ
[と、ミハエルに。
体格が違うのだから仕方ないかもしれないが、礼の言葉には返事もなくただ頷いて
当然のように図書館に入るのについていこうと]
ん…ああ、俺も行こうかなぁ。と思ってるが、大勢でみたらなんかまずいか?
うるさくは多分しないぞ
[とオトフリートに答え]
足しびれたって。歩け…てるな。
[駆け寄るエルザの姿を見て苦笑]
ん。元気そうでよかった
[ミハエルのいつもどおりの挨拶に、にかっと笑う。
そして、オトフリートの言葉にこくりと頷くと、]
……ああ。俺も見ておきたいし、な。
[真剣な眼差しで見つめ返す。]
まずいと思ったら、呼びはしない。
[アーベルの問いには簡潔に答え、ユリアンの目はまっすぐに見返して、三人とも、入れと、もう一度]
[読書室に皆が揃うと、布をかけたキャンバスの傍に立ち]
ミハエル。絵を見つけた。確かめてくれ。
[静かに言って、布を取り払った]
[後から入る人達を待って。
誘導されたのは、布の掛けられたものの前。
それから]
…絵?
[その言葉の意味を理解して、息を飲むのとほぼ同時だったろうか。
布の下から現れた、一面の青と]
[布が取り払われたキャンパスには、
ヒカリコケで光る金の髪に、綿毛の雲。
海の青に空の雲。
目を細めて、じっとみた。]
[読書室まで来ると、オトフリートが絵に掛けられた布を取り払う。
そこに描かれていたのは、ある程度予想していたもの。]
……ああ、やっぱりかよ。くそったれ。
[静かにそう呟く。その目は怒りが一周してひたすらに冷たく。]
[決して、下手な絵ではなかった。
それなのに]
…っ、
[凍り付いた身を酷い違和感が襲う。
そこに描かれた姿故か。
それとも、正統な『絵師』の絵でなかったからか。
ぎ、と奥歯を噛み締めて、目を逸らした]
……んで。オト兄さんはこの絵を何処で見つけたんだよ。
[目線をオトフリートに移し、問い掛ける。
その眼は感情を伴わない冷たい眼のまま。]
では、この絵は、お前に預ける。
[頷くミハエルに、静かに言って、布を元のように掛け直した]
意外と穏やかな顔をしているな。
[布に隠れる前に絵を見て呟いた声は小さく]
使うの。
海の中で、息継ぎに
[アーベルの問いに、
にへらと笑いながら、二人を見送る。
しばらくその場にいてから、手のひらをみた。
闇色の目で。]
まあ、ふつうにけがしてたから、あんまり気にしないのかな。
[白の下で、青がじわりとにじんだ気がしたけれど、
ぎゅうと手を閉じる。]
ま、いっか。
これが…なんか。
[息を呑んで絵を見る。考えても見れば絵師…が描いたわけではないだろうが、心を封じたという絵を見るのはこれが初めてだろうか]
…ん、この絵もちゃんと持っておかないと、だよな。
[自分の手で、肩を抱いて視線を絵から逸らす。
そしてじいっと、オトフリートを見つめて]
キノコ畑に。
[口の中で、繰り返した。]
うん、そうする。
あのね、司書さまが、絵を見つけたんだって。
キノコ畑で見つけたって言ってた。
あたしたちが描いた、絵。
[布の動く音。
そちらに目を向ける]
はい。
[言葉に頷き。
被せられた白に、青が焼き付いて離れなかった]
…え。
[小さな呟きはよくは聞き取れず、瞬いた]
そんなとこにあったんか。誰か見て…るのがいたら言い出すよな
[いいながらも視線は絵に。そしてほとんど無意識に手を伸ばしたところで、自身で気づいて止まる]
なにか。わかることあるか?
[それはミハエルでありオトフリートにであり、この場に居るもの皆に聞いて]
…ヒカリコケと、綿毛。
[アーベルの言葉には、
ちょっと首を傾げて絵を指差した。
そして、]
ここ、ちょっと…寒い。
[肩を抱いた手にきゅっと力を入れ
ふる、と震えてそっと扉の方へと寄る。
後ろを向いて読書室の扉を開け、外へと出ると
ゆるやかに風が、部屋の中へと入った。
寒さを感じたのは、
気温だけのせいでは無いのだけれど、
それを言葉にすることは、無い。]
じゃあ、やっぱり隠してくれてるんだわ。
あたしたちの、内緒のひみつ。
半分じゃなくて、みっつぶんの、いち、ね。
[布を掛け終えると、ミハエルの方に振り向いて、笑みを浮かべた]
意外に穏やかな顔だと言ったんだ。案外、絵師としての重荷を下ろしてせいせいしているのかもしれないな。
この馬鹿には、元々向かない仕事だった。
[海の青は、ふかいあおは、すこしきらきらしているようにもみえるのだと少女は語ったことがある。
手のひらについた、キャンパスに重ねられた、その青は海のふかくの色。
そこにすこし、金のこけがうつったか、
それとも少女の手がそうしたのか、
かすかに濃い青のあいだに、細かなひかりが輝いていた。
本当に弱いそれは、
金の前ではくらむようだけれど。]
尤も、代わりにその重荷をお前に負わせるのは不本意だったろうが。
[次の瞬間には笑みを消し、キャンバスの縁を撫でる]
ああ、そうだ、ミハエル。薬師殿の絵を描いてくれないか?
