[テーブルの上には、今焼き上がった物の他に形が違う二種類のパイが置かれている。
計三種。丸いアップルパイ、半月型のカボチャパイ、そして三角のスイートポテトパイ。
それが、それぞれ10個ほど]
……ちょっと多かったか?
ま、いいか、5個くらいなら俺が食うだろうし。
んじゃ、ちょっと待っててな、愛しい子達。
[5個って多くね?と突っ込む者はとりあえずいなかった。
一度、自室に戻って出かける仕度をして、台所に戻った時には大きなバスケットを抱えていた。
そのバスケットの中に、冷ましておいたパイを一つずつ並べて入れていく。
どうやら、誰かに届けるらしい]
「お出かけー?」
[とでも言いたそうにドアの陰から小さな姿が覗く。
手招きをすると側に来て男を見上げた]