……事情は、把握しましたが。
貴女には今現在、最も強い疑惑がかけられている。
[静かな言葉は、怯えを助長するのみか]
貴女が人狼である、と判じた、という者もいるのでね。
……確かめなければならぬのですよ。
死を持って判ずる者、としてね。
[死を持って、という言葉が意味する所が伝わったのか、それとも緊張が限界に達したのか。
怯えは委縮に、委縮は恐慌へと変遷し、恐慌は手近にあるものを投げつける、という形の抵抗となってこちらへ向けられる]
……ちっ!
[舌打ち一つ。抵抗される可能性は見ていたが、この流れは予想してはおらず。
投げつけられたナイフが腕を掠めて落ち、紅い色を滲ませた。
僅かに生じた隙をつくように、ブリジットは厨房の勝手口から外へと駆けだして行く。
とっさ、自身を傷つけた刃を拾い上げ、その後を追った]