どうやら、彼女の心も身体から離れているようだが、絵がなければ留めるものが無いように思える。
ヒカリコケと綿毛?
[エルザに言われ指を指されるままに見る。確かにキャンバスの端にはヒカリコケがついているが]
あ?そんな寒いか?…いや、俺がしょっちゅう海に入ってるから慣れてるだけかもしれんけどよ
…、
[オトフリートの笑みを見て。
一瞬、言葉を失った]
重荷…ですか。
…でも、そうだとしても。
このままでいいわけがない。
[ふる、と頭を振った]
[読書室の扉を大きく開けはなしたまま
まっすぐの先の図書館の入り口近くまで来る。
そちらの扉も両手で大きく開けると、リディの姿が見えて]
ごきげんよぅ。
[大きく、手を振った。]
……え? エル、ザ?
[エルザの呟き(何を言ったかまでは聞き取れず)と、突如寒いと言って読書室を出て行くのを呆然と見送る。
だが、はっと気を取り戻すと]
ちょ、待って。
[そう言って、エルザの後を追って読書室を後にする。]
なんでかしら?
こっそり、聞いてみたいわ。
今はこっそり、出来ないんだけれど。
中にみんな、居るのよ。
来る?
[続いた言葉には、唇を噛み。
『月』の在処を知らせた時の、兄の表情が浮かんだ]
…ああ。
そう、でしたね。
後で描きます。
[ミリィの名には一つ頷く]
[図書館の扉を開け放ったまま外へと歩き出したが
後ろからかかる声に]
なぁに?
[笑顔でユリアンを振り返ろうとし
壁に手をついたリディを、振り返りなおした。]
大丈夫?
今日もまた、描くわよね?
その時に持ってきてもらえば、いいわ。
危なそうなら、どこかに隠してもらっても。
[今日もまた、金色の髪を描こう。
そう思うと、自然と笑みが浮かびかけるが
よろめくリディには心配そうな表情を見せる。]
あたたー
だいじょぶだよ!
[にへらと笑って手をはなす。
包帯にひかりごけがついて、その下の青も透けるよう。
あわてて手をぎゅっとした。]
そっか。
[と漏らした見返るの呟きに頷き]
だったらむしろ。穏やかな顔をしてるのはおかしいっすよね。
弟に背負わせて後は任せたーって無責任な人にも思えませんでしたし…ちょっと抜けてる気はしたけど
[そしてミリィも、同じような現象の陥っているのだろうとなんとなく把握しつつ
エルザの出た扉のほうをみる]
エルザ。どうかしたのか?
[エルザに追いつこうと図書館を出たところで、エルザの姿を見つけ、]
ん。いや、いきなり寒いって言って出て行くから、さ。
少し気になって。
[と、そこで少し離れた所で壁に手をついているリディに気づき、]
……あれ? リディ、お前中に入ってこないと思ったらこんなとこで何してんのよ?
てか、大丈夫か? その包帯も。
[心配そうに声を掛ける。布が青く染まり始めているのには、まだ気づいていない。]
あ…それ…っ
[リディの青が透けた手が見えて
はっと後ろ、ユリアンやその先のアーベル達を振り返る。
その見た?と言う表情は、
まるで訴えるかのように見えたかもしれない。]
そこ、ちょっと判りにくそう、ね。
隠し場所には良いかもしれない。
[言いながら、後ろを振り返る心中は、
見ないで、という訴え――]
やれやれ、お前も兄貴並みに馬鹿になるか。
やはり兄弟だな。
[ミハエルの答えに、薄く笑う。そして、その後を追うように戸口へと]
はへ?
あ、あぁ。
ほら、昨日海でおぼれて、ミリィせんせーに巻いとくよーに言われたんだよ。
[逃げるように一歩ひいた。]
私がへますんの、めずらしくないじゃん?
うん、後で、とりにくる。
今は逃げた方が、良くないかしら?
