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騎士 ダーヴィッド に 7人が投票した。
ランプ屋 イレーネ に 1人が投票した。
騎士 ダーヴィッド は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、貴族 ミハエル が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、職人見習い ユリアン、ランプ屋 イレーネ、未亡人 ノーラ、少女 ベアトリーチェ、青年 アーベル、学生 リディ の 6 名。
…そう言うモノよ…みんな、「もう、大人だから」、って。
小さい頃のように、何でもすぐに転がす、なんてできないもの…
自分の行動には責任を持て。それが…
[言葉を切ると、ぐしゃぐしゃと髪を撫でる感覚に抗わず、視線を落とし…]
ユリアンは…悪い人ではない、って。思ってたけど…
今までの、関係を…壊したく、無かったもの…
嘘の事言われるのも嫌…本当のことを話されて…遠くに行かれるのも、嫌…
だって…同じ、物作りとして…沢山話したし…食事もしたし…
いなくならないで欲しかった…
[その後の言葉にはしばし、躊躇い…小さく]
…うん…
[リディの言葉に、八つ当たりかよ、と呟きながらも手にしていたペンダントを渡し。
それから、一つ、深呼吸を]
んじゃ、いってみますか。
[ふわり。
青年の背に緩く広がるのは銀の翅。
瞳は深い、青銀に。
周囲にこぼれる銀の粒子はやがて柔らかな光球となり、少年を包み込む]
……ちょいと衝撃でけえが、耐えろよ、男なんだから!
[少女の時とは、あまりにも扱いの差が大きい気がするが、それはそれ]
[それとほぼ同時にか。
天から舞い降りる、金の光の珠。
それはしばし、夜空に漂った後、緑の外套をまとった騎士の下へ。
それに合わせるように、銀の光の珠を、広場へと飛ばして]
[金と銀、二色の珠。
空に煌めくそれは、幻想的な螺旋を描き、天へと向かう。
天に開いた、空間の入り口に]
……せえの、っと!
[掛け声一つ。
銀の珠にまとわせておいた力を、弾けさせる。
夜空に銀色の光の粒子が舞い散り──]
大人なら…それでも”そういった”リスクを抱えてでも
率先して動かなきゃ……じゃなかったら、ただ無くすだけ。
…そして起きてしまった事に責任を持つ…
……動かないのは責任を持ちたくない子供の言い分だよ……
[言っている事は厳しいが、口調は穏やかで
ぽふぽふとあやす様にイレーナの頭を撫でながら]
…………でも、そっか…ユリアンをなくすのが怖かったんだな…………
[と、その時…広場の方角に開く窓から
金と銀が空間を照らすのが見える]
……………!!!
[ふぁさり、と。
翅は、開いた時と同じ音を立てて、消え失せる。
同時に失せる、瞳の青銀]
……さて、後は。
結界を破壊する時の力をおとりにして、バカ親父を引きずり出すっ……。
……んで、踏み潰してやらにゃ、気がすまねぇっ!
[踏めるものなのかとか聞かれたら、見ればわかると答えるだろう。
多分、きっと]
『……踏み潰すって。本気?』
[呆れたような、声が問う]
……そのぐらいしてやらにゃ、気ぃすまねぇぞ、アレ。
妖精にとって、最も大きな力……存在の肯定。
……それが、消えた。それも、子供の心から。
色んな意味で、ダメージ、でかいぜ……?
[立ち上がった騎士の低い声]
[それに応えるかの様に、舞い降りて来た金の光]
[静かに見つめる前で、何処からか銀の光も寄り添って、双方はくるりくるりと夜空に吸い込まれ]
[銀の粒子だけを残して]
[光も騎士も初めから無かった様に]
……けど、怒ってたのも本当だもん。
[ぽつりと、呟きながらもユリアンから石を受け取って。
ミハエルを包むようにふわりと広がる銀の光に、
僅かに目を細めながらも、その行く先を見つめる。
すぅ、と。夜空へと銀の光が弾ける様に溶けて。]
…何も考えずに、大人に擦り付ける子供もいるけどね。
[そう言うのにはなりたくないの、と小さく呟き…]
日常を壊すほど、恐い物は…無いわ…
でも…ユリアン次第だから…
あたしの、言える事じゃなかったのかも、ね…
[小さく呟くと…窓の外に見えた光に]
…アレは…?
