─ 中央議事堂 ─
[ぐるり、見回した視線が捉えたのは、仮面が目を引く青年。
現状、ここにいる中で判断の基準を持たぬ者は、二人。
それでも、雑貨屋の名は稼業柄聞いているから、一方は全く知らぬ、というわけでもない。
勿論、基準があるが故に読み違う、という可能性もあるのだが──それは、今は考えずに。
名も、その出身も知らぬ青年に銃口を向け、素早く撃鉄を起こす。
青年の手にした銃口がこちらに向いていても、気にする様子は一切なかった。
むしろ、ヤル気か、と。そんな不謹慎な考えすら、過ぎる。
相手が抱えている勘違いやら疑問やら、そして仮面の下の冷や汗などを見知っていたら、多少評価は変わったかもしれないが……それは、それ]