―夜・宿屋自室―[そんな記憶の底に沈めていた話を思い出したりして。振り払うように、苦蓬の酒を昨晩より多く口にした。それでもまだ古い革箱を開ける事が出来ずにいたのだが]……?[室内なのに風を感じて、窓の方を振り返ろうとする。その前に口を塞がれ、まともに動けもしない内に喉を裂かれた。焼けるような痛みと熱。声も奪われ抵抗の余地なく引き倒される。視界は紅く滲んでいて朧な影しか見えず、それも点々と広がり始めた黒が塗り潰して*いった*]