[同行者、ブリジットは甘い物に目がないようで、人間界を旅して回る間も大きな街に着けばやたらとそういった物を買いに行ったり、時にはミハエルを連れてわざわざ店へ食べに行く。
ミハエル自身は今でも全く甘い物に対して感慨を覚えることは出来ないが、菓子を食べて喜ぶ彼女の笑顔は好ましいと思っていた。
紙袋に入ったマフィンを抱えた。薄い紙越しに伝わる熱気が疎ましい。試行錯誤の結果、袋の上部を指で摘むようにして持つことにした。
傍目には如何にも不愉快そうなミハエルだが、心中は意外にも穏やかで、マフィンを渡したときにブリジットがどういった顔をするかだとか、何と言って渡そうか、といったような事を考えていた。]