[声はあげたものの、防御出来る程の機敏さも対処法もなく。
ベルナルトはこの機に乗じて木の結界内に飛び込んだのか――その判断をする間もなく、瞬きの間にその姿は失せており、ほぼ同時、辺りを包む雰囲気も元通りになっていた。
胸を撫で下ろして、大きく息を吐き出す]
上手く行ったんかのぅ?
[恐る恐るとお菓子の生る木に顔を向け、再び木の根を地中へと潜り込ませる。地脈を通じて結界への干渉を試み、黙り込むこと暫し]
ああ、グリちゃん……ベルちゃんじゃっけ?の気配があるのぅ、
……………おんや?
[老人が違和感に気づいたのはそのとき。
俯かせていた顔を上げ、改めて周囲を見渡す]