[樹の内部は、実際の太さ以上の空間が広がっている。空間の在り処が違うのだと、先代の巫女である母は言っていた。複雑に絡み合う樹の枝は壁のようなものを作り、個室のような区切りを作っている。その一画には、様々な木の実や果物が無作為に実る場所もあった。水が湧き出し、溜まっている所も数箇所、ある]……外の様子は、わからないのでしょうか……。[小さく呟いて、周囲を見回す。ふと、目に留まった水溜りの一つ。他よりも大きなそれはどうやら、外の様子を映す力があるようだった]