[先の絶叫は、何かしらの隙を与える要因となったか。欠けた刃は首筋を抉って、空をあかに染める。とおいきおくの、あかいきおくの、フラッシュバック。それを振り払うように、それから逃げるように。一度、引き戻したカッターナイフを、春陽の喉元に突き立てる。勢い余って、仰向けに倒れる春陽と、対照的に。こちらは後ろによろめき、そのまま、座り込んだ]