― 広間 ―
[ユージーンに向けられた言葉>>0に、落とそうとした黒の先が止まる。
鉛筆の先を口元に寄せ、少し首を傾ぐ]
……イェニーが、か。
[眉根を寄せた沈黙は数瞬。
ふ、とそれはすぐに溶けて笑みを浮かべた]
きっと風が酷いから心配をしているのだろうね。
これからもっと荒れるのかもしれないよ。動物は勘がいいから。
[そうして、改めてスケッチに黒を広げ始める。
微妙な濃淡で葉や皮の模様を、流れる髪を、黒い毛並みを]
そう言って貰えるとありがたい、ね。
もう少し、なんだけど。
[けれど泉の水面は、少しばかり曖昧な儘で]