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フユせんぱいが?
[憑魔。
少し考えて、首を傾げた。
予想していなかったわけではなく、ただ以前の彼女なら、それを拒否しただろう言。]
へぇ、それ、本当なんですかー?
今日、朝ごはん作ってもらっちゃったんですけど。
─校舎屋上─
っつ……。
[アズマの身体を還した後。
受けた傷の痛みでしばらく、そこに蹲っていた。
風が護るように巡り、その力が傷を癒していくのを感じながら、しばし、物思いにふける]
……なんで……なんだよ?
[零れ落ちたのは、小さな疑問。
ウミがコトネの死に責任を感じる必然性は、事情を知らぬ身、見当もつかなくて]
それじゃあ……
半分は信じて、半分は信じない事にしますね
[にこりと笑う]
あまのせんぱいがうそつきなのか
フユせんぱいがうそつきなのか
どっちかでしょう?
[その笑みの理由などもわかるわけはなく]
ゆっくり考えまーす
[しかし近寄ってくる様子に、首を傾げる。
片手に握った赤黒いバトンが、少しゆれた。]
[時間が巡り、変わっていく空を見つめつつ、風に吹かれて傷を癒してゆく。
その間にも、答えの出ない自問自答は続いた。
朝の、そして先ほどまでの出来事が嘘のように静まり返った空間。
やがて瞳は一度閉じ、空白を経て、開く]
考えても、仕方ない、か。
もう、聞けない。いない、から……。
[小さく呟く声は、静か]
もう、ほんとにこれで……なんにも、ないんだな、俺。
[初めて出会った他の『司』もいなくなった今。
自身の中の力──他者を護らんと願うそれは、どこへ向かえばいいのか、と。答えの出ない疑問に、苦笑して]
……探さなきゃ。憑魔。
[そして、浄めなければ、と。決意を込めて、呟く]
[少女の少し手前で足を止め、目を細める。それは愛しい者でも見つめるかのように]
すまない…何もしてやれなかった。
[そのまま子犬を抱いて、マイコの前を通り過ぎ、寮の方へと戻ろうとする]
[困惑の眼差しでそれを受けて]
何がですかー?
別に、誰かに何かをしてもらおうなんて、考えていませんよ
[くすっと笑って、寮へと戻ってゆく彼を見て。]
[少女の言葉に現実を突きつけられても、
頭では否定していた。
夢ではないと、理解しているのに。
そう彼女に言ったのは、自分だったのに。
逃げようとしても、逃げられるはずはなかった。
ぐるりと校舎を回って、裏庭に。
血の跡が、残されていた。
先日塗り替えたばかりという、
白亜の壁べっとりと、地面には点々と。
鍵の壊されている扉は、非常口だろうか。
それを見ても、さしたる衝撃は受けなかった。
ここは、日常ではないのだから。]
[寮に戻ると、冷蔵庫からツナ缶とミルクを探し出して、子犬に与えた。自分もパンを少し齧って…ふと思い出して、給湯室に向かう。自身の書いたメモはそのままで、冷蔵庫の中の水羊羹も一つしか減ってはいなかった]
………
[抹茶味の缶を一つ取り出し、口にする……苦く冷たい甘さに、*目を閉じた*]
[普段よりも時間をかけてゆっくりと、
廊下を歩みながら、窓の外に視線を移す。
陽は傾いて、地平線へと下りていくところだった。
全てが朱に染まる。
けれど血の赤が消える事はなかった。
あの場を離れて、少し落ち着いたのか。
漸く、痛みが蘇り始めていた。
それが、現実を認識させる]
[シャワーを浴びてさっぱりとする。まとわりついて髪にからまったそれを無理矢理に落した。
髪がばさばさになって気持ちが悪い。
それでも丁寧に、いつものようにケアをして。
そこから出たなら、部屋で少し眠った。]
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