─ 中央議事堂 ─
[犬が顔を向けたのは、奇妙な面を被った人物。
時折一方的に見かけられていた何てことは知る由も無く、犬は今回の義務の対象としてその人物を選択した。
選択した理由は──思考を先行した割には単純だったりするが。
小型レーザー銃のボタンは銜えた歯の下。
噛むように力を入れると、引鉄代わりのそれが押され、ペン状の筒の先端から高出力の熱線が射出される。
お座り状態のままであったため銃口の角度は限られ、狙いは仮面の人物の喉へと定められていた]
きゃいん!!
[それと前後して、犬の方にも一筋の熱線が迫る。
身体が──否、白い毛が焦げる匂い。
銃口を向けていた女性が狙いをずらしたために直撃は免れたものの、サイバー化された右前足を熱線が掠め、その機能をいくらか低下させていた。
鳴き声を上げたために、口に銜えていた小型レーザー銃が床へと落ちる。
カランと言う甲高い音を立て、エネルギー切れとなった小型レーザー銃が床に転がった]