[人の気配が増えたのは感じるが視線は向かない。
構っていられるほどの余裕が無かったのもある。
数年前を思い出すように、殺意と殺気のみを前に向けた。
必ず殺す、そんな意識が腕と足を熱くし。
二度目の飛びかかりは、先よりも素早かった。
そこには極微かに、人外の力も紛れていた。
再び切り結びはしない。
刀を押し出す振りをして反転し、上腕で拳を受けた。
こちらの勢いと向こうの腕があり、ごきりと嫌な音がする。
眉を潜めるがそれに勢いを殺がれる事は無く無く。
刀を逆手に持つと、一気にアーベルの脇から胸を貫いた。]