―聖堂―
[ピアノの音色が聞こえていたから
音をたてぬよう静かに聖堂の中に入った。
オクタヴィアン>>1:231がピアノ奏でる姿を
少し離れた場所からそっと見詰めた。]
――。
[心に響くようなその音色。
老尼僧が好んだ曲ではあるが、何より彼女が好んでいたのは
オクタヴィアンが弾いてくれたというのが大きいと思う。
休暇の折に訪れるピアノ奏者の演奏を
老尼僧の傍らできいていたのも遠い過去。
少女だった頃、円舞曲にあわせて相手ないままステップを踏み
くるり、くるりとワンピースの裾を翻しもしたのは
老尼僧が笑顔をみせてくれると知っていたから。]