[突きたてたところから、零れる紅。
それだけみれば、何が違うのかなんて全然わからない。
けれど。
けれど、『違う』のだと。
どこかで、何かが囁く心地。
その声は、かつて自分を『神の力を授かりし子』と呼んだ者のそれに似ているような、違うような。
そんな事を考えながら、刃を引き抜き、後ろに下がる。
ロミルダが、ゲルダに引き寄せられている事には、気づいていなかった。
そのまま、数歩、後ずさって座り込む。
入れ違うように、ハインリヒが倒れこんだ]
……ぁ……。
[飛び散る、色。
声が、上手く、出なかった]