[酒は臭いが苦手と断っていた。薪を運んだ後、残されたスープを貰い、一匙ずつ掬っては口に運ぶ。窓の向こうには疾うに月が昇っていた]――…ごちそうさま。[言葉少なに食事を終え、からりと匙を置く]昨日の賑やかさが嘘みたいだね。もう、夜だ。……月の光は、獣を喚ぶだけでなく、人を狂わせるというから、気をつけて。[代わりに手にした火掻き棒で、薪を突ついた。がらり、黒い塊が崩れ落ちる]