……本職学者とはいえ……伊達に、何度も戦場横切ってないんでねっ![どんな前歴だ、と、突っ込まれそうな事を言いつつ、一気に距離を詰める。椅子を振り払ったリーゼロッテが、こちらを向いた。浮かんだ表情はどうだったか、それを確かめる暇もなく。繰り出した銀刃は、命の鼓動の刻まれるその場所へ、突き立てられる。空白の後、刃を持ったまま、手首を返して。引き抜きながら、後ろへと、下がる。間を置いて、虚空に開くは緋の一輪。それはすぐに花弁を散らし、あわせるように、薬師の身体は崩れ落ちた]