― 宿泊施設・広間 ―
[本当は図書室にでも一緒に行くべきだったのだろう。
でもまだ現実を受け止められなくて。
薪を足してくれたアーベルへの感謝を口に出来るくらいには呆けてもいなかったが]
なんで。
ここなら、って思ったのに。
[薪のはぜる音を聞きながらグルグルと考え事の態。
町での暮らしに馴染めず。母には想い人がいて胸中複雑。やっと長い休みを確保できて帰ってくればこの状況。
遺体を直接見なくても、淡い記憶の父と重なる死因が余計に心を揺さぶってくる。
無人であるせいか、呟くような声は部屋の広さに反して大きく響いた]