─ 外 ─
[ゲルダを傷つけた事に相手の怒りが増徴されるか。
相手は先よりも早い蹴りを繰り出してくる。
ゲルダに気を取られていた為、脇へのガードは間に合わず、一撃を受けた。思ったより重いそれに眉が寄る。
体が揺らぐと右半面に拳を受けた。
一瞬、右目の視界が失せるが意識は失わなかった。
常の鍛錬をしている者と、前線を離れて久しい者の差かとは胸中で。
勘が鈍って仕方が無い、と思うと少し距離を取った。
口の中の血を吐き出す。
鉄錆の匂いを甘いとは感じられなかった。
ああ、まだ俺は人か。
そんな思いが過ぎる。]