外に出て、改めて上を見上げる。
ぼんやりと浮かんで見えるのは、『複製』の空間か。
近くて遠い場所にあるそれをしばし見つめた後、天へと手をかざして愛刀・草薙を呼び寄せる。
同時に、具象化するのは貴紫の六翼。
最も力を繰りやすい状態を取り、ふわり、ゆらりと光の粒子を散らしてゆく。
「……ヴィオ、聞こえるか? 聞こえてるなら、返事しろ」
『複製』側にいる、自身の分身へと呼びかける。
その声が自身の元へと届いたなら。
「時空竜に、伝えとけ。
『空間に風穴空けるのは一度で十分、後は、こっちで安定させる。
寝込まれると厄介だから、自重してくれ』」
……こんな指示を出していたとか*いないとか*。