ユリアンはユリアンで動くから…な。
[窓の外を見つつ…]
…………妖精王の力とユリアンの力が作動した…ようだな。
………………広場か?
[青年はそう言うと、すっと席を立ち広場へと向う]
……ま、普通、怒るわな。
[リディの呟きに、頬を掻く]
俺だって、正直……自分に腹たって仕方ねぇもん。
……護りたいのに。
甘えて……辛い思い、させて……。
[言いつつ、口の端に浮かぶのは、苦笑]
……さて、と。
最後の仕上げ、しねぇと、な……。
[作業台の上の紫水晶を思い返しつつ、*小さな声で呟いて*]
[窓の外を見つめていたが、次第に光はおさまっていき…]
…確かに…そう、見えたけど…
ぁ…待って…
[広場へと向かうアーベルの後を追う]
[広場には相変わらず、何事も無かったかの様に行き交う人]
[その中で一人、夜空を見つめた侭]
行ってらっしゃい。
[きっと戻って来ると思ったから、そう呟いて]
[後を追ってきたイレーナの歩調に合わせつつ
広場に行くまでの間に、昨日ユリアンから聞いたこと…
仮想エーリッヒな妖精王とその息子のいざこざと
ユリアンが今なにをしようとしてたのかを伝えつつ。]
[派手な光りが到来した筈なのに、対した騒ぎもなく
相変らず屋台だらけの広場に出る。]
………………ノーラ……
[そして、広場に見慣れた女性の姿を見つける]
[ユリアンの、少々怒りが混じった言葉に
一瞬、きょとんとした表情で其方を見上げつつ。
言葉の意味を把握すれば、くつくつと笑みを浮かべて]
……おとーさまの引きずり出しに成功した暁には、
あたしにも踏み潰す権利を進呈してくれると嬉しいのですが。
[と、続く言葉に視線を移して。
その顔に浮かぶ苦笑を見れば、小さく溜息が漏れる。
てやっ、と小さな掛け声と共に
相手の腹部へと軽くパンチを繰り出して]
―――そー思ってるんなら、約束、守ってあげてねっ!
[に、と笑みを向ければ、踵を返して扉を開く。
そのまま、*夜の通りへと*]
[自らの名を紡ぐ声に、視線を逸らして其方を見る]
[青年と少女の姿を見て、小さく会釈]
今、騎士さんが金の光に。
[ただ自分が見た、それだけを告げて]
[…アーベルの話を聞きながら、広場へと着き…
会釈をするノーラに、会釈を返す]
…そう、ですか…
[…嘘は付かなかった。
小さく安堵の息を吐き…]
…って事は…後は…ユリアン…?
……金の光りはダーヴィッドか……
[ノーラの言葉に頷…結局話しが聞けなかったもう一人の妖精の名を呟く。]
…………銀の光りは…ここからじゃない…のか?
[銀の光りについて言及をしていない事から
そうなのかな…?と、推測しつつ。]
…ユリアン…じゃ、無いの…?
