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給仕人 ユーリ を 3人が心の中で指差しました。
道具屋 エト を 1人が心の中で指差しました。
絵描き ミケル を 1人が心の中で指差しました。
給仕人 ユーリ は人々の意思により処断されたのです……。
次の日の朝、化粧師 ノクロ が無残な姿で発見されました。
今、ここにいるのは、道具屋 エト、薬師 コレット、絵描き ミケル の全部で 3 人かしら。
― コレット宅 ―
[コレットがちゃんと答えてくれていたので、ほっとする。
だから、その次、つづく言葉を、すぐに理解することは出来なかった。
青の花。
にせもの。
思わずコレットを見る。
何を言っているのか、わからなくて。
いつもの様子と違う気がして。]
[さわ、
さわり。
雪を溶かし、春を告げる陽光のように穏やかに、
そして、
地を砕き命を飲み込む雪崩のように容赦なく]
[死神憑きは、ミケルの目の前で、ノクロの命を、
刈った]
[ゆらりと立ち上がるけれども、
その動きは常人と変わらず。
いや、常人よりゆっくりで、
ぎこちなく、
目も耳も、不確かで頼りなく。
でも]
― 道具屋 ―
サリィやクレイグに字、習っとけば良かったかな。
まあ、読み取れはするだろ。
[本になるほどの量はない、メモを書き終えると
字を書くのになれた二人を思い出してぽつと呟いた。]
やっぱ、さ。
クレイグに頼みたかったよな。
[次の代に託す事になるだろう案件。
『筆記者』であり『本屋』であった彼に頼みそびれたものを
じ、と見詰めて、困ったようにへなりと眉尻を下げる。]
[人が、いなくなる。消えていなくなる。
ノクロが、今、手を差し伸べていた彼が、いない。
荷物が床に落ちる。
コレットの言葉を聞く。
まだ。
続くのか。
こうやって、いきなり人が消えてしまうのが。
視界が歪んで、それでも、泣いてなんかないと、ミケルは、ぎゅっと唇を強くかみ締めた。]
いやだ!
[いつもより、ずっと、声は早かった。
立ち上がるコレットを見る目は、いつもよりも、強い意思を示す。]
どうして、
みんな、いきなり、消えないでほしかったのに
おばあちゃんが、どうして、そんなこと、のぞむの?
おばあちゃんは、ぼくも、みんなも、嫌いなの?
[言いながら、自分も、荷物を落としたままに立ち上がる]
僕は、おばあちゃんも、好きだよ。
死神なんてだいきらい。
花なんて、大嫌い。
みんなが、いきなりいなくなっちゃわなきゃだめな花なんて、大嫌い。
みんなかなしい。
だから、ぜったい、いやだから!
[言い切って、じっと、コレットを見る。
止めて、止まってくれないかな、なんて、願いもあった。]
まあ、ミケルちゃん。
どうしてそんな悲しいことを言うの?
[ゆったりと、静かに、
微笑んだ]
わたくしはミケルちゃんを嫌ったりしていないわ。
皆の事も同じよ。
わたくしは、ただ、
……そうね。
でも、もう少しだけ時間をあげる。
さあ、ミケルちゃん、
クッキーを焼いてあげましょう。
お腹一杯になったら、きっとミケルちゃんも、
幸せに死んでいけるわ。
[食べる(生きる)ことと、
死ぬことを、
同列に言って。
今、ここでノクロが死んだことなどなかったように、
ちっちゃな血吸い虫を潰しただけとでもいうように、
なんでもない様子で]
[ちょっとだけ、泣きそうに眉が下がった。
それから首を振って、幾度か口を開いて、閉じて。]
……その方が、悲しいよ、おばあちゃん。
[クッキーを作ろう。そういう彼女に、ミケルは首を横に振る。
作ってもっていくといった相手がもういないのは、知らない。
作り方を知ったところで、自分に誰かに教えられる力があるわけじゃない。
だから、首を横に振った。]
死ぬ事に、幸せなんて、ないよ。
どこにも、ないよ。
僕は、
[生きているから]
サリィちゃんの、もっていって、あげなくちゃ。
……
おばあちゃんのクッキー、しぬためなら、僕は、要らない。
先代と同じである必要は無かったんだよなぁ。
僕は、僕なんだし。
――…いや、
[言い直そうとして、口を開くが
慣れぬ言葉を音にするのは難しく
結局、それを口にせぬまま息を吐く。]
繋ぐ事も大事だけど
繋ぐだけでなく――…
欲張り、かなぁ。
[首を傾いでみせるが無論返る声は聞こえない。]
……死ぬことに幸せなんてない?
