─ →外 ─[部屋を出て、階段を下りる。二階からはもう、音色は聞こえない。ならここにはいないかな、と更に階下へ降り。屋敷の中をぐるりと巡って姿が見えぬと確かめると、勝手口から外へ出て]……ここに、いたんだ。[屋敷の裏手で姿を見つけて、は、と息を吐いて]……にーさん……いや。『月のいとし子』さん。[呼びかける声は揺らぎのない、澄んだもの。*]