[銀の光…アーベルの言葉にゆるりと辺りを見回すが…他に、この騒動を知っている者は辺りには居なかった]
…でも…ダーヴィットさんが…行ってくれた、って事は…
ユリアンも…嘘を付く気はない、よね…
[アーベルに頷いて]
銀は別のところから飛んで来たから。
誰か…までは、分からなかったけれど。
[光の来たほうを指し示して]
…そういえば、工房はあっちだったかしら。
其処から、かもしれないわ。
[イレーナの言葉を聞いて、呟く]
[ノーラの言葉を聞き…]
…ありがとう、ございます…
あたし、行ってみますね…
[ペコリと頭を下げると、その足をユリアンの*工房へと向けた*]
…………少なくてもミリィを裏切るようなことは…ユリアンはしないと思う
[イレーナの前でこの言葉は酷かな…と心のなかで詫びを入れつつ]
…………工房か……
[ノーラの指し示す方向を見て、コクリと頷き。
情報提供の礼を告げ。]
[工房でユリアンから話しを聞くのか、
それとも途中でリディいとカチあって話しを聞くのか]
[ともかく、青年は工房の方向へ*歩きだした*]
[アーベルを見送って]
…
[視線は手のつけられぬ侭冷めてしまった、椅子の上の珈琲へと]
…元通りになれば良いのに。
[何もかも、皆]
[小さく息を吐いて、眸を*閉じる*]
[窓の外にはあかるいひかり、
そらのかなたへ飛んでゆく。
子供は、やっぱりと呟いて、
ちいさくわらった]
ノーラさんがいるから良いや
[呟くと、子らが戻ってくる。
それから、子供たちは眠りに落ちた]
[そして夜も更けて、子供は起きあがる。
窓の外には、猫の眠った目の月がある。
つきのひかりは冴え冴えと、部屋の様子を照らしている。]
[小さな音をたてて蝋燭がともされた。
揺れる暖かなひかりは、
子供がこの村を好きでなくなったひかりより、
優しくて、静かだ。]
金も銀もいらない。
妖精は妖精の国にいればいいのに
[つぶやきを落とせば、
子供は荷物にむきなおる。
旅の道具は、母とそろえた。
もう少ししたら一緒にいこうね。
約束は守られなかったけれど。]
[ここに来たときは、長かったマント。
今はちょうど良いから。
子供はがさごそと、肩にかける大きいバッグを、
開いてものを探している。]
[子供のうしろで、
ひかりは人の姿を取った。
音もなく静かに。
子供は気づかず、バッグから何かを探す。
その首に、細い腕が、まきついた。]
─回想・工房にて─
ああ、この騒ぎで迷惑感じたヤツ、全員に踏み潰しの権利があるから、心配すんなっ。
[笑いながらのリディの言葉に、全開の笑顔で頷いて。
その後の一撃は、不意を突かれた事もあって、避けられなかった]
……っとに……わかってる、よ。
[去り際の言葉に、小さく呟き。
それから、ミハエルの来訪でそのまま忘れていたハーブティの事を思い出す]
[台所で冷めてしまったハーブティを淹れなおしていると、また来客。
訪ねて来たのはイレーナで。
今までのこと。
今夜あったこと。
それらを、話して。
彼女の話も、少し、聞いて]
……そっか。
ごめんな、その……ウチのバカ親父のせいで、色々。
[苦笑しつつ、こう言ってから。
細工のことを、少し話して。
紫水晶の細工がもう少しで完成すると話したら、がんばれと言われて。
……その後、自室にこもって創り上げた。
銀の光を抱いた天使を]
─工房前・出店─
[オカリナの音色が、緩く響いて行く。
煌めきを並べた出店の横に置かれた木箱、その上に座って、旋律を紡いで行く。
煌めきの数は大分、減っていた。
残っているのは、ペンダントが2つと、髪飾りが1つ、と言った所。
……そこにまた、客が立ち止まり。
恋人同士らしい二人連れは、同じデザインで石違いのペンダントを買い求めて行った]
……やれやれ……あと、一つ、か。
[ふと浮かぶのは、安堵の笑み]
色んな意味で、そろそろだな。
『そーだねー……フェーン……』
ん?
『……だいじょぶ?』
なにが?
『……昼行灯でお気楽極楽で脳天気で無節操ですちゃらかだけど。
……やっぱり、王は王な訳で』
……ああ。
『……勝てるの?』
…………。
[問いへの答えは、小さなため息]
―回想―
[頭を撫でられた気がした。
やわらかな、ひかりが。腕が。
子供のたいせつな《 》が。
なんだか暖かくなって、
やさしいきもちが流れ込んできて、
ほっとして。
そのまま眠りに落ちていたのかも、しれない。]
ま、勝てる勝てないはともかく、さ。
やらねーと。
やるって決めたんだし、準備はできてる。
やる事もやったし……な。
[作業台の上の天使を思いつつ、静かに言って]
ま、ここまで来たら、全力でやるだけだろ?
勝つか負けるか、二つに一つ!