ミケルちゃん、
考えても御覧なさい。
永遠に生きられるヒトはいないわ。
ううん、
ヒトだけじゃなくて、トカゲも、虫も、花も皆いつか死ぬわ。
死が不幸だとしたら、わたくしたちは、
「必ず不幸になる為に生れてくる」
ということになるわ。
……でもそうね。
「不幸な死に方」があることはわたくしも認めるわ。
だからね、
「誰かの役に立つ死に方」をするのは幸せなことなの。
[ゆったり、ゆったりとエプロンを身につける。
竈の火は赤く燃えている。
ぼうぼうと赤く燃えている]
死神が呼んでいるわ。
花が求めているわ。
わたくしたちの命を。
死ぬのは絶対でも、僕は、まだ、死にたくない。
だから、死ぬのは、不幸だ。
花なんかのために、死ぬのなんて、ぜったいいやだ。
[花なんかと、はっきり言い切る。
右足首がちりちりうずいた。]
…花のために死ぬのが、幸せなら、
おばあちゃんが死ねばいいじゃないか!
[そんな風に言いながらも、コレットの方を見ていられたのは一瞬で。
すぐに、荷物を落としたまま、踵を返して外に走っていこうとする。
ぎゅうっと手を強く握り締めて、色んな感情を握りつぶそうとして。]
― 白花亭 ―
親父さん、いる?
[声を掛けて中に入る。
いつもは出迎えてくれる笑顔の眩しい看板娘は居ない。
それを寂しく思い、表情が一瞬歪む。
料理屋の主が顔を出せば、少しだけぎこちない笑みを浮かべ]
差し入れ、ごちそーさん。
おいしかったよ。
[普段ならサリィが回収するはずのバスケットを掲げてみせた。]
[ミケルを追おうともせずに、その場に膝をつき、
萎びた手で皺だらけの顔を覆って]
ぁ、あぁ、ぁ゛……、、
[これだけ生きてても、
命はあんまりにも短すぎる。
残された時間は、少なすぎる]
[後悔はあまりに大きすぎる]
ひどい、
ひどい、
ひどいよ、
ひどいよぉぉぉぉ!
[誰に怒ればいいのか、
この悲しみを、居たたまれなさを、憤りを、
誰にぶつければいいのか、
……わからない]
[言いたくなかった、だから、言葉を沢山選んでいたのに
耐えられなかったから。
言ってしまった。
コレットの様子に足を止めかけたけれど、やっぱり逃げ出した。
言葉なんて、口から、出しちゃいけなかった。
外に出て、ぐっと目元を拭って、ちょっと走った後は、歩いていく。
行くあては、特になく、
都市の、ほかの人を見て、なんか、少しだけ、ほっとして
とてもそれが、悪い事のように思えて、道端に座り込んだ。
膝をかかえて、しばらく、蹲っている**]
― 白花亭 ―
[バスケットを店主に手渡す。
サリィとは行き違いだったか、とそんな声が聞こえて]
――…ん、会いはしたんだけど、さ。
[言い澱むような間があいた。
考えて、それから、左の袖を捲る。
待宵草のさく細身の左肩を示してから]
周期──『『死神』の降る刻』って言えば分かるかな。
サリィが、さ、………。
[親に子の訃報を伝えるのは忍びなく口ごもる。
肝心な言葉が出てこない。
唇を噛んで、俯いた。
尋常でない様子に何か察したか店主が項垂れる。
深い深い、吐息が漏れる音が聞こえた。**]
― 白花亭 ―
[料理屋の店主を前に気の利いた言葉は浮かばない。
大事な者を失ったかなしみは知れるから
ただそっと傍にあるのが精一杯だった。
当たり前のようにあった日常が
どれほどしあわせなものであったか
失われてから気付かされる。
日々の感謝。
伝えきれなかった想い。
記憶の中にいきつづける存在に心寄せて過ごす刻。]
― 都市の通り ―
[普段は店と仕入先、テレ―ズ宅への往復くらい。
夜に料理屋に飲みに行きもするがそれも毎日ではない。
どちらかといえば行動範囲の狭い道具屋は
メリルの事も、ノクロの事も、ユーリの身に起きた事さえ気付けない。]
……あ?
