[離れたところで動けぬまま二人の争いを見ていた。ライヒアルトを庇うようにナターリエが間に入るのも、ただ見ているだけで。けれどライヒアルトの放つ苦悶の叫びに、少なくともゼルは彼に殺されなくて済むかもしれないと思いかけた、刹那。ライヒアルトの指先が、ゼルの首を薙ぐように動いて。まるで大輪の華が咲くように、朱が、散った。]───…ゼル……?い、や…いやああああああああああああ!!!!![呆然と、名を呼んだ後。悲痛な叫びが、まるで他人のそれのように耳をついた。]