異変に、最初に気づいたのは、妖精騎士団長。
何故に王でないのか、と言うのは突っ込んではいけない。多分。
ともあれ、祭りの最中も職務に従い、森の巡視をしていた妖精騎士団長は、離宮周辺の力の流れに異常を感じてそこへ駆けつけ。
何かの力に絡め取られたかの如き離宮の様子に、くわ、と目を見開いた。
「……これは一体何事……っ!?」
動揺する妖精騎士団長は、直後に更に動揺する事となる。
唐突に聞こえてきた、女王の言葉のために。
『……そこにいるのは、ギュンター、か?』
『なれば、王へ伝達を』
『……秘宝が……『妖精珠』が、奪われました』
『犯人は未だ、界の内に……』
『逃さぬために、祭りの場を閉ざし、無関係のものを可能な限り外へ出します』