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うん、なぁに?
[少女を呼ぶ声>>292は、ミリィの手伝いをしていた時だったか。
顔をそちらに向けながら、ユリアンからの注意を聞いて。]
うん、わかった。
雪は怖いんだよ、とか。
嵐の後の森には近づくなってお祖父ちゃんから何回も言われてるから。
[更に少女は森の深いところまでは行くな、とも言われているから。
言われた事に、素直に従うのだった。]
─ 森 ─
[12年前の出来事。
抜け落ちた部分の記憶は、『両親は雪嵐の夜に外に出て事故に遭った』という言葉で埋められて。
実際には、その死は事故ではなく、酷く不自然な傷によってもたらされたもの。
獣のものと思しき爪と牙の痕が刻まれた亡骸を見た者は限られているだろうが、とにかく、人の手、或いは事故によって死んだとは言い難く。
しかし、何故にそうなったのかの理由がつけられない事と、恐らくは唯一の目撃者である自分の記憶が錯乱していた事。
その点から、表向きは事故としてほしい、と叔父が望んだとは知らないままでいた]
……似たような、は。
状況だけに、しといて欲しいんだが、な……。
[ぽつり、と。
零れ落ちるのは、低い呟き。
深い白を見つめる翠に宿るいろは、冥い]
/*
……えーと。
いや、うん。
助かるっちゃー助かるけど、な。
なんでこのタイミングで、急遽遅番とか言われるかね……!
まあ……いいか。
前向きにいこう(
―急流の傍―
[今は形なき橋の前に男は佇む。
鞄と外套は個室に置いて身軽な格好であるのは
この場に長居するつもりはないからである]
対岸に人の気配はなし、と。
どれくらいで気付いて貰えるんだろうな。
[橋が落ちた事を村の者が知るのは何時になるか。
僅かに悩ましげな面持ちで対岸を見据える。
人が通りかかれば声でも掛けて知らせたいと思っていたが
今の所、誰かが来る気配は感じられなかった]
弱ったな。
次の打ち合わせに間に合う、か?
[後日、依頼主と会う予定だったが叶うかどうかは知れない]
―広間―
[“いけにえ”と少女が口にした時>>287、男は僅かに表情を険しくする。
彼女の目にほんの一瞬のそれが捉えられたかは分からないが]
……確かに、それも一理ある。
人々を先導する立場故、同時に人狼からは疎まれ、標的になり易い…… そういう事なのだろう。
つまるところ、解釈は人それぞれという事だ。
同じような話は各地にある。どれが正しいのかは、残念ながら私にも分からないな。
[そう続ける頃には既に常の調子。
幻燈歌に伝わるある一節については、男は口にしなかった]
[考え事をしていれば、遠く聞こえ来る獣の声]
――… 狼 ?
[男の耳には狼の咆哮のように思える音]
珍しいな。
[鍛冶場にいれば聞こえなかっただろう。
森の方へと視線を向けた男の眉間に薄い皺が刻まれていた]
…… 生贄、か。
[煮えくりかえる程の激情は、抑え込まれた]
まったくもってその通りだ、ギュンター殿。
彼らは悲劇を演出する為の道具でしかないのだ。
[その後朝食の手伝いの為、居候の青年>>271に続こうとし]
……無理はしなくて良いからな。
[その直前、何処か不安気だったシスター>>260の傍に寄り、小声で囁く。
改めて厨房へ向かう背はいつも通り、真っ直ぐに伸びていた]
─ 森 ─
[ふる、と首を横に振る。
気持ちを切り替えないと、と。
そんな風に思いながら、俯いていた顔を上げて]
……さて、長居するのは危ないだろうし……。
[戻らないと、と。
声に出すのを遮るように、響いたのは咆哮の如き、声]
……っ!
[声の聞こえてきた方を振り返るが、声の主の姿は見えない。
いや、見える距離だったら、色々と問題だろうが]
[その言葉の真に意図するところは、きっと伝わりはしなかっただろう]
耐えられるものならば、耐えてくれた方が良いが。
…… 難しいだろうな。
……今の、は。
[響いた咆哮は、どこか身近に感じるもの。
同時に、どこか疎ましくもあるもの]
……引き寄せた……わけじゃ、ない、よな。
あの時、みたいに。
[呟きは無意識、コエへと落ちる]
……は。
[しばし、森の奥を睨むように見つめた後]
笑い話に、なってない……な。
[ぽつり、と小さく吐き捨てる]
橋が落ちて、奥には狼の気配とか。
……動くに動けやしないじゃないか、これ。
―屋敷・広間―
[ライヒアルトとベアトリーチェの言葉御伽噺程度に教会で自分も聞いたことのあるもの。
けれども話の邪魔をしないようにと、聞くだけに勤める。
ライヒアルトの小声の囁き>>305には少し心が落ち着き]
ありがとうございます。
[その後何かをしていれば少しはおちつくかなと、朝食の準備にはなにかしらと準備はすでに十分に人が足りおり]
いってらっしゃい、気をつけて。
[エーリッヒが森を見に行くと告げると、心配する声をかけながらその姿を見送り、
結局は広間で残ることになった]
―厨房―
了解した!
[厨房に入ってからは指示>>293に従う。
頼まれたパンは几帳面な男らしく、殆ど均等に切り分けられた。
続けてスープの為の野菜の準備をしながら、幻燈歌>>283という言葉を捉えたか、視線は刹那細工師に向かうが、何か言う事はなく]
……ふむ、この事態だ。使って貰って構わないぞ。
世話を掛けてすまないな。
[肉の件>>285については頷きを返し、その後は暫く手元の作業に集中した]
―→広間―
む。
くれぐれも気をつけたまえよ。
[森へ行くという声>>294には眉を寄せるものの、止める事は無く。
準備のできた食事を広間へ運び、一通りを並べ終えてから息を吐いた]
引き寄せ…ですか…?
[他への意識が少ないとよりはっきりと感じられた、そのコエに自然と自分もコエを返している。
遠吠え、確かに微かな聞こえる気がする。
昨晩にも感じたような]
月…、牙…、遠吠え…、人狼…?
[ぽつりと、ライヒアルト達の話も思い起こしながら、少しずつ何か、その答えへと近づいていた]
─ 森 ─
[しばし、森の奥を睨むように見ていたものの。
結局は、それ以上奥に進むのは諦めた。
叶うなら状態を確かめたい、と思っていた花は、奥まった所に咲いている。
そこに行くまでの積雪や倒木などのリスクと、今聞こえた獣の声。
それを無視してまでは突き進めない]
……戻る、か。
[小さく呟き、屋敷へと戻るべく、踵を返して歩き出す]
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