[いっときながら現に返ったのは調理も終わる頃。
蕩けた眼が傍らの女を見上げ、小さく、その名を呼んだ]
どうだった?
[その手に在るスケッチブックを見、感想を求めつつ手を伸ばす。
けれど肝心の女の声は意識の表層にしか届かず、
己が返した言葉すら、朧に霞んで消えた。
彼女の求める答えが其処にはなかったのは、確かな事。
シャーロットに促されて食卓へ向かった後の、
食事の匂いも味も、よく覚えてはいない。
傍目にも、起きているか怪しく見えたことだろう。
はっきりと目の覚めたときには残念がるに違いなかった]