[いささか間の抜けた声が漏れる。
道端に蹲るミケルの姿が行く手に見えたから。
普段通りの歩みで彼の方に向かい、その手前で足を止めた。
頭の位置同じくするように、しゃがんで]
ミケル。
何かあったか?
[年下の絵描きに柔い声を向けた。**]
― 都市の通り ―
[上がったミケルの眸は泣きそうな色に見えた。
けれど涙はみせぬ辺り男の子なんだなと思う。
呼び名に少しばかり曖昧な笑みが浮かび]
そ、か。
『死神』に憑かれたのは、コレット――…
[命を刈る死神の所在を知れどその事実を受け止めるのが精一杯。
けれど、ノクロの名を聞けば、ピク、と表情が強張る。]
―― ノクロが刈られた ?
なんで、こうなっちまうかなぁ。
[深い息が落ちる。
伏目がちの双眸にはかなしみの色が灯る。]
――。
[ミケルから伝えられた言葉に柳眉が寄る。
顔は僅か伏せたまま、また吐息が漏れた。
震える声からはミケルの受けたものが伝うよう。
力篭る絵描きの手に軽く重なる道具屋の手。]
僕はミケルにも死んで欲しくない。
生きて、これからも、この手で、色んなものを描いて欲しい。
[ミケルに聞こえる程度の声量で確かな思いを伝える。]
[こっそり連絡]
[更新タイミングは地上の皆様にお任せしますが、普通にエピ入りしても72hありますので、無理に延長を考えなくとも大丈夫かと……!]
― 都市の通り ―
[こくんと何度も首を縦に振る。
ノクロも、目の前で消えたのだ。
立て続けに何人も消える所を見てしまったから、
ミケルはその衝撃を、殺すので、精一杯。]
…、うん。
僕も生きていたいし
[エトの手が重なる。下へと動いた視線は、また、エトの顔を見る。]
……死んでほしくない。
死なないで、
誰にも、消えないでほしかった。
[最後の言葉は、掠れるように小さい。]
[頷く気配がしてエトは静かに目を細める。
幸か不幸か、別れには一度も立ち会えず
ミケルほどの衝撃はないが穴のあいたような感覚だけはあり]
……ん。
[絵描きの彼は生きていたいと言ってくれる。
道具はは短い一音を紡ぐのみで自分もとは言わなかった。]
一緒に過ごしてきたヒトたちが、さ。
いきなり消えて、いなくなるのはツラいな。
僕も、――…誰にも、消えてほしくなかったよ。
[小さな響きに同じを重ねる。
重ねた手の先にある絵描きの手が緩むまで
なだめるように、ゆっくりとしたリズムで優しく叩き]
絵を描くための大事な手が傷つくぞ。
[小首を傾げ、此方に向いた双眸にそう紡いだ。]
[頷くだけのエトを、じっと見つめる。
それから、もう一度、同じ言葉を、繰り返した。]
生きていて、ほしい。
[ゆるゆると、手の力が解けていく。
気持ちは同じだ、と。
ミケルは、うん、とまた頷いて、エトの言葉に同調する。
大事な手なんていわれたら、自分の手、エトの手に視線を落として、それから、少し、笑った。ぎこちなくても、やっと。]
うん、大事…だけど。
でも、だいじょうぶ。
傷ついても、痛いだけ。
─ 自宅 ─
[……ふと気づいたら、しぼり袋を手にしていた。
そのままの流れで、鉄板にしぼり出しながら]
(わたくしは何をしているのかしら?)
