[新たに命が散らされたのを感知したのか。ツルバラは少女の首筋に、巻き付くように伸びて、そこで緋色から変化した朱き花を咲かせる。]わからない。多分、お祖父ちゃんなら知っていたと思うけど。左の太ももの内側に白いツルバラの痣があって。それをお祖父ちゃんは絶対に見せるなって言ってた。……お祖父ちゃんが死んで、気がついたら。朱く染まってた。[エーリッヒの掠れた声と問い>>2に、少女の声は揺らぐことなかった。祖父が亡くなったのは経った数日前の事なのに。だいぶん昔に思えてしまう。]