森に囲まれた、山間の小さな村。冬は雪深く、外界との接触は容易く断たれる。生活は、決して豊かではないが、自給自足の暮らしは十分に満ち足りて。何事もなく、穏やかだった村に、異変は唐突に起きる。 ──その冬、最初の雪が降った夜、村人の一人が真白を真紅に染めた。 何者かに食い荒らされたかのようなその遺体は、村に戦慄を呼び起こし。誰かが、その名を口にした──『人狼』と。 それは、御伽噺に伝えられる存在。しかし、亡骸の有様は、それを容易に思い起こさせた……。