[と、自問する。
いや、分かっている。クッキー作りだ。
泣いて泣いて、泣き疲れた時に、目の前にキノコ粉の袋があったのだ]
[よいしょ、と声を出しながら拾って立ち上がり、
いつもどおりに台所に立ったら、慣れた動作が出た。
大椀を取り出しキノコ粉を開けたら、もう手が止まらなかった。
途切れることを恐れるように、卵を割り、甘草粉を混ぜ、杓子でこねあわせていた]
[「日常」を惜しむように。
あれほど望んでいた「刻」を、自ら否定するように]
……。
[手袋をはめて、鉄板を竈に押し込む。
何カ月も、何十回もやってきた動作だ。どれくらいの時間で火が通り、香ばしい匂いがして、おいしそうな焼き目がつくかも感覚が覚えている]
[繰り返される言葉に、困ったような顔をする。
まっすぐなミケルの視線に、道具屋の眸が揺れた。]
まだ周期の中にいて、終わらないなら……
僕は自分よりもキミが生きる事を望む、かな。
[刈られる事を望んでいるわけではなく
ただ、誰かが選ばれるのならその方が良いと思う。
そんな心のうちを吐露するのは弱っている証拠かもしれない。
重ねた手の先、ゆるむ気配が伝えば安堵したように表情も緩んだ。]
大丈夫ならいい。
――…でも、ミケルが痛いのもヤだけどなぁ。
[少しだけ軽い口調でそういって、触れていた手は離れてゆく。]
[高い絶壁の上の方に生える草で、勝手に落ちるとは思えない。おそらく誰かが必要として抜いた物だろうが、その者が見つからない。
だから、香草なのか薬草なのか毒草なのか分からないと言う]
まあ、わたくし、薬師はもう引退しましたのよ。
[正体が分からなければそれでいい、処分してくれと、大人は草を残して去って行った]
……おかしいですわね。
もう全てが終わりですのに、こうして「明日」を思うヒトがいる。
誰かがいなくなっても、
わたくしがいなくなっても、
この都市は続いていく……。
[竈の火を落とした。
クッキーの甘い香りは、家いっぱいに充満し、通りまで漂いはじめている。
きっとその内、お腹をすかせた子供が、「コレットおばあちゃん」におねだりに来るだろう]
[揺り椅子に座り、エプロンの膝に草を並べた。
葉脈の数は読めなかった。そこは諦める。
指先で潰して揉み、香りを嗅ぐ。
舌先に軽く乗せて、味を確認し、すぐに吐き出す。
ひとつひとつ、可能性を消していけば、どこかの本でちらりと見た、珍しい香草の名が浮かんだ]
[自分よりなんていわれて、また首を横にふった。
嫌だ、と。
生きていてほしいのだと。]
……気をつける。
[手が離れてゆくのを、名残惜しいような、そんな感情で見送って。
それから、手を開いた。
少し血の気が巡ったばかりで、ほんのりとピンクの色をしている。]
痛いのは、……言葉の方が、痛いよ。
[自分が言ってしまった言葉を思い出して、小さく言った。]
[これは薬草にはならない。
でも、丁寧に乾燥させ発酵させれば、茶にはなるかもしれない]
ユーリちゃんが生きていたら、興味を持ったかもしれないわ、ね。
[その人がもういないことを、ヨリシロは知っていた。
香草茶を作る技術は誰が受け継いだのだろうか。
そちらはしかし、ヨリシロでも知らなかった]
[腰をトントンと叩いてから立ち上がり、机の上に草を並べる。痛まないよう、紙で包んだ]
[そうして、ごく簡単な「準備」をした。
大した物は必要ない。それに持ち物ももう多くはない。
だからそれは、エプロンのポケットいっぱいだけで済んだ]
……さよなら。
[長く使ってきた揺り椅子に、
使い込まれた竈に、
よく手入れされた小さな家に、
……告げる]
[そうして、家を出る]
[後に残るのは、
竈の中でゆっくりと冷えつつあるたくさんのクッキーと、
机の上の香草だけ]
[……もう二度と、
ここへ帰ることはない]
[首を振るミケルの仕草から思いが伝わるようだった。
困ったような顔のまま、僅かな笑みつくり]
わかった、から。
[今できる一番の返事をして、小さく頷いた。
そろと腰をあげ掛けると見送る眼差しを感じる。
離れた手は、柔らかなミケルの髪を軽く一撫でして]
いいこだな。
[子供を褒める時のフレーズを口にした。]
言葉は――…、難しいからなぁ。
一度発したものは取り消せない。
だから、……痛いのを気にしてるなら、さ。
痛いのを和らげる方法を探せばいいんじゃないかな。
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