とりあえず今は、しらばっくれる。
…ごめんなさい。
…あれ?だったら…この絵を描いた人間って…
[考えが少し浮かんだところでエルザの示す。リディの手を見て]
なんだそれ?…いや、ちょっと待てよ
[リディの手と絵とを見比べ、絵をそっと手に取る]
キノコ畑にはいってない。
だから、うたがわれない。
あおの色は、別のもの。
なにか、そういう、…ないかな、ないかな。
[ぐるぐると
目が、回る。]
[透けた青が見えた気がした。
それは遠くからで、よくは見えず。
けれど、僅かな違和感が残った]
リディ、それ…
[もう一歩、近付いて]
かえるんでしょう?
[少女は、もう片手でそっと胸に触れる。
丁度影になってみえなかっただろう。
内ポケットから筆を抜いて、彼女のワンピースの内側へと、見えないようにそっと押し込む]
[心の声は、キノコを使った耳にも聞こえない。だから彼女がエルザに何を伝えたのかは判らなかった。ただ、その瞳が黒く染まったのだけが見えて、ミハエルの肩に置いた手に、僅かに力がこもる]
リディ・・・・
[彼女の中に起こった変化が、彼女自身を蝕むなら・・・この先に予想される事態を止める事は出来ないのかと、そう思い]
海で、そんな怪我がつくか
[よくわからない青色。絵師の絵ってどうかくんだ?
ああいう染みのようなものはそういえばミリィ先生の実験で出てた黒と似たような気が思いつつ、エーリッヒの描かれた絵を持って見てみるがわからず]
…どしたんすか?
[ミハエルの肩に手を置くオトフリートを。その奥のリディとエルザを見る]
[遅ばせながら、リディの手の青に気づき、全てを把握。
だが、本能が理解しても理性が理解するとは限らない。]
ちょ……どういうことだよ。
……答えろ。答えろよ、リディ!!
おぼれたの!
深いところで!
[それは本当のことだから、
声にちょっと混じってしまった恐怖は、多分伝わってしまって。
気にするより早く、体が倒れる。
オトフリートの声がして、少し口元がこまったように笑った。]
…逃げて…!
[言葉は届いていた。
それでも、逃げられるものなら逃げて欲しいと。
泣きそうになりながら、言葉を紡ぐ。]
[図書館から出て、リディたちのところに近づく。
先ほど絵の色は目に覚えさせた…と思うが]
溺れたって。無茶するなっつったろうが!って、今そっちじゃねえ
[思わず注意するのは海人としての癖だが、声に混じる恐怖はを感じて]
だからって…なぁ。やりかたがあんだろ
海のね、
向こうは、――ぜったいいけないんだよ
はい、ちかづかないの。
ストップストップ
[にへらと笑う。
黒く染まった目は、海の向こうを見るものではない。]
のんびりまってるのが、出来たらよかったんだけどね。
早く、行きたかったんだ。
こわくなっちゃったし。
[ミハエルが動こうとするのを感じると、肩を掴んだ手を離す]
・・・・・・・
[最早、誰をも止めようとはせずに、ただじっと立ち尽くして]
[聞こえないよなぁなんて思いながら、
よろしくねと
そっと心の中でお願いして。
それから、また一歩、遠ざかる。
そのまま、逃げられるほどになったと思ったら走って、向かう先は―― *あの通路*]
……!?
[リディの言葉に思わず掴みかからんとするが、静止され踏み止まる。
そして、続いてリディが語った言葉に眼を細める]
それって、どういう……。
そんなの知ってるよ。今までどんだけの海人がやってきたって思ってるんだ
…まあ、ガキの頃はいけると思ってた時期もあった気もするけどよ
[エルザを人質にとられて足を動かせないが口を動かして]
[ジリジリと後退し、駆け出すリディ。そして、それとほぼ同時に走り出すミハエル。]
ちょ……待ちやがれ!!
[そう叫ぶと、自身も2人の後を追い掛ける。]
怖い…か。
[それとは違うかもしれないが、外へ。という思いについては己も思うところを抱きつつ
リディが遠ざかり、駆けて行くのを見て]
エルザ。無事か?
[リディを追って駆け出す足音を聞きながらも、己はまずエルザの元に駆け寄って屈みこんでみて]
[男の体力にも、運動神経にもかなうわけはないので、
彼らが来るよりも先に、走り出す。
人の間をすりぬけて、
不思議そうな、驚いたような友達を抜けて、
向かう先は――あきらめたはずの、あきらめきれなかった海。]
――ユリアン!
[後ろから追ってくる同志の前で、水の中に足を進める。]
戻ったほうが良いよ!
早く、戻ったほうが。
[ぱしゃりと水が跳ねる]
[走る走る。人を掻き分け走る。
篭り気味ゆえ体力は少し落ちているが、それでも距離は縮まる。
それに、目的地に当てはついている。]
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