─ 中央議事堂 ─
[犬が顔を向けていたのは、先の定刻の時に少女へと銃口を向けていた警備員。
警備員の狙いはどちらだったのか。
少女とは寄り添うように居たため、銃口がこちらに向いていても、どちらを狙っていたのかまでは分からない。
けれど、犬は再び少女に狙いを定めていると考え、銃撃の刹那、少女を庇うような位置へと立った。
その状態で警備員に対し銃口を向け、歯で発射ボタンを押し込む。
少女までが警備員に銃口を向けていると知ったのは、熱線が同じ方向から二つ、警備員に向けて走ったのを見た時だった]
[実弾と二つの熱線が交錯する。
犬が放った熱線は警備員の喉下へ。
そこを狙えば命を絶てると言うのを先の定刻の時に学習していたため、同じ場所を狙う。
それと入れ違うようにして警備員からの実弾が犬の身へと迫った。
犬が少女を庇うことを前提にしたかのような弾の軌道。
そんな思惑を知らぬ犬は、その弾に対して避ける動作は見せない。
ここで避けたら少女に弾が当たってしまう。
犬は前足で床を蹴り、立ち上がるような形で実弾に身を晒した。
万が一でも少女に弾が向かってしまわないように、全身で少女を背後へと庇う]