[ソレは、対策を取る。
齧り落とされた、神経のつながり。
灰色のベールに覆われゆく細胞。
代替回路のつながりを、探す]
[ソレが選んだのは、誰もがきっと持っていて。
でも長い進化の末にか、これからの進化の種にか。
普段は使われないで眠っていた箇所。
生まれて直後の刈り込み作業で、いつも剪定される枝]
[ソレが起きたのは、数億、数兆、数京の偶然の重なり]
[虫食いの穴の迂回路に選ばれたのは、脳波だけで他人に意思を伝えるための、神によって普段は封じられていた箇所]
[その回路の特性。
そこに「他者へと感染を広げ、成長・増殖する」というメドューサの病という未知なる生命の本能が、実験と称して投与された新種の薬物を触媒に、融合し、進化を遂げた]
[一代しか子孫を残さない突然変異]