[最後に赤い狼の世界に聞こえたのは、断末魔だったのか、それとも何か語る声だったのか。ぞわりとしたものが背中を駆け抜けて行き。心臓が、跳ねた。]ぁ………は、ア゛っ![翡翠の中央が、獣のように細められる。体中の血が、逆に流れているような錯覚を覚えた。]ゃ、めろ。ぉレは、マだ………っ![聞こえない耳にあざ笑うかのような笑い声が聞こえた。それはリーゼロッテに似たようで、どこか違う。勿論パストゥレルでもない、彼女はそんな笑い方はしないはず。ならこれは誰だと、考えて。]