─ 回想 ─
[彼の家族でもある少年に話は通してあるかと聞けば、やはりまだだと返されて。
これでエーファが怒ることは無いだろうけれど、少なからず金銭が動く事だしと少し考えた後]
それじゃ、お代のかわりに暫く泊めて頂ける?
今年も外の堤を描かせて頂けたらと思っていた所なの。
いつもは下描きだけさせてもらって家で仕上げているけれど、今年は最後まで此処で描かせて頂けないかしら。
[数日の滞在を願うことで、肖像画の代金代わりにしたいという申し出は、ギュンターから苦笑混じりの了承を返された。
そんなことを言わずとも好きに滞在して良いのにとも言われたけれど、これに関しては厳しかった両親譲りという所か。
ともあれ、滞在の許可も得て部屋を後にして。
広間に入ったのは、他の滞在者よりも随分遅くなったことだろう]