下がる後ろはねぇんだ、ぶつかるしかねーって。
[それから一転、軽い口調でこう言いきった]
[次に気づいたときは、
子供は同じ場所で、
上に毛布がかけられていた。
ほかに誰もいないけれど、
ろうそくの火も消えていた。
それから、ひかりの《 》も。
みんな、消えていた。]
[子供が用意した道具は、
何も動かされずにおいてあった。
銀色の指輪のネックレスが、
子供のそばに置かれていた。
子供はそれを、小さな手で握る。
それから、ささやいた。]
『 』
『ほんっと、単純だよねー、フェーン……ユーリィは』
[呆れたようにため息をついた後、相棒は人としての名で青年を呼んだ。
それに、一つ、瞬いて]
……ムダに複雑でうじうじしてるよりは、いいんじゃねーの?
[それから、ごく軽い口調でこんな言葉を返す]
『まあ、そうとも言うけどね』
[それに、相棒はさらりと返して。
彼らの声だけが響く空間には、しばし、笑い声がこぼれた]
『ねー、ユーリィ』
なんだよ?
『ユーリィ、変わったよね』
……変わった……って?
[思いも寄らない言葉に、思わず、とぼけた声が出た]
『上手くは言えないけど。
祭りが始まってから。
……あの二人の声を聞いてから。
二人と話してから。
何か、今までと違う気』
……ミリィと、ダーヴィッドさんと……声を交わすようになって、から……。
[相棒の言葉に、しばし。思案するように、青銀の瞳を伏せ]
まだ、いかないよ。僕は。
もう少し、いけないとおもう。
昨日も、いやなのを見たから、
今日もきっと見るんだと思う。
だから多分、
僕はまだ、出られないし……
お別れも、言わないとだめだから。
ん……そうかも、しんねぇな。
最初は……お前以外と話すのって、もの凄い違和感だった。
誰もいないのが、当たり前。
お前以外に声をかけてくるヤツは、大抵追っ手で。
だから……うん。
……嬉しかった……んだろな、きっと。
[小さく呟く刹那、口元には、微かな笑みが浮かんでいたか]
『……ユーリィ』
でも、それで。
嬉しくて、それに甘えて。
……少しでも長く、感覚を共有したいなんて考えて。
……なっさけねぇの。
挙句このザマ……みんな巻き込んで、辛い思い、させてさ。
ほんと、なぁにやってんだかな!
[口調だけは明るく。でもどこか苦いものを帯びた声で、言い放つ]
……ま、なんだな。
過ぎたこと、で済ませちまうつもりはないけど。
……決着は、俺の手でつけねーと、な。
[静かに静かに。
空へ向かう呟きには、明確な決意の響き]
『でも、ユーリィ』
……ん?
『終わって。それから。
それから……どうするの?』
…………。
[問いに対する答えは。
ただ、沈黙]
―回想―
[工房へ続く道を辿れば途中でリディの姿。
そのままイレーナは工房へ向ったが青年は足を止めて
リディに何か見なかったか聞けば…]
[ミハエルと銀の光りと顛末を聞かされ。]
[こちらもダーヴィッドの話しをし]
[どうやら、祭りの終盤にむかって事体は収束しているようで]
─工房前・出店─
……ありがとうございましたっ!
風のご加護が、ありますように。
[最後に残っていた、薔薇水晶の髪飾り。
それに、ささやかな祝福を込めて、新たな手へと託す。
薄紅の水晶は、それを贈られた少女の髪の上で灯火を受け、光の粒子をこぼした]
よっしゃ……無事、完売、と!
[左の掌に、右の拳を打ち当てて呟く。
周囲の出店の主たちがおめでとさん、とか、お疲れさん、とか声をかけてくるのに笑顔で返しつつ、出店を片付け。
一度部屋に戻って、ぐるりとそこを見回す]
五年、かぁ……。
結構長く、いたもんだよなぁ、ここに。
[感慨を込めつつ、呟いて。
きちんと片付けられた作業台の上の天使と、それから、花冠を見やる]
よっしゃ……んじゃ、行くか!
バカ親父を引きずり出しに!
