―ある男の日常―
は〜〜〜〜〜い!皆様ご注目〜〜〜〜〜〜!
[ぎらぎら照り付く照明、酒の香り、漂う紫煙が煩い店の中。
マイクを握った男が、笑顔で大きな声をあげている。]
我らが姫のっ アヤメ様がっ!
シャンパン シャンパン シャンパン
入れたぜっ!
準備は〜〜〜 いいかーーー!
行くぜ!行くぜ!シャンパンコール!
[コールにあわせて、ハイ!ハイ!と、揃った間の手が入る。
姫と呼ばれた女性の、どこか誇らしげな笑み。
夜は静かにふけるものなのに、この店に静けさなど無い。
この非日常的な騒がしさこそ、礼斗にとっての日常だった。]