[幾ら疑っているからと言って、恋人が目の前で殺されたら、妹が如何思うか。そんな簡単な事を考える間も無かった。]――……ッ![少し年下とは言え、僕よりも背は高い。体格も良い。そんな彼に敵った理由は、不意をついたから。ただその一点だけに過ぎないのだろう。駆け寄る。イヴァンの背中に手を伸ばす。服を掴んで引き倒す。馬乗りになる。もう片手には鋏。誰かが何か言っていたかも知れないけれど、聞こえはしなかった。]