[先ず見えるのは見慣れた亜麻色。床に手をつき上半身を起こす。眸と同じ菫色の衣装に纏う女は視線を彷徨わせる。傍に居てくれたエーリッヒの姿が間もなく映りこみはたりと一度瞬きをする。] 夢の、続き?[途惑うような響きが滲む。夢でなければこんなに都合よく彼がいるはずない。人殺しの獣は同じ場所になんて行けないのだと思っていたから。――思っていた、けれど。] 夢なら消えないで。[ここにいると紡いだ彼に願う。]