― 談話室 ―[中庭にいた2人は既に移動した後だったか]……なーんか、好きになれなかったんだよな。昔っから。[そう時間も経たずに戻ってきた娘の手には本が数冊。絵本、伝奇本、聖書の解説めいたもの等様々なれど、いずれの表紙にも『人狼』の文字が踊っている]ま、親父に散々脅された所為だと思うんだけど。狼にさらわれるぞーとかなんとか。[だからあまりこの類の話は読んで来なかったのだ、と、零す言葉を聞く者はいたか。そうしてしばらくの間は、本を広げてその文字を追う]