[低く言う瞳には、明確な決意の色彩。
もう一度室内を見回した所で外へ、そして、広場の中央へと足を進める]
─…→広場中央─
―祭り最終前日・広場―
[相変らず祭りの賑やかさは健在で。
広場にあつらえた舞台では、
明日の最終日に向けた準備が急ピッチに行われていて]
[青年も勿論かり出されていて。]
[最終演目前の広間は、祭りに飽いたのか少し静か。]
─広場─
[やって来た広場は、多少にぎわいも薄れ。
実行委員の面々が、クライマックスの準備に追われている]
……なんか、あっと言う間だな……。
[進められていく準備を見やりつつぽつり、と呟けば。
肩の相棒がきゅ、と鳴いて頷いた]
[最終日の演目は今日までの村の安全へ感謝と、
明日からも恙無く過ごせるよう、また来年祭りが開けるよう
妖精に感謝し、これからの安全を祈願する
…この祭りの主旨に準えた静かな式典…が行われる。]
[式典で入場者が着用する、白い衣が搬入される。]
[そして子供は、あたたかなミルクを両手で抱えて、
そっと外へ出た。
祭りはもうすぐ終わりだけれど、
子供は広場に近づこうとは思えなくて、
かわりに、そっと、コエをなげる。]
最終日、か……。
なんとか、それには間に合わせられるな。
……さすがに、これに間に合わなかったら、泣けるだろーし。
[初期に取り込まれた面々の事を思いつつ、ふとこんな事を呟いて]
[明日の式典の間は、一度村中の全ての日が落とされ、
舞台で焚かれ、シャーマンの祈りが込められた火を
各自持ち帰ることになるだろう。]
[実行委員が先導し、街灯の替わりの雪灯篭に火を灯しながら
民は各々一番大切にしているランプに火を貰い自宅へ。
そうやって、ゆっくりと広場から灯火が村の至るところへ。]
[……明日は一日村中に雪灯篭を作る事が仕事になるだろう。]
[暗くなった現在、舞台の設営は終盤で。
天井を覆うようにかけられた白い布がトーンダウンした祭りの喧騒に揺れる。]
「今日の所はこのあたりだな。」
[実行委員の誰かがそうつげ、準備に駆り出された面々が開放される。]
――そう、やっとお勤めも終わりね。
[小さく呟き…自身に宿る妖精に声をかけた。
頭の中で、怒られないですむ、とは言うモノの、あまり…嬉しそうには聞こえない声]
…まぁ…今更なのよ。
最初っから…ユリアンを見守っていれば良かったんだから。
[その呟きは喧騒へと消える。
向かう先は…広場]
……………………
[明日の夜には祭りは終り日常が帰ってくる…はずである。]
[そうは言っても、祭りの最中に欠けていった
いくつかの日常がはたして戻ってくるかはわからず。]
[青年は小さく溜息をつきつつ、
準備から開放されたので舞台裏を後にする。]
[その手には二つのガラスが交わり合った装飾。
色は黄色と透明で…光を表していた]
…でも、ね。
ユリアンにとっては、良いチャンスだったんじゃない?
ミリィにも、本当の気持ち、言えたんだし…ミリィは聞いてたかは知らないけどね。
家族にも…本音を言える、チャンスなんだし。
[軽く目を細めると、小さく呟き…]
…だって、ユリアンはユリアンだもの。
まぁ、少し…悲しいけど。
『ねぇ、ユーリィ』
……なんだよ?
『一つ、聞きたいんだけど』
……なに?
『……逃げられると、思ってる?』
は……?
[相棒の投げた問いはやや唐突で。
知らず、とぼけた声が出た]
[…すれ違う人々は、火を灯したランプを持っていて。
ソレを見ながら広場へとたどり着き…]
…ともかく…王様には言っておいてよね…
仕事させるんなら、ちゃんと聞く耳持ちなさい、って。
[くす、と小さく笑うと…
雪灯籠からランプに灯を移した]
[青年が舞台裏から…屋台に寄って糖分を補給しようとしたところで
ぼんやりと舞台を眺めるユリアンを見つける。]
[非日常により欠けたに地上が戻るかの要…に、なるのだろうか?]
[そのボンヤリした姿は、とてもそうは思えず。]
[青年は甘いグリューワインと、甘さを押さえたグリューワインの2つを用意し
ボンヤリしたユリアンの後に忍びより
甘くない方のマグカップを、その頭へ軽くぶつけるようにおく。]
逃げるって、何から?
『取りあえず、王じゃなくて。
それ以外のイロイロ』
親父以外のイロイロぉ……?
何だよ、それ。
『…………』
[言われた言葉の意味を理解しあぐねて問えば、相棒、処置なし、と言わんばかりにため息をついた]
……んなっ!?
