ー 教会・図書室 ー
あの時、たまたまあの辺にいてさ……
[例によってお祈りの時間、いつものように抜け出して図書室へ向かう途中に、玄関で声がして、こっそり物陰から覗いてみた。
少し年上の女の子と、その両親らしき大人が2人。
何があったのかは後で当時のシスターに聞いた。抜け出しについてこってりと絞られた後で。
厳しいけれど優しい人でもあったから、ノーラの事も恐らくそれほど怒らなかったと思うが。]
……ちょっと羨ましい、とか思ったっけな。
[自分は両親の顔すら知らない。
シスターも親みたいなものだったが、あの時に見た家族とはやっぱり何か違う気がした。
そんな思い出話。]