やだ、ゼル…しな、ないで。おいてかないで、ゼル、ねぇ、ゼル…![ライヒアルトのことも、この場に居る他の誰かのことも気にする余裕など無く。上がる息も無視して、必死に彼の傍に向かい。首筋から噴き上げる血を止めるために、手で傷口を押さえた。既に事切れているのは、誰の目から見ても明らかなのに。身体が鉄錆の香を放つ朱に染まるのも構わずに、名を呼び自分より大きな身体の彼を抱きしめて。]死なないで、ゼル…、ゼル…