[頭にぶつかる、軽い衝撃。
その衝撃に物思いから我に返り、はっと振り返る]
一体な……アーベル?
[青の瞳をきょとん、とさせつつ。
カップを手にした青年の名を、ややとぼけた声で呼び]
[ランプに火を灯すと、ガラスはその光で辺りを照らす。
黄色の硝子。
透明な硝子。
そして、曇り硝子。
…金と銀の光を出すつもりで]
ぇ?何?
…良いじゃない。
これぐらいの…手間賃は。
[ポツリと零すと、その視界にユリアンとアーベルの姿が入り…軽く手を振った]
[飲み終わった紙のカップは捨てて、
子供は砂糖の花をもう一瓶、買った。
それから、広場へは向かわず、
村の外れの方へと歩き出す。
人波に飲まれるように、子供は、
丘へと向かう。]
―村の外れの丘―
ノーラさん?
[白い月の冷たい光が、
白い雪を照らしてる。
村の中はあかりでたくさん。
だけれど子供は、
その白の方が好きだった。]
[覇気の抜けた姿に、もう1つ溜息]
……準備は済んだの…か?
[結界をこわす、妖精王を引き摺り出す…
…………そしてミリィを迎えに行く。]
……ミハエルに先をこされているみたいだが。
[と、先にユーディットに会いにいった少年の事を持ち出す。]
[ホットチョコレートの入ったマグカップを両手で包んで
そっと自室の窓を覗き込めば、ガラスが白く幕を作った。
それに、さほど気にした様子を見せないまま
窓の外から見える、準備作業の進められる広場をぼんやり眺めて]
[問いに、一つ瞬いて。
それから、ああ、と頷く]
やらなきゃならない事は、全部片付けた。
後は、時間を待つだけだな。
[先をこされて、といわれれば、ただ、苦笑するしかなく]
ま、それは……仕方ねぇだろ。
[ため息混じりに言った後、手を振るイレーナに、こちらも手を振り返し]
……あの灯りを見るとさ?
もうすぐ終わっちゃうんだなーっていっつも思うんだよね。
まぁ、村中が灯ると…すっごく綺麗には違いなんだけどさ。
少しだけ寂しくなるの。
[小さく笑みを浮かべたまま
――誰に投げかけるでも無く、ぽつりと呟いて]
―――――。
[ランプを持って二人の元へと向かい…]
…ん、準備はすんだの?
[そう言うと、辺りを見回し]
…コレを見ると…
もうそろそろ、終わり、って感じだね。
…やっぱり。
惚れた女には迷惑かけるわ
年下に先を越されるわ…………成功…させろよ。
そうじゃないと、あんまりに情けない。
[空いた手を、ポン…と、
叩いてるのか撫でてるのかわからない強さでユリアンの頭に。]
そして、ちゃんと言うんだぞ。
ああ、やるだけの事はやった。
後は、時間を待つだけってとこだな。
[再び投げられた問いに、同じような答えを返して。
それから、自分もゆっくりと、周囲を見回す]
ん……そうだな。
祭りももう、終わり……か。
……言いたい放題だな……まあ、否定できねーけど。
[言われた言葉と、頭に乗せられた手にやや、むっとしたような表情を覗かせるも。
最後の一言にそれは影を潜め、ああ、という短い返事が零れ落ちた]
…ん。
[ユリアンの言葉に小さく頷くと…アーベルの言葉に笑いつつ]
…なんというか…ね。
あっという間だったかなぁ…今年も。
[そう言うと、空を見上げ…]
…まぁ…今年は…色々、新鮮だったけどね。
今までのよりも、印象がキツイ、かな。
[ユリアンとイレーナの言葉に頷きつつ]
明日…屋台が片付けられて、
式典が始まって…帰路についたらお終い…だな。
[物を売る屋台の、少なくなった売り物を眺める。]
あっという間、か。
……ほんとに。あっという間に過ぎちまったな。
[呟くように言った後。
印象がキツイ、という言葉に、やや苦笑]
そりゃま、普通に考えたら起こりえねぇだろ……こんな事。
起こした俺が言うのも、なんだけどさ。
…ね。
でも、帰るまで…終わらせるまでがお祭よ?
[アーベルの言葉には小さく笑いつつ…]
…ソレもあったけど。
今年は知らない人と良く喋ったりしたかな…って。
…確かに、本物の妖精の力を見る、って言うのも…
ほとんど無い経験だけど。
[妖精さんにあたしのランプをあげたしね。
と、小さく]
……つか、撫でんなっつの。
[無言で撫でるアーベル睨むように見つつ、ぽつりと呟き]
知らない人、かぁ……。
そうだな……確かに今年は、そういう機会も多かったかもしれねー。
[軽い口調で答えつつ。
ふと、妖精の騎士の事を思い出して]
[少女に近付いて、同じ目線になって]
…いいえ。大丈夫。
ただ…
少し、寂しいなって思っただけ。
[声は変わらず穏やかに]
[金の細い髪に、手を伸ばす]
[後… … …もね。
ソレは心の中で呟いて]
…なんでだろうね。
やっぱり…そう言うのが集まっちゃう星の巡り、だったのかしら…
[アーベルの頷きに、少し…考え]
…そういえば、アーベルとも…
あまり、喋ったこと無かったしね…
甘いモノ好き、というのも、初めて知ったけど。
[初めてのことが多かったのかしら?
瞼を閉じて、頬を緩めた]
………確かに、ユリアンともイレーナとも……
それよりも、人とこんなに喋った事自体が久しぶりだな
[”甘いもの好き”の件にはグリューワインを一啜りしつつ]
甘いものは…元気が出るからな。
……ったく。
[笑うアーベルの様子に、まだどこかむっとしつつ]
星のめぐり……か。
[小さく、呟く]
……巡り合わせには……感謝したいところが多い、かも、な。
[その声は、風に消え入りそうで]
そういや、しょっちゅう見かけてるわりに……。
あんまり、喋ったりしなかったもんな、アーベルとは。
[それが、なんか気づけば大立ち回りをするようになっていたりして。
明らかに、どこか、以前とは違って]
……変わった……んだな、やっぱり。
…確かにね…
あたしも、お祭の時は…ランプ売ってたし。
[軽く肩をすくめて見せ…]
…来年も、もう少し…話す機会を作っても良いかもね。
[お店だけじゃなくて。
そう呟くと、ユリアンの言葉には小さく笑って]
…そう、思えたなら…良いんじゃない?
そんな小さな声で言わなくても。
折角会えたんだから……巡りあわせは全て感謝したい…な
[ユリアンとイレ−ナを交互に見つつ小さく呟けば。]
もう少し…あの妖精の騎士とも話してみたかった…かな
[二人に言われた言葉に、そうだな、と呟いて。
アーベルの漏らした呟きに、ふと、空を見る]
……心配すんな。
もう、ちょっとで。
また、会える。
……話す機会なら、それから、持てるさ。
[静かな言葉には、決意が満ちていたか]
前に比べれば、随分……。
『人間らしく』なれた気がする……。
[それがどんな意味を持つのかは、わからないけれど]
…あたしとしては、ルート…
じゃなくて…えっと…リネット、さんと…話して、みたいけど…
[…彼女はどんな風に思っていたのだろうか。
小さく思いながら…]
…そう。
なら…待ってようかな。
[ユリアンの言葉に…視線を空に向け]
[子供はそっと、彼女の手に触れる。
見上げる。
まあるい瓶を、小花の詰まった瓶を、渡しながら。]
ノーラさんが、かなしいの、
僕も、かなしい……
[受け取った瓶を、片手に]
[微笑んで]
大丈夫。
もう…大丈夫だから。
[そしてまた、両手を伸ばして]
[今度は撫でるのではなく]
[す、と意識を凝らす。
空間と、空間の狭間が開くタイミング。
狙うのは、ただ、その瞬間。
ふぁさ……と開く、銀の翅。
青銀の煌めきを帯びる、瞳。
その身を緩く包むのは、銀色の光の粒子]
さあて、と……。
[低い呟きと共に、光の粒子をその手に。瞳は、空間の揺らぎと、そこから差し込む金色の煌めきを捉え]
……勝負だ、バカ親父っ!
[気合のこもった叫びと共に。
その手から、銀の光が放たれた]
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