[コスチュームのまま飛び込むと、真冬の水温が全身を包んだ。
スーツの耐性と炎の力が、刺すような冷たさを幾らか和らげる。
そして潜水を繰り返すこと数回、ようやく水へ滲み出す黒い霧の源を見付けた]
…………ぷは。
[水面に顔を出し、立ち泳ぎしながら考える。
先は赤い剣の出力で、強引に黒き闇から抜け出した。
今度も同じ方法を使うか?]
違う。私の為したいことは――
[ゆっくりと瞬いた後、魔族の方へ振り返り]
私は、お前を信じる。
[その一言を告げ、右手から白い手袋を引き抜く。
そのまま水中深く、黒い霧の傍まで潜ると、その奥深くへ向け右手を突っ込んだ。
広げた五指で、その奥にあると信じた、何